かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 46 アフリカ④

2023-08-23 10:20:16 | 短歌の鑑賞
 2023年度版 馬場あき子の外国詠 5(2008年2月実施)
  【阿弗利加2 金いろのばつた】『青い夜のことば』(1999年刊)P165~
  参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、高村典子、
       藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
  レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放


46 働きもののアフリカ男みてあればやさ男ほど多く働く

    (まとめ)
 アフリカでは男が働きものらしい。しかもやさ男がよく働くという。作者らしい視点である。しかし、「やさ男」を広辞苑で引くと①風流を解する男。みやび男。やさお。②柔弱な男。③風姿の優美な男。やさがたの男。と出ている。この歌では「風姿の優美な男」が当てはまるだろうか。筋骨たくましいイメージのアフリカ男性にも「風姿の優美な男」はいて、しかもそういう男の方が多く働くという。ふっと力の抜けた歌である。人種のこと、宗教のこと、貧富の差など重い問題を詠んできた後で、一連を軽やかに収める歌をもってきてバランスをとっている。
 ところで、既にブログでは鑑賞した中国詠にはこんな歌があって面白かった。
 181 老爺笑み媼は多くきげん悪しき自由市場の干し果肉はも
  228 西域は老仙の国太太(たいたい)の傍らにしてをとこ痩せゐつ
 181番歌は、上海の自由市場で物を売っている夫婦の描写、愛想の良い夫の方が働き者のようだ。228番歌の方は西域で、おそらく肥った妻の蔭にひっそりと痩せた夫がいる構図、こちらは妻の方が働き者のような印象だ。 (鹿取)


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