かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 194

2021-03-30 17:18:48 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究23 【眉間】『寒気氾濫』(1997年)79頁~
   参加者:泉真帆、かまくらうてな、渡部慧子、鹿取未放、石井彩子と鈴木良明は紙上参加
   レポーター: 泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
            
    
194 生産を見にいかんかなふんぜんと真夜のセメント工場の白煙

          (レポート)
 作者は仕事でこのセメント工場の視察に行ったのだろうか。中国のユニクロの工場の労働時間の問題が報道されていたが、それを思わせる。「憤然」と見にゆくのだ。(真帆)
 

            (紙上意見)
 バブルの前「モーレツ」ということばが流行った。生産性を高めたら、豊かな暮らしが待っている。そう人々は信じてひたすらに働いた、その頃の様子だろうか。基幹産業であるセメント工場は真夜中でも稼働していたのであろう。ふんぜんと白煙をあげている様子はいかにも頑張っているようで、涙ぐましい。(石井)

 「ふんぜん」は、「憤然」「奮然」「紛然」のいずれだろうか。(鈴木)


          (当日意見)
★「ふんぜん」は自分の感情でもあり、白煙の様子でもあると思いました。(真帆)
★今日のセメントは質が悪いです。だから鉄骨が錆びやすいのです。バブルの頃か、それが大問題
 になりました。かつてのセメントは山砂で品質が良かった。粗悪なセメントだから憤然としてい
 るのではないか。(うてな)
★私は「いかんかな」と言っているので自発的に行くのだと思う。真夜の視察というのもあまりな
 いだろうし。セメント工場はいろいろ問題を抱えているかもしれないけれど、ここでは物を作る
 ということの面白さに興味を持っていると思いました。文明批評の歌もたくさんつくっています
 けれど、ここはちょっと違うかな。(鹿取)


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