Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

『勝者の思考法』/二宮清純氏の講演(前編)

2007-02-08 21:43:56 | その他スポーツ
記事を起こすのに時間を要し、読者の皆さんには、先ずお詫び申し上げます

今週の日曜日(4日)に、小生の住まいのある市内の文化施設で、表題にある演題で、二宮清純氏の講演会がありました。

この講演会が催されることを知ったのは、実は会社内の掲示板でした。
ワイドショーにコメンテイターとして度々登場する氏のコメントが、冷静かつ的を得ているので、氏に対する小生の興味は、ずっと前からあったので、大歓迎でした。
しかも、聴講料は「無料」というのだから…これは出かけるしかないと。

講演内容は、とにかくたくさんの事例を紹介しながらの盛りだくさんで、90分がアッという間に過ぎました。

ものすごく簡単にまとめると、以下の4つのテーマにに大別されていました。

①スポーツと政治・経済と関わり
②スポーツとマネージメント
③スポーツと地域活性化
④スポーツを通じて思う『リーダー』の資質

いずれのテーマも具体例が豊富で、しかもイメージしやすいため、とても1つの記事にまとめ切れません…
2回に分けて紹介しようと思います。

今日は、先ず、前編として、①と②について紹介しようと思います。
(後編の③と④は、明日もしくは明後日に紹介します。)


先ず、①の「スポーツと政治・経済との関わり」についてです。

これは、松坂大輔投手のボストン・レッドソックスへのポスティングシステムでの移籍と、MLBにおけるホームラン記録を例に挙げて説き明かしていただきました。

皆さんご存知のように、松坂投手の移籍に要した経費は、年俸も含め130億円といわれています。
では、なぜ、ボストン・レッドソックスが、こんな大金を松坂投手獲得のために投資できたのか…。
実は、アメリカにとってのMLBは、日本でいう大相撲と同じで、「その国の“象徴”」である故に手厚い保護・支援を受けているので、氏によると、決して破綻することはないため…とのこと。
そして、ライバル球団として、松井秀樹選手が属するニューヨーク・ヤンキースの存在が常にあり、この両球団はMLBにとっても「“競争”と“協調”」を生んでおり、これは車に例えれば「両輪」にあたり、片方たりとも欠くことのできぬものである…と。
そして、ニューヨーク・ヤンキースは、松坂投手を獲り損ねた大金で、井川投手を獲得。
これで、日本の敵対するはずの巨人と阪神ファンが、ヤンキースの試合を一緒に観戦するし、レッドソックスとのライバル対決も注目されること必至で、集客が望めるのでは?と語っていました。
これも、「“競争”と“協調”」の産物と考えることができますね。

また、MLBのホームラン記録とアメリカの国家情勢を比較すると…

 ベーブ・ルースの登場時は、「アメリカの世界進出の顕在化」
 ロジャー・マリスの登場時は、大統領がJ・F・ケネディーで、「キューバ危機」
 M・マグワイヤ&S・ソーサの登場時は、「国際テロ組織に対する抵抗」
 バリー・ボンズの登場時は、「9・11の同時テロ多発」

といった具合に、ホームラン記録が誕生するその陰には“強いアメリカの象徴”あるいは“アメリカの強さの誇示”が隠れている。そして、ソーサやボンズの登場は、「政治は白人だけのもの」という時代の終焉であると共に、「政治は皆のもの」的な発想が市民権を得た…と。

これだけ例示されれば、スポーツの発展と政治・経済が、いかに密接な関係にあるのかが頷けますね~。


次に、②のスポーツとマネージメントについて。

これは、昨年のサッカー・ワールドカップの日本オーストラリア戦のジーコ監督の采配を例に挙げて、説き明かしていただきました。

後半に入り、ジーコ監督の選手交代で切ったカードは、小野伸二選手でした。
そこに、ジーコ監督の“チームマネージメント力の欠如”を見たと、氏は語りました。
つまり、小野選手は、どちらかといえば守備的なMFで、ドリブル力とボールキープ力が持ち味の選手。
ジーコ監督はこの交代で、「小野にボールを集め、ボールキープして逃げ切れ」とのメッセージを発したはずなのに、ピッチ上の選手には、小野選手の投入により“攻撃重視”か“守備重視”かが不鮮明のままで、監督と選手間、そして選手同士のメッセージの疎通が取れず、その間隙を突いてオーストラリアが得点し、逆転した…と。
逆に、オーストラリアのヒディング監督の選手交代で切ったカードは、アロイージ選手といった“攻撃のスーパーサブ”でした。
ヒディング監督の「とにかく攻め倒せ」のメッセージが、ピッチ上の選手にも分かりやすく鮮明に伝わり、チーム全体が攻めに回り、日本のもたつきの間に3得点し、見事逆転に成功…。
(ちなみにアロイージ選手は、イタリアのセリエAでも、オーストラリア国籍の選手初の得点者としても活躍し、記録に残る程の選手です。)

そして、もう1つジーコ監督が見落としていたのは、「日本は、実は“サッカー後進国”である」という事実…。
これは、98年フランス大会での、以下のデーターが証明しています。

 シュート決定率は、日本が「1.8%」で、世界が「8.8%」
 オンターゲット率は、日本が「20%」で、世界が「39%」

つまり、日本は世界相手に約8倍得点しなければ勝てないことと、2倍ゴール枠内へのシュートを放たなければ、やはり勝てないことを表しています。
実際、02年までのワールドカップでの日本の得点のうち、FWの選手の得点は僅か「2」。
昨年のワールドカップは「1」で、玉田選手がブラジル戦で決めたもの。
世界で活躍していた高原選手&柳沢選手が酷評されるのも無理もないデーターです。

つまり、マネージメントにおいて重要なのは、「決めるべき時に決められるか」…
言い換えれば、「決める時には必ず決める」ということ…と氏は熱く語りました。
そうです。ブラジルのロナウド選手のように…。
昨年のワールドカップでも、日本はブラジル戦でも、ロナウド選手にゴールを奪われてから、急ブレーキがかかりましたよね。
そしてジーコ監督は、「日本における“ロナウド選手”は誰か?」が、結局見分けられぬまま辞任しました…。

スポーツに留まらず、管理者のマネージメント力の重要さが、この例でよく理解できます。

氏も語っておられましたが、サッカーにおける日本の中盤でのボール回しは、企業に例えて表現すれば、稟議を通すために、上司そしてそのまた上の上司…の押印をいただきに奔走する社員のようですよね。
日本は、3大会連続ワールドカップに出場して、確かによく頑張っているけど、負けるたびに出る言葉が、「負けたのは、みんなの責任」…。
でも、そう言っているうちは、「みんな一人一人に責任がある」んですよね

自戒も込めて、納得です。


とにかく、実例&データー提示で講演が進みましたので、説得力があるある

読者の皆さんも、頷けるところがおありかと思いますが、いかがでしょうか?
もちろん、反論もおありかとも思いますが…。


後編は、よりヒューマニズムに富んだ内容です。どうぞお楽しみに。


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1 Comments

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Unknown (振られ飛車)
2007-02-13 20:39:17
いつぞやの「一億総ざんげ」と同じですね。近年の日本のフォワードはゴールだけを決める大砲タイプは嫌われますから。

二宮さんも、最近はテレビに出すぎているのは考えものです。
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