月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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レグルス・3

2015-06-04 06:07:57 | 詩集・瑠璃の籠

男が掘った穴は
予想以上に深い
星が三つ入るほどの海溝が
いくつもできている
その底には
縮んだ女の頭蓋骨が
無数に転がっている

痛ましい

蓮の花霊が骨を浄めていった後
白い胡蝶蘭がやってくる
どれだけの兵隊を呼べばいいか
探るために現場を見に来たのだ

暗闇をくぐればくぐるほど
底なしのように深くなると
思っていたが
やはり底はありましたか
きついものだ
これを やらねばならぬのか

胡蝶蘭は海溝の底を見渡しながら
苦しげに顔をゆがめる
いずれはやらねばならぬことだと
思っていたが
これほどのことになっているとは

そう言って胡蝶蘭は上昇してゆき
花軍を指揮する菊の霊のところに
報告をしにいくのだ

菊樹システムか
おもしろいことを考える人だ
菊が木になどなったら
大変なことになると思っていたが
まさか現実にそんなことになるとは
思ってはいなかった

桜樹の時代はあまりに早く過ぎ去った
まさに桜のように
はかなく散って消えた
あの人がもっと長く生きてくれていたら
ここまでのことにはならなかったかもしれぬが

菊が 明るむ太陽の子のような
美しくも激しい目をした男どもが
まさに大樹に咲く花のように群れて
やってくる
あらゆる馬鹿の暴虐の影と戦うために

正義の翼は羽ばたき
復讐の刃が蘇る
勇猛の星は高く飛び
かつて一度も人類を愛したことのない
神の眼差しのもと
あらゆる活動を激化する
炎を放つ

覚悟せよ
人類よ



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