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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 10

2025-03-31 13:50:07 | 短歌の鑑賞

2025年度版 渡辺松男研究2の2(2017年7月実施)
 『泡宇宙の蛙』(1999年)【蟹蝙蝠】P14~

     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆       司会と記録:鹿取未放          


10  体臭ははばかるべからざるものと山を行くなり猪独活(ししうど)を折り

             (レポート)
 猪独活は芹(セリ)科の植物で、笠状の白い小花をつける。山へ行くと様々な植物の発する匂いに出会うが、その匂いのどれもが、誰に遠慮することもなく己が匂いを発し、調和している。猪独活に強い匂いがあるかどうか私は知らない。たぶん猪独活を手折ろうと腰をかがめる先々で、山の自生植物の匂いが、作者の嗅覚を刺激したのだろう。「べからざるもの」という作者の主張が、きっぱりとしている。清潔になった現代社会で臭いものは大抵嫌われ、排除される。中年以降の体臭を加齢臭と厭う風潮すらある。だから自分の発する体臭にも敏感になり、つい遠慮が生じる。しかしどうだ。この山の自然を行くとき、存在を明らかにする固有の匂いを発し、植物は遠慮なんかしていない。作者はあるがままの匂いを美しいと感じたのかもしれないし、己が体臭を憚る行為の小ささに、嫌気がさしたのかもしれない。(真帆)


            (当日意見)                       
★猪独活は薬用であり食用でも在るらしいです。芹科ですね。猪だから臭いが強いのかもしれませんね。(A・Y)
★ネットで「シシウドにおい」と打ち込んでも、匂いについて触れている記事にヒットしません。セリ科だから匂いはあるのでしょうが、シシウドを詳細に述べた紹介文でもにおいに触れていないところをみると、それほど強烈な匂いではないのでしょうね。食用、薬用になるそうです。(鹿取)
                 


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