かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 81 スペイン②

2024-08-16 09:23:02 | 短歌の鑑賞
 2024年度版 馬場あき子の外国詠9(2008年6月実施)
    【西班牙 2 西班牙の青】『青い夜のことば』(1999年刊)P52~
     参加者:N・I、M・S、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、
       T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:藤本満須子 まとめ:鹿取未放

  ※この項、『戦国乱世から太平の世へ』(シリーズ日本近世史①藤井譲治)・
   『ザビエルとヤジロウの旅』(大住広人)・講談社『日本全史』等を参照した。


81 ジパングの国より来たる感情の溺れさうなる西班牙の空

     (まとめ)(2015年改訂)
 80番歌(海と空のあをさほのけさヤジローとふ日本最初の切支丹帰る)に見られるような日本のあいまいな情緒的な空ではない、きっぱりとしたスペインの空を仰いでの感慨。かつてジパングと呼ばれたはるか東洋の小国から来てみると何もかもがあまりにも違う。日本的情緒を纏ったアイデンティティーが異国で見失われるような不安を詠んでいるのではないだろうか。
 また、ジパングといった時、ザビエルはじめさまざまな宣教師たちがスペインから派遣されて来ていた両国の交流の歴史にも当然思いを馳せている。(ザビエルはポルトガル人だが、スペインから派遣されて来日している。)つまり布教だけでなくその後のキリスト教禁止令や処刑なども含めた両国の関わり合いである。だから「ジパングの国より来たる感情」とはそういうもろもろの複雑な背景にもっているのだろう。(鹿取)

コメント
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