スピカ・４５

失ったもの
失いつつあるものに
そうこだわるのではありません
世の中には
捨てたほうが良いものは
たんとあるのです

それをなくしたとて
そんなにつらいことではない
生きていけばいずれ
そんなものよりも
もっといいものが授かる
もっといいものを作れる
そう思いなさい

その今の喪失が
いかに大きかろうと
いかに寒かろうと
いずれ
それを十分に補えるほどの
何かを経験することができるのだと

自己存在は
たちどまってはならない
いつでも
流れる川のように
動いていなければならない

そうでなければあなたは
喪失の暗い穴にはまりこんで
芋虫のように
殻の中で死んでしまう

蝶の隠喩は
古い自分を捨てることが
本当の幸せを作るのだという
神の教えなのです
すばらしいでしょう

もう十分に泣いたと思ったら
未練をきれいに捨て
新しいことにとりくみなさい