Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

久しぶりの『現代国語の授業』

2007-03-08 23:46:28 | 雑感
本題に入る前に、先ずはこちらの写真をご覧下さい。





いずれも小生の出身高校である、埼玉県立春日部高校の、小生が卒業した昭和62年度(今から約20年前)の卒業アルバムから複製・転写したものです。

上の写真が、卒業生の担任他の担当になられた先生方の集合写真で、その下段の一番右に写ってる先生が、今日話題として取り上げるお方です。
下の写真は、そのお方の別の写真(個別写真)で拡大したものになります。

いきなりクイズですが、この先生…一体どなたでしょう?
読書が趣味の、このブログの読者の方なら、一発で正解できると思います。


そうです。正解は、ミステリー作家でおなじみの『北村 薫』先生です。
因みに本名は、『宮本 和男』先生。


先生は作家に転進する前、小生の母校でもあり、先生の母校でもある、春日部高校の国語の教諭として、教壇に立たれていました。

実は小生、高校3年生の時、『宮本』先生の現代国語の授業を1年間受けています。

一番上の集合写真でご理解できると思いますが、先生は、小生が高校3年生の時、同じ学年の別のクラスの担任もなさっていたので、こうして写真を2枚紹介できた…というわけですね


さて、本題ですが、今日の朝日新聞の朝刊の生活面で、来月から始まる男性向けの投稿欄『男のひといき』の開設にあたり、先生がエールを贈る意味で登場されていました。

先生のお姿を、再び拝見できて、懐かしくなりましたね~

ですが、先生のメッセージの中に、大切なものを見出した気がしたので、こうして記事をエントリーしました。

先ずは、先生のショートエッセイを紹介します。
(以下は、朝日新聞の今日の朝刊の記事を引用し、紹介します。)

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 「馬は人を見る」という。
乗馬未経験者を侮るそうだ。ところで、猫もまた、人を見る。
 わが家には、ゆずという猫がいる。のんびり寝てばかりいる。
目の色が変わるのは腹が空いた時だけだ。
まず、「めしをくれ」と鳴く。「まだ、早いだろう」というと、ふてくされる。
そして何と、──テーブルの上の紙への攻撃を開始するのだ。
爪を立てたり、噛みついたりする。
こちらは物書きだから、紙を攻められるとつらい。
困ると知っているのだ。わたしがいない時には、そういうことをしないらしい。
 先日のことだ。たまりかねて、「やめてくれよ」と手を出した。
その、私の指の動きと、ゆずの爪のアタックが、空中でぴったり出会った。
百万にひとつの偶然、という感じで、彼の尖った、太い釣り針のような爪が、
わたしの右の中指の、爪と肉の間に、ぐさりと食い込んだ。
 これは痛い。尋常でなく痛い。
 うずくまり、次に跳びはねながら、「こんなに面倒をみてやっているのに、
どうしてこんな目にあわなければいけないんだっ!」と、うめいた。
 そこで、「愛の関係において、爪をふるう強者と傷つく弱者が生まれるのは
別に珍しいことではない」という、ひとつの定理に思い至り、わたしは
「なるほど」と、妙に納得しつつ、消毒薬を探し始めたのだった。
*************************************


