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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 58

2025-06-29 10:41:31 | 短歌の鑑賞

  2025年度版 渡辺松男研究2の8(2018年1月実施)
     『泡宇宙の蛙』(1999年)【百年】P40~
       参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
            レポーター:泉真帆       司会と記録:鹿取未放          
     

58 木となりて一生泣いておりたしと泣きながら締めなおすネクタイ

     (レポート)
 職場で苦しい思いをしている作者がうかがえる。ああ、このまま木になって、自宅から一歩も動かずにいたいというサラリーマン悲歌。だれもが共感できる一首だ。「締めなおす」が切ない。(真帆)


          (当日意見)
★木だったら泣いていてもいい。(慧子)
★どうして「泣いておりたし」なんでしょうかね。普通の人だったら「立っておりたし」って詠むでしょうね。もちろん、「立って」ではつまらないけど。(鹿取)


          (後日意見)
 〈われ〉にも木の不動性が羨ましい時もあるのだろう。仕事に行きたくない気持ちを抑えて〈われ〉は泣きながらネクタイを締め直す。木になったら楽勝、なのではなく「一生泣いておりたし」というところが、この歌のポイントだろう。『寒気氾濫』には次のような歌もある。(鹿取)
  直立で泣き叫びいし翌朝の杉は一層真っ直ぐに立つ

 


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