かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 425 韓国③

2024-06-28 10:33:09 | 短歌の鑑賞
 2024年度版 馬場あき子の外国詠59(2013年12月実施)
      【発光 武寧王陵にて】『南島』(1991年刊)P90~
      参加者:K・I、崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:崎尾 廣子   司会とまとめ:鹿取 未放

 
425 王陵の闇より出でて松の葉の白き霧氷に息吐きにけり

         (レポート)
 「王陵」と「白き霧氷」とを対比させ、暗い王陵を出て現実へと引き戻されている様子が表現されている。結句で確かな今を感じると同時に、瞬時にして過去となる今を惜しむ思いを詠っているのであろう。(崎尾)


       (当日発言)
★作者は見ている事物と交歓する手だてをきちんと示される。スイスでも深い谷底を見
 て飴を嘗める歌があって、あれと同じ詠みぶり。(慧子)
★王陵を出てやっと息を吐いたのは、それまでは作者の気持ちも暗かったのだろう。
   (曽我)
★生理的に穴の中に入っていると閉じこめられているような気分になるから、出てきた
 らほっと息を吐きたい気分になるのでしょうね。だからかなり身体的な感覚をいって
 いるのかなと。もちろん、1500年ほどの時の隔たった時代の一端を見てきて、現
 代にいっきに感覚が戻る気分というのは精神的にもちょっと混乱しますよね。(鹿取)
★白い霧氷に白い息、と白いものに白いものを重ねるのが作者のやり方。(慧子)



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