
先日,エリ・デジブリ(eli degibri)の新作,『 Emotionally Available 』のピアノは誰だろうと書いてしまいましたが,たまたま今日,アーロン・ゴールドバーグのHPを見ていたら,エリ・デジブリの新作にも参加していることが判明しました。試聴した限りゴールドバーグっぽくなかったけど。でも良かったです。エリ・デジブリの『 in the beginning 』が出来が良かったのもひとえにゴールドバーグのプロデュース器量によるところが大きいですからね。ということで,今日はゴールドバーグのちょっと前にリリースされた新作『 Worlds 』(sunnyside)について書こうと思います。実はこのところ聴き過ぎたせいか,年がら年中,頭の中で1曲目の<Lambda De Serpente>のテーマが鳴っているんですね。とってもシンプルなテーマだけど,妙に記憶に残るテーマです。彼のHPを開くと自動演奏されますので一度聴いてみてくださいね。
アーロン・ゴールドバーグの場合,僕はオマー・アビタル(Omer Avital),マーク・ミラルタ(Mark Miralta)とのOAM Trioから入ったので,どうしても彼個人名義の作品はインパクトに欠ける感じがするのです。OAM trioが三者対等の緊張感漲るインタープレイを強く打ち出しているのに対し,ゴールドバーグ自身の作品は,彼の内面のデリケートで柔らかい部分が表出した作品作りをしています。別の見方をすると,前者が緊張,後者が弛緩。ゴールドバーグはそれぞれのバンドを使い分けているのがよく分かります。そういうバンドの使い分けは当然と言えば当然のことではありますけどね。そうそう,最近,幻のレア盤『 untold story 』が再発されたエンリコ・ピエラヌンツィも,ヨーロッパ人編成のトリオ,スペース・ジャズ・トリオが<緊張>だとすれば,マーク・ジョンソン,ジョーイ・バロンとのアメリカ人編成トリオは,大雑把に言えば<弛緩>かも。
で,本作の内容ですが,今こうして記事を書くため彼のOfficial HPを読んでいたら,先程お話したM-1<Lambada De Serpente>という印象的なゆったりしたメロディーを持つ曲は,ジャヴァンの作曲でした。それにM-5<Modinha>とM-8<Inutil Paisagem>もジョビンの曲でした。彼は2000年頃,頻繁にブラジルを訪れ,多くの時間をブラジルで過ごしたようです。《 my love for Brazilian music began to grow exponentially. 》と言っています。最後の《, exponentially 》とは《指数関数的に》という意味です。なにせ彼はハーバード大学卒ですから,言う事も難しいのです。ゴールドバーグとブラジル音楽はちょっと結びつきませんけどね。
M-4<Unstablemates>はベニー・ゴルソンの名曲<Stablemates>の複雑なアレンジを施した現代版Stablematesですが,頭から鋭く切れ込むイントロはゴールドバーグらしいアレンジでカッコイイです。M-7<OAM’s Blues>というOAM風ブルースなんかをこの三人で演奏するあたり洒落が効いています。このブルースだけがテンション高い演奏です。
本作を含め今までにゴールドバーグのリーダー作は3作品リリースされていますが,本作がもっともゴールドバーグらしさが表現できているアルバムではないかと思います。作品を追うごとに鋭角繊細,神速反応型の彼独特のスタイルが確立されていき,完成度は非常に高くなってきました。同じようなことはOAM Trioの作品でも言えることですが,彼は現在もなお進化の過程にあると言ってよいでしょう。
と言うことで,ゴールドバーグの他の作品については次回お話します。
Aaron Goldberg 『 Worlds 』2006 Sunnyside
Aaron Goldberg (p)
Reuben Rogers (b)
Eric Harland (ds)
Kurt Rosenwinkel (g) 1曲のみ
Luciana Souza (vo) 1曲のみ
アーロン・ゴールドバーグの場合,僕はオマー・アビタル(Omer Avital),マーク・ミラルタ(Mark Miralta)とのOAM Trioから入ったので,どうしても彼個人名義の作品はインパクトに欠ける感じがするのです。OAM trioが三者対等の緊張感漲るインタープレイを強く打ち出しているのに対し,ゴールドバーグ自身の作品は,彼の内面のデリケートで柔らかい部分が表出した作品作りをしています。別の見方をすると,前者が緊張,後者が弛緩。ゴールドバーグはそれぞれのバンドを使い分けているのがよく分かります。そういうバンドの使い分けは当然と言えば当然のことではありますけどね。そうそう,最近,幻のレア盤『 untold story 』が再発されたエンリコ・ピエラヌンツィも,ヨーロッパ人編成のトリオ,スペース・ジャズ・トリオが<緊張>だとすれば,マーク・ジョンソン,ジョーイ・バロンとのアメリカ人編成トリオは,大雑把に言えば<弛緩>かも。
で,本作の内容ですが,今こうして記事を書くため彼のOfficial HPを読んでいたら,先程お話したM-1<Lambada De Serpente>という印象的なゆったりしたメロディーを持つ曲は,ジャヴァンの作曲でした。それにM-5<Modinha>とM-8<Inutil Paisagem>もジョビンの曲でした。彼は2000年頃,頻繁にブラジルを訪れ,多くの時間をブラジルで過ごしたようです。《 my love for Brazilian music began to grow exponentially. 》と言っています。最後の《, exponentially 》とは《指数関数的に》という意味です。なにせ彼はハーバード大学卒ですから,言う事も難しいのです。ゴールドバーグとブラジル音楽はちょっと結びつきませんけどね。
M-4<Unstablemates>はベニー・ゴルソンの名曲<Stablemates>の複雑なアレンジを施した現代版Stablematesですが,頭から鋭く切れ込むイントロはゴールドバーグらしいアレンジでカッコイイです。M-7<OAM’s Blues>というOAM風ブルースなんかをこの三人で演奏するあたり洒落が効いています。このブルースだけがテンション高い演奏です。
本作を含め今までにゴールドバーグのリーダー作は3作品リリースされていますが,本作がもっともゴールドバーグらしさが表現できているアルバムではないかと思います。作品を追うごとに鋭角繊細,神速反応型の彼独特のスタイルが確立されていき,完成度は非常に高くなってきました。同じようなことはOAM Trioの作品でも言えることですが,彼は現在もなお進化の過程にあると言ってよいでしょう。
と言うことで,ゴールドバーグの他の作品については次回お話します。
Aaron Goldberg 『 Worlds 』2006 Sunnyside
Aaron Goldberg (p)
Reuben Rogers (b)
Eric Harland (ds)
Kurt Rosenwinkel (g) 1曲のみ
Luciana Souza (vo) 1曲のみ
トラバさせていただきますね。
>私の方ではどなたもツッコミを入れてくれなくて、いささか寂しかったです
でも,ちゃんと読んでますよ。ロムだけの方も大勢いらっしゃいますかね。
僕も予定ではnaryさんが書かれた後,すぐに記事を書こうかと思っていて,書いたらコメントを入れようと思っているうち,ずるずる今日になってしまったというわけです。
それにしても3曲がボサノバの曲だって知ってました?
それにしても台風の影響か暑苦しくて眠付けません。
といってももう朝になってしまいましたが、この時間だというのに室内温度が29度もありますよ。
エアコンが欲しいです。
でも東北は夏でも涼しいですよね。
以前,夏休みに奥入瀬に行ったことがありますが,
旅館でエアコンを使わなくても涼しかったのを覚えています。
でも,ナリーさん,
1ヶ月,CD買うの我慢すれば買えますよ。