研究2の9(2018年2月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
【白鳥】P44~
参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放
63 壮快やちからのかぎり白鳥が他の白鳥の羽に嚙みつく
(レポート)
白鳥といえども餌のことか何かで他の羽にかみつくらしい。壮快やと一首に切れをもちこみ、その手法とともに生の現場のすごさを詠う。(慧子)
(当日意見)
★「嚙みつく」はちょっとキツイですね。(曽我)
★凄まじいと私も思います。それだからこそ初句の「壮快や」が生きていると思います。それ以外
は、闘いの凄まじい場面なんだけど、初句に爽やかな語をもってきて、闘いの苦しさにもってい
かずに、爽やかに詠み上げたところが、コミカルな味も出ていて面白い歌だと思いました。
(真帆)
★飛んでいる時はあんなに優雅な白鳥が闘う姿は壮快なんだと思いました。(T・S)
★そですね、「壮快や」がなければ違う歌になりますね。力の限り噛みつくんだから「悲惨だ」と
いう捉え方だってあり得るのですが、真帆さんが言うように「壮快や」と持ってきたことで確か
にコミカルな味わいも出ている。真剣な闘いの場面なんだけど、客観的に見ていると壮快という
か、生というのはこうでしかありえないと肯定しているんですね。(鹿取)