月の岩戸

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アンタレス・32

2018-08-14 04:14:25 | 詩集・瑠璃の籠

馬鹿な女は
ひとのものが欲しくてしょうがないのだ

自分には何もないから
何もしていないから
よそのいい自分をまるごと持って来て
すべてをすりかえようとする

自分を見ても
何もいいものは見えないから
むなしい馬鹿ばかりが見えるから
あっちがいい
あっちの自分がいい
あれを自分にするのだと
いたい美人を見て
頭の先から足の先まで真似をして
ほかの人間になろうとする

愛してなどいないのに
愛の人のまねをして
愛していそうなふりをする
それはきれいにまねをする

いい女になりたいのだ
とびきりの
いい女になりたいのだ
本当の自分など忘れ

人真似ばかりして
自分を馬鹿にして
自分以外のものになっている
馬鹿な自分など忘れ

自分ではない
最高の美女になりたいのだ




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