Soho Designer の長いつぶやき

SOHOでのフリーデザイナーとして30年。
地方で超零細企業としての日々のつぶやき。

アナログ思い出話 シャショク

2009-01-07 07:38:19 | 仕事話_その他
「シャショクったって、社員食堂の事じゃないわよ~。」
なんてギャグをかましてたのももうン十年以上前か…。

本当に社員食堂だけ、の意味になりつつある昨今。
(なりつつ、というのは、まんだ写植、あるのらしいです。私のまわりではもう使っていませんが。)

かって写真植字は印刷・出版業界になくてはならない重要な分野の仕事でした。
「写真」「植字」という言葉どおり、文字がネガフィルムの版になってるものを一文字一文字レンズをその上に持って行き、シャッターを押して写して(拾って)いくのです。そのレンズの大きさが決まっていて、それが7~16、18、20、24…級とだいたい1.75mm(7級)~25mm(100級)の文字がレンズを替えることにより表される、というわけですね。

1級=1歯=0.25mmでこの単位が写真植字の基本。1ミリは4級となり、基本レンズ以下の文字です。
↑もう小さくて読みづらいから7級から、となってるのだと思います。
で、写した文字列というかバラでも組み打ちでも写植機付随の暗箱に入った印画紙映し出されてて、暗箱ごと暗室に入り、写真と同様「現像」するんです。
写真でなく文字や罫の現像された印画紙を版下用紙に時には、切って貼り、時には、そのまま貼って、版下原稿のできあがり、となるわけです。

この写真植字ですが、写研というメーカーがシェア一位で今やフォントで有名なモリサワは二位だった、と思います。

本当に古い話ですが、私が初めて見た写真植字機は、写研の「SK-3RY」という、歯車むきだしの…、そーですね、大昔のミシンのような…(違うか…)ごつい機種でした。(そういえば、実はモリサワ機を見たことないのです。)

しかし、なんでも原型は見ておくものです、この歯車(ラチェット)に刻んである「歯」こそ、0.25mm刻みの文字通り「歯」で、DTPになったいまでも歯送り=Hという単位で残っております。私自身はこの歯車の記憶ですごく納得して頭に入ってます。

余談ですが、当時勤めていたところの社長が写植オペレーターとしては優秀でしたが、どこかやさぐれたところのある方でかたぎでないニオイを感じました。写植業界は真面目で優秀な技術者たちにもかかわらず、どこかそういうところがありました…。

その後、スピカ(小型の写植機)、パボ8~PAVO-KR(?記憶あやふや?)あたりまでは目にしてました。スピカあたりは実際、教えてもらって植字したこともあります。「一寸の幅」という特殊な文字配列も覚えました。
一応版下もでき、バラうちですが、遅いですが、写植も打てた若かった頃の私。
だからこそ、今のようなDTPにも比較的スムーズに移行できたのかもしれません。

今の業界に入る前の普通のメーカー勤めも、この版下写植を修練(?)した時代も、すべて今の仕事に役にたっています。なんでもやっておくものだなーと思います。

写真植字はご存じのように、今のDTPの大波にさらわれて、どっかの離れ小島に追いやられた感ですが、ことによると東京のど真ん中でいきてるのかも。
漫画の吹き出し台詞あたりははまだもしかしたら写植かも…。うーんでもあんなぎりぎりな進行なもの、やはりmacあたりでそそくさと出力したほうが早いし…。

どなたか、今でも写真植字されてるところご存じないですか…。
↑知ったからといってどうこうということはないのですが。
画像は2年ほど前、千代田区で見かけた、「富士写植ペーパー」の看板。
コメント (9)
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