かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 70 中欧 357

2022-05-23 13:41:36 | 短歌の鑑賞
 馬場あき子の外国詠50(2012年3月実施)
   【中欧を行く 秋天】『世紀』(2001年刊)91頁
   参加者:N・I、K・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、
       T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:崎尾廣子    司会とまとめ:鹿取未放


357 アムールを越えてはるかに飛びゆくをあなさびし人恋ひて降(お)りゆける鳥

        (レポート)
 アムール川:ロシアと中国の国境付近を流れる大河。モンゴル北部のオノン川を源流とし、東流
       してタタール海峡に注ぐ。全長4350キロメートル。黒竜江。


        (まとめ)
 「ハバロフスクの上空に見れば秋雪の界あり人として住む鳥は誰れ」に続く歌。ハバロフスク上空からアムール川が見えているのである。一面の雪景色の中、川だけがぽっかりと黒く流れているのだろう。アムールを越えて飛ぶのは、この歌では鳥ではなく作者達を乗せた飛行機であろう。渡り鳥たちが羽を休めるために地上に降りてゆくのを見下ろしているのである。当日発言にあるはぐれた一羽の鳥だと飛行機のスピードから目撃するのは難しいだろう。前の歌の「人として住む鳥」の気分を受けて「あなさびし人恋ひて」と思うのは作者の鳥たちへの優しさである。この鳥たちは人間を恋いて地上へ降りてゆくのだと思うのは自分自身のそこはかとない旅の寂しさが反映しているからだろう。(鹿取)



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