


タビー・ヘイズから連綿と続くブリティッシュ・ジャズ・テイストを受け継ぐ正統派テナーマン、Simon Spillett (サイモン・スピレット)の『 Introducing Simon Spillett 』 ( 2006 woodville )に続く第二弾が発売になりました。
典雅なバップ・メロディーが満載であった痛快デビュー作を踏襲する内容で、メンバーもほぼ同一のワン・ホーン・カルテット編成。これといった目新しさはありませんが、約半分の楽曲がタビーのオリジナル曲であり、あくまで敬愛するタビーへのこだわりを持って制作された作品です。(ジャケットの姿もタビーに似てません?)
前作を取り上げた際にも紹介しましたが、あらためて簡単に経歴を記しておきます。
1974年イングランドのバッキンガムシャー州に生まれたサイモン・スピレットは,10代後半にディック・モリシーやスパイク・ロビンソンらのバンドで演奏経験を積み,その後イギリスの伝説的サックス奏者でありクラリネット奏者もであるヴィック・アッシュに2年半師事しました。プロとしてのデビューは1996年で,当時21歳だった彼は既に自分のバンドを持ち,一方でデュオから大編成のバンドまで手がけ,ロンドンのロニー・スコットをはじめ,数多くのクラブで活躍していたようです。なお、デビュー作『 Introducing Simon Spillett 』は2007年の『 BBC JAZZ AWARD 』 の Rising Star 部門で一位に輝いています。
スタイル的には完全にバップの範疇なのですが、その繰り出すバップ・フレーズの常套句のスピード感たるや尋常ではありません。エリック・アレクサンダーも真っ青の饒舌さです。現代ジャズ史のメインチャプターには決して載らない流派ではありますが、屈託なく豪快にブローするハード・バップは、いつ聴いても爽快な気分にさせてくれてイイものです。音質が格段に良くなったタビー・ヘイズのリイシュー盤を聴いているような錯覚を覚える作品ではありますが、これはこれで不滅の定番として長く愛せる作品だと思いますよ。
Simon Spillett 『 Sienna Red 』 2008 woodville WVCD120
Simon Spillett ( ts )
John Critchinson ( p )
Andrew Cleyndert ( b )
Spike Wells ( ds )

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