かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 272 トルコ①

2024-02-02 14:13:17 | 短歌の鑑賞
 2024年度版 馬場あき子の旅の歌36(2011年2月実施)
  【シベリア上空にて】『飛種』118頁~
  参加者: N・I、Y・I、崎尾廣子、佐々木実之、曽我亮子、
       T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
   

272 白光を放つ雲上ひきしまり足下にシベリアの秋ひろがるといふ

       (レポート)
 眼下は太陽に照らされた一面の雲海である。下界は厚い雲に覆われていて見えないが、きっとシベリアの秋の大地が広がっていることだろう。下界にはシベリアの秋が広がっていると思うだけで雲上が引き締まって感じられたのであろうか。それとも、以下の歌にあるようにシベリアの地に逝かれた若き兵士たちを思って、お気持ちが引き締められたのであろうか。(T・H)
 

       (まとめ)
 飛行機の中から白光を放つ雲を見下ろしている。雲の下にはシベリアの秋が広がっているはずだが、雲に隠れて何も見えない。レポーター同様「ひきしまり」がやや分かりにくい。「ひきしまり」の主語は雲なのか、作者の心なのか。次の273番歌(シベリアの雲中をゆけば死者の魂(たま)つどひ寄るひかりあり静かに怖る)を読めば、死者の魂が集まっていることと「ひきしまり」には関係があるのだろう。(鹿取)

 

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