押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

誤読日記 斎藤美奈子 朝日新聞社 ¥1575-

2005-12-26 16:03:44 | 気になる本
いつもの斎藤美奈子さんらしく、面白い視点からの書評。読者の視点も広げてくれる。善悪、正邪ではなく、視点の広さが主眼なのである。

例えば、174頁、「日本の歴史01 縄文の生活誌」岡村道雄著 講談社 ¥1575-、については、00巻の網野善彦の、・・・<女性、老人、子供、さらには被差別民の社会の中での役割>に目を向ける、と言う宣言に斎藤氏はちょっと興奮したが・・・、読んだら食わせ物だった。01巻は家父長的な、旧来の男社会の記述で、網野先生の宣言とは相容れない、と看破した。
そして、この項の注を読むと、これが例の遺跡捏造事件に関連して、この本は絶版になり、その改訂版が出た。改訂版についても面白い書評が341ページにあり、これらを読むと本当に面白い、斎藤美奈子さんって他人を楽しませてくれる、優れたエンターテイナーである。

因みに、これは図書館で借りた本で、年末が締め切りで、大急ぎで読んでいる一つ。