かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の歌一首鑑賞 249

2022-11-06 12:09:21 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の短歌鑑賞    
                       鎌倉なぎさの会  鹿取 未放

249 ストレッチャーに乗り移るとき近代的自我なるものもこぼれおちたり
2003年8月作

 57番にも、(ピロシキを食いながらゆく文学部「自我の墓場」の看板のる)の歌があったが、とにかく「自我」という言葉は解釈が難しい。「個」というものを前面に押し出すような、明治以降のいわゆる近代的自我なのだととっておく。
 この辺りの歌稿は全て手術前日の8月12日の夜、手渡されたものなので、この歌は手術される明日の自分の想像である。前年8月に受けた耳下腺腫瘍の全身麻酔による手術の経験から想像されたものなのだろう。
 作者は2003年8月13日、「食堂亜全摘胃管再建鏡視下術」を受け、ICUから出られないまま9月9日に亡くなった。享年68歳。


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