そこで、このエッセイを踏まえて、『宮本』先生はこう語っています。

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大切なものって、日常に転がってたりしますよね。
猫の爪が刺さった瞬間の痛みや…(中略)…日常の中にはあります。
しかし、そんなものも時とともに風化し、消えていってしまう。
デジカメで場面をとどめておくように、言葉でとどめようとすれば、
出てきた言葉はどんな像を結ぶでしょうね。それは自分が生きてきた記憶であり、
記録になる。
 同じように猫を書いても、書く人によってまったく違うものになります。
書くことは結局、己を書くということですから。
 書こうと思ってまわりを見ることで気づくこともあります。…(中略)
見えなかったものが見えてくれば、生活が豊かになるかもしれません。
 一つひとつは個人的な体験でも、読み手が「私だけじゃないんだ」って、
それが救いになることってありますよね。
「あるある」と共感したり、力づけられたり。日常の一コマが普遍的なものに
なるんです。
 ある投稿に応える投稿が生まれるなど、キャッチボールもあるかもしれません。
そういうことが語られていけばパッチワークのように日本の今の家庭の姿が
浮かんでくると思います。
 書くことのおもしろさは男女共通です。男性のものの見方が表れる投稿は、
女性にとっても興味深いのではないでしょうか。
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ブックマークさせていただいているnanaponさんが管理なさっている『即席の足跡《CURIO DAYS》』というブログで、『本音を書き続けること』という先日エントリーされた記事や、少し前に遡って『知的生産性のツールとしてのブログ』という記事でも語られていましたが、『宮本』先生がおっしゃっていることと、非常にリンクしていると小生は感じましたが、読者の皆さんは、いかがお感じでしょうか?


書くということの意味…改めて、お二方からご教示頂いた気がしています。
心から感謝したいです

そして、およそ20年ぶりになる、久しぶりの『宮本』先生の現代国語の授業…堪能させて頂きました。
先生の授業で印象深いのは、森 鴎外の『舞姫』の授業でしたが、今、それに似た感動を覚えています。

こういう感動って、おすそ分けした方が、価値があるのかな?と、小生は思いまして…
それで、紹介させていただきました。


上手に言えなくて恐縮ですが、改めて、ブログを始めて良かったな…
せっかく始めたので、楽しみながら記事をエントリしていこう
そして、ブログを通じて情報交換させていただいている方々とのご縁は、大切にしたい…。

この記事を終える今この瞬間も、そう感じています


追記

宮本先生(=北村 薫 先生)の2005年に朝日新聞に連載された小説『ひとがた流し』が、なんと直木賞候補作品に挙がっていたんですね。大きな賞に手が届くほどの売れっ子作家に上り詰めたなんて…考えただけで凄いです。

蛇足ですが、一番上の写真の下段の一番左に写っている先生が、NHK教育テレビの英語関連の講座の講師も担当されたご略歴がある、現在は神田外語大学で教壇に立たれている小野田 榮 先生です。

英語ができない小生を、毎回授業で指名しては、できるまで補習や追試験を小生に課しましたが、応援団にすごく理解がある先生で、大好きな先生です。
今でも年賀状のやり取りが続いており、実家近くに住所があります。実家に帰った時、今度一緒にお酒でも…と思っています

そして、上段の右から3番目の「小室 哲哉」風のお方が、小生が1年生と3年生の時の担任だった関谷先生です(数学を担当。先生のHP『すうがくしつもんばこ』はこちら)。

話し方や声質も「小室 哲哉」っぽくて、小室さんをテレビで見るたび、先生を思い出します。

こうして改めて思うと、凄い先生方の授業を受けていたんだな…と。

正直、ビックリしています

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2 Comments

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Unknown (晶子)
2007-03-11 12:45:26
TBありがとうございました~。
直接知っている方だと、書かれたものを読むときの受け取り方もずいぶん変わってくるんでしょうね。
「舞姫」の授業、うらやましいです
返信する
コメントありがとうございます。 (Dancho)
2007-03-11 21:06:46
晶子さん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。

宮本先生に関しては、その外見や授業の進め方とはちょっと違った作風なので、ビックリしています。
とてもミステリー作家とは思えない風貌で…。

直木賞ノミネート作品となった『ひとがた流し』あたりは、ちょっと小生が授業を受けていた当時の印象に近い作品かも知れませんね。

晶子さんの評価が高い『街の灯』…ぜひ手にして読んでみます。

宮本先生を知る小生の切り口で、感想などコメントさせていただければ…と思う次第です。

また度々そちらに寄らせていただきますので、今後とも、よろしくお願いします。

(大河ドラマ『風林火山』も、毎週楽しみですし。)
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