月の岩戸

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カノープス・40

2018-08-11 04:13:05 | 詩集・瑠璃の籠

人間が
山のように巨大な車を運転し
奈落のように深い車庫に入っていく

車庫の中には
銀毛の猿が一匹
煙管をふかしながら
車を見ている

ああ恐ろしい高級車だ
神の乗る車だ
それを人間が運転している
何を知って
それができると思っているのだろう

はるかな彗星の駅をめざし
車は車庫に入っていく
都市では
灰色の塔が竜になり
大量の鉛を吐しゃしている
苦い水が車庫に流れ込み
車は一瞬で溶けてなくなり
人間ははるか深い車庫の底に落ちていく

ああ深い奈落だ
もうはいあがってはこれまい
銀毛の猿はため息をつき
煙管で傍らのスイッチをたたく

黄金のシャッターが
車庫に降りる




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