アルマァズ・４７

織女の星は今
怒っている
広やかな心を持ち
いつくしみに満ちたその眉が
今
かすかにゆがんでいる

なぜ怒っていらっしゃるのかと
問うと
人に怒っていると
おっしゃる

人の何に怒っていらっしゃるのかと
問うと
馬鹿さ加減にと
おっしゃる

抜きんでた救いを
身を投げてやってくれた
月に
人は
何も心をささげはしないと

大いなる慈悲の心で
ずっと待っていたが
未だに
何も言わぬと

月の教えた
おのれの真実が
玉のように胸にやどり
それで多くの人間が
助かっているというに

国さえそれで
救うことができるというに

人はまだ
月のしてくれたことに
何も言わないのだ

あの人が
美しい女だというだけで

人は永遠に
逃げるつもりなのか

と