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澤地久枝・声なき声を聞く

 全4回放送中すでに3回終了してしまっていますが、3回とも胸に響きましたので、きょうのテレビ番組を紹介します。

 10月30日午前10時5分~10時30分。

 NHK知るを楽しむ選 人生の歩き方『澤地久枝・声なき声を聞く 第4回「異形の死」をなくしたい』

 日本放送出版協会『人生の歩き方 ’08 8・9月号』としてムックになっています。活字でも読めるのですが、ぜひ澤地久枝さんの話しぶりを見ていただければと思います。

 画面に77歳と年齢が出ていました。

 速射砲のように出てくるおびただしい言葉の無駄のなさ(ハリのある声)を聞いていると、オノレの表現の拙さに愕然としてしまいます。鍛え方がまったく違うわけです。

 (略)そして五味川純平さんから『戦争と人間』の資料助手に誘われたのです。
 もともと歴史にうとかったわたしが近現代史に詳しくなったのは、この仕事を通して鍛えられたからです。昭和初年からの新聞の縮刷版を古書店で買い集め、戦争やそれに関連する事件や記事、さらには役に立ちそうな広告の類(たぐい)を探しながら一面から社会面まで読み込んで、主要記事をルーズリーフに全文を書き取る。調査可能な資料は突き合わせて調べ、神田の古書店街で資料を探しました。
 そうして得た資料をもとに、五味川さんに大小の事実をレポートにまとめて提出しました。昭和の戦争の発端から極東国際軍事裁判終結までが対象でした。小説には書き込めないような事柄のうち、主要な歴史的事実や人物像を、小説の巻末註にしました。その註を書くのはわたしの分担でした。名前は出していません。五味川さんの発想や文体で原稿をまとめました。後にノンフィクションの作品を発表したとき、わたしの文章は男性的だと評されたのですが、それにはこのときの経験がありましょう。
 やるべきことはあまりにも多く、資料助手をしていた間は午前四時前に寝たことがありませんでした。世の中に“完璧”はありえないのですが、それに近づきたい、だれにも負けない資料助手でありたいという責任感があり、結局は自分自身で仕事をエスカレートさせていたところもあります。
(略)
 
今日は生きているけれど、明日はわからないという、まるでいのちの綱渡りをしているような日々でしたが、一方で、あれほど精神が生き生きしていたこともありません。未知の分野を、資料をもとにつなぎあわせ、さまざまな因果関係を読み解いていく喜びを、このときの助手の仕事を通してわたしは知ってしまったのです。  ―第3回「三度の心臓手術」よりp51~52―

 

 いまとなっては、録画をしていなかったのが悔やまれます。

 第1回 昭和と向き合う 

 第2回 貧しさを背負う

 第3回 三度の心臓手術

 第4回 「異形の死」をなくしたい

 今回がすでに再放送ですから、再々は半年ぐらいは待たなければならなさそうです。      

 

           ※クリエイト速読スクールHP

 

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