かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 183 中国②

2023-02-15 12:01:03 | 短歌の鑑賞
  2023年度版 馬場あき子の旅の歌23(2009年11月実施)
    【紺】『葡萄唐草』(1985年刊)
    参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、藤本満須子、
         T・H、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放


183 彼方越ここは呉地なる六和塔の十三層上春たけてをり

      (レポート)
 六和塔の十三層上からはるかかなたを眺めると、かつてあちらの方は越の国だったなあ、そして今、私は呉と言われた国の六和塔の十三層にいる。周りを見渡すと、花咲き鳥が歌う春たけなわである。(T・H)
   呉、越:春秋戦国時代(BC600年~500年頃)の覇者


      (まとめ)
 六和塔は、杭州市街の南方、銭塘江沿いの月輪山に建つ。銭塘江の逆流を鎮めるために970年に建立されたが、戦乱によって消失、何度か建て替えられて、最近では清代(1900年)に木造の外層が造られたそうだ。銭塘江を見下ろす高台にあるため、灯台としての役割もあったそうだ。その十三層は60メートル近くあるので呉越同舟の語源になった越の地の方角の指示標識などもあるのかもしれない。その塔の上から何事もなかったかのような春景色を眺めていると、さまざまな感慨がわくのであろう。「春たけてをり」の結句に寂しいような明るいような茫漠とした気分がにじんでいる。ちなみに呉越の戦いは春秋時代、呉が滅亡したのはBC463年のことである。(鹿取)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 馬場あき子の外国詠 182... | トップ | 馬場あき子の外国詠 184... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌の鑑賞」カテゴリの最新記事