雨の日にはJAZZを聴きながら

FC2 に引越しました。http://jazzlab.blog67.fc2.com/

Emanuele Cisi 『 urban Adventures 』

2006年03月22日 22時42分45秒 | JAZZ
イタリアン・ジャズが好きだなんて言っておきながら,今までこの人を聴いたことながったんです。どうしてかって,名前があまりにもジャズマンらしくないでしょ,エマニュエルなんて。しかも名字はシシですから,どう転んでもジャズマンには聞こえない。しかも顔がムサクルシイでしょ。単にそんなどうでもいい事で今まで聴かず嫌いしていたことを本作を聴いて深く反省しております。結論から言うとものすご~く,イイ。どうイイかというと,high Fiveそっくりの2管イケイケ・ハード・バップで乗らせといて,哀愁バラードでほろっと泣かす。緩急つけて人の心を弄ぶ,とっても聴き手の心を掴むのが上手いところがたまりません。テナーも上手いがそれ以上にソプラノの音色が涙腺を刺激します。う~,顔に似合わずナイーブな感性の持ち主なのね。

そもそも彼の名前を知ったのは,杉田宏樹氏の著書『 ヨーロッパのJAZZレーベル 』の中で,Pygmalion から2000年にリリースされたエマニュエル・シシの『 L'ange Cache 』(邦題:隠れた天使)が紹介されていたことでした。このアルバムには,ナタリー・ロリエ,パオロ・フレス,アルド・ロマーノらが参加していて,杉田氏も1頁を割いて熱く紹介していたことから,かなり出来のいい作品であろうことは想像していまいした。でも,いつのまにか店頭から姿を消していて,そのまま僕の頭の中では「中古で見つけたらとりあえず買っておくCD 」リストに入ってしまったわけです。

最近は「ガッツ・プロダクション」の新譜は全て押さえるようにしていたので,今回は買い逃すことがなかったですが,このところ5つ☆作品がなかったガッツの諸作品の中で,これはダントツの5つ☆です。愛しちゃってます。

ところで,スイング・ジャーナル4月号から「ジャズ界にもの申す!」という連載が始まりました。第一回のライターは岩波洋三氏が担当しているのですが,その中で「ヨーロッパジャズ・ファンの中には,最近少々飽きてきたという声も聞かれるようになった」と言われていました。確かにこれだけ欧州ジャズ,特に僕などはピアノ・ジャズを聴いていると,どれも高水準で出来はいいのですが,さて,今聴いているのは誰のアルバムだったっけと,混乱してしまうほど似たようなミュージシャンが多く,最近は少々食傷ぎみではありました。でも,このエマニュエルの新作などを聴いてみると,まだまだ,どうして,欧州ジャズには僕の知らない秘宝が数多く眠っているんだな~と,日々のCD漁りにも熱が入る今日この頃であります。

Emanuel Cisi の HPはこちら。今までのリーダー・アルバムの試聴もできます。

P.S. メンバーについては触れませんでしたが,ピアノのパオロ・ピッロもペットのフランソワ・シャサーニトも実に味のある歌を奏でます。特にM-5<Weather of Dreams>でのピッロのソロには,酒と涙なしには聴けません。

Pippo Matino 『 Bassa Tensione 』

2006年03月22日 21時57分38秒 | JAZZ
3月14日に当ブログで紹介した15才のピアニスト,オースティン・ペラルタが,昨夜,PerfectTV! の「ルーシーズ・ルーム」に出演していたので観てみました。アルバムのライナーノーツには,彼自身が競演したいベーシストとしてロン・カーターを指名したと書いてありましたが,インタビューの中では,「彼(ロン・カーター)のことは,競演するまであまりよく知らなかったんだ。でもその演奏を聴いてショックを受けたよ。素晴らしいんだ。」と答えていました。怖いもの知らずの15才ですね。末恐ろしい少年ですわ。

今日は,昨日紹介したイタリアの驚異のベーシスト,ドミニク・ディ・ピアッツァの流れで,もう一人,イタリアのベーシストを紹介したいと思います。ピッポ・マティーノというベーシストです。日本では全くの無名です。本国でもどれくらい知名度があるのかわかりません。でもフラビオ・ボルトロのデビュー・アルバム『 Road Runner 』(1999 Blue Note)やファブリティオ・ボッソも参加しているサバティーノ・マテウチの『 Stanky Ma Funky 』(2005 wide sound)にもクレジットされているくらいですから,そこそこ活躍しているのでしょう。

本作は1993年,VIA VENTOから発売された彼のおそらく唯一のリーダー・アルバムです。マイク・スターンが2曲で参加しています。その他にもロッコ・ジファレリも参加しています。ピッポのベースはジャコそっくりです。フレッテッドを弾くとジェフ・バーリンにも似ています。とにかく馬鹿テクです。ジャコの<Tenn Town>を演奏していますが,ウェザー・リポートの『 8:30 』での<Tenn Town>そっくりなんです。少しは自分なりにアレンジすればいいようなものを,全くそんな小細工をせず,ストレートにジャコを真似ているんですね。

ベーシストには面白いアルバムですが,一般的にはお勧めできないかもね。でも,中古店で安く見つけたら,聴いてみても損はないと思いますよ。

<訂正>
フラビオ・ボルトロのでデビューアルバムは『 Road Runner 』(1999 Blue Note)と書きましたが,VENTO AZULさんより,1991年9月録音のFLAVIO BOLTRO QUARTET/FLABULA(PENTA FLOWERS)が最も古いとのご指摘をいただきました。訂正してお詫びいたします。