月の岩戸

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ラスアルゲティ・2

2015-02-19 07:09:23 | 詩集・瑠璃の籠

どん底に落ちてみねば
わからないことがあります
時代の馬鹿に習って
やっていたことはすべて
もうすでにクズ同然のものになっていました
ただ ほかのことが何も見えなかったので
本当の淋しさに気づかないように
みながそれをよいものにして
冷えた焚火の周りに集まって
あたたまろうとしていただけだったのです

破滅は あなたがたのために
神が用意してくれた美しい珠玉です
破滅を噛んで すべてを失い
人生の暗がりに落ちたものは
紫色の林檎の森に集まり
自分たちがいた世界の
本当の姿を見てみなさい

淋しすぎた魂が
あらゆるものを手に入れるために
作った灰色の都市は
まるで永遠にそそり立つ
鉄のペニスの群れのようです
わかりますか
あれらはみな
男の性欲が造ったのです

奈落に落ちた経験のない男は
完全に性欲のためだけに生きる
欲しいものは女だけ
神が与えた人生の難題に挑戦することなどしない
苦しいことからは逃げ続けて
楽に女とセックスができる方法ばかり
考えている
愚か者が

紫色の林檎をひとつもぎ
それを一口噛んでみなさい
それはエデンの知恵の木の実ではない
あなたがたが知らないうちに育てていた
嘘が本当になる奇妙な理論の実です
あまりの苦さに
口の中が破裂しそうになるでしょう

エデンから追放されるように
蜥蜴が吐き戻した毒のような
夢幻の世界から出てきなさい
そして奈落の闇の中を迷いながら
本当の自分の生きるべき道を求めなさい
楽に生きられる人生など糞だ
猿知恵でなにもかもがうまくいくと思ったら
大間違いです

自分の魂の力を試せる
厳しい鍛錬の道を生きなさい
そこで男をこれでもかと試されてきなさい
人生を自分の楽しみのためだけに生きて
何の努力もしようともしないものは
黄金虫の足に踏み潰され
あきれた馬鹿になることでしょう

破滅は不幸ではない
真の幸福に至るための
最初の試練の門なのです



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