小うつな人・ケアマネな人、を応援する日記

小うつな方・ケアマネな方、どっちでもある方のために捧げる、ネタのたわごとです。めざそう癒し人!?

レベッカ・ブラウン著「体の贈り物」を読んで(その2)

2012-03-06 08:20:53 | 弱さへの思考
傷ついた癒し人=wounded heder=傷ついているからこそ、他者に対して癒すことが出来る、というのは、
「希望の贈り物」という章で、ミーティングに参加した主人公の記述がある。
「私は部屋を見回して、いろんな人がここにいる理由を考えてみた。聞くところでは、トッドはゲイであり、リ=リは医学部志望で、ベスは孫が感染者で、ドナルドの弟も病気で、デニースの夫はすでに感染して死んでいた。みんな誰かしらそういう人がいる。」

つまり、自らが何らかの理由があり、それは傷ついている状況であり、で、あるがゆえに、エイズ感染者へのホームケア・ワーカーになっている。

私は、思う。

傷ついた経験があるからこそ、他者へのワークができるのでは…と。

共感に限りなく近づくことで、同じ痛みは共有できないが、傍に寄り添うことはできると思うのだ。

私たちのこの国の制度は、本当にろくでもないけれど、
行うことに対しては、気持ちの持ち方を変えることはできるはず。
それによって、行政のいいように使われるもの、気にしつつ、
でも、利用者に対しては、その件は別であるはず。

なかなか難しいことだけど、できるよう努力することは、
自分たちの人生にとって大切なこととも思う。


最後に美しい文章を。

「肌の贈り物」の章に、主人公が利用者に部分浴を実施した後だ。

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シーツを引っぱりあげて、体に掛けようとしたところで、彼が片手で私を制した。
「まだ掛けないで」と彼は言った。「空気がすごく気持ちいい。空気を肌に感じていたいんだ」
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空気が気持ちいいと思えるような瞬間。
私は、そういう瞬間を、目指したいと思う。

ぜひとも、訪問系のサービス提供者の皆様、ターミナルの仕事を目指す方には、お読みいただきたい本です。