月の岩戸

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タラゼド・6

2018-05-12 04:15:03 | 詩集・瑠璃の籠

何もやらない
何もできない
いやらしいことばかりしている
そんな
小さくて醜い自分が
おまえは
すこぶる嫌だったのだ

目をつけた美人が
てっきり
すぐに嫌なことをして
崩れると思っていたら
最後まで真面目に生きとおした

それがおまえは
苦しくてたまらないのだ

このままでは自分が
あまりにもいやなものになる
そう思ったおまえは
焦って美人を崩そうと
あらゆるいやらしいことをやった

それがまとめて
返ってくる段階になって
蒼白などというものではない
吐き気がするほど今
自分が痛いのだ

何をするにも
加減があるということを
知らなかったわけではない
ただただ
美人というものが
清らかでよいものになるのが
嫌だったのだ

若さではなく
心の美しさが
きよらかすぎるほどに
いい女であったのが
つらすぎたのだ
おまえは

そんなものがいれば
自分というものが
いやなものになりすぎる

あほうよ
おまえは
奈落に落ちていく
だが
同情する気持ちは
かけらも起こらない

青く果てしない
奈落の壺の底に落ち
永遠に
その自分と
話し合うがいい




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