宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

本谷礎石の階段

2008-04-24 | Weblog
今回太宰府市教育委員会が調査した
宝満34次調査地点は「本谷礎石群」
と呼ばれてきた建物が想定された場所ですが、
調査ではまさに3間方形の
礎石建物が発見されました。

今回の新知見はいろいろあるようですが、
中でもこの建物に三方向の
階段が付けられていたことは
重要な発見でした。

まずは正方位に制約される建物の
正面ともいえる南につけられた階段。
途中が欠落してしまっていますが、
ちゃんと大きな平たい石を選んで
ステップを順に造り出しています。
この階段の更に南には
広場を挟んで谷に下りるかのごとき
自然石を取り入れた階段が発見され、
南側からの長いアプローチが
設計上志向されていたことが知られました。


そして東側の階段。
この場所は基壇の東裾の南より、
南東のコーナーから曲がったすぐの
段差が若干低い場所にあり、
基壇を廻る列石にまぎれて
3段ほどが作りつけられています。


そして、西側の階段。
下約1/3が壊れて石がありませんでしたが、
正面の階段の石材とはあきらかに
比較にならないほどの小さな石を使い、
ステップも不ぞろいで少し
基壇のラインに対して斜めに取り付けられ、
いかにも便宜をはかって設置された、
そんな印象もある階段です。

顔の違う三つの階段。
建物の性格を考える上で
大変重要な情報を与えてくれています。