月の岩戸

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アンタレス・36

2021-03-13 05:34:08 | 詩集・瑠璃の籠

青白い嘘のひれを
まといながら
小鳥のたましいのように
樹上に踊るおまえよ
その自分は楽しいか


小鳥の王の冠から
宝石を一つ盗み
えらくはぶりのいい暮らしをした
その自分を
記憶の墓場に隠し
神の恵みに酔いしれる
無垢な小鳥のたましいのふりをする
おまえよ
その自分は嬉しいか

謀略に生えた
きのこの群れが
雨のように浴びせる
称賛の声が
嬉しいか

冷えた血の声を
自分の中に聞く
これはみんな嘘だと
知っている自分を
永遠にごまかせる
魔法などない

矛盾にねじれていく
背骨のきしむ音を聞きながら
美しい小鳥のたましいのように
樹上に踊るおまえよ
それがおまえの
永遠の幸せなのか





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