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日常の視点

九州一古い喫茶店 トルコライス「ツル茶ん」

2007年05月10日 | shop


長崎県美術館に行った時、
観光ついでにせっかくだからランチも長崎らしいのがいいよね、ということで、長崎に向かう車の中で本日のランチのお店をどこにしようか必死に考えました。
候補にあがったのは、私たちもすでに気に入っている茶碗蒸しの「吉宗(よっそう)」、中華街で「長崎ちゃんぽん」、普通に「中華」、はたまたおいしいロシア料理がアーケードにあるらしいから(「ハルピン」)か?
ちょっとB級っぽいけど、長崎発祥らしい『トルコライス』の「つるちゃん」にする?
そうだね、トルコライスとミルクセーキにしよう!と眼鏡橋にある「つるちゃん」に行くことに決定。行ったことはないけれど、名前は聞いたことがあるくらいの有名店です。

眼鏡橋のパーキングに車をとめて、場所がよくわからなかったので迷いつつ、ローソンで教えてもらってやっとたどり着きました。
「つるちゃん」と思ってたけど、お店につくと看板には「ツル茶ん」の文字が。。。。
ここは「ツル茶ん」なのです。このネーミング不思議だな。

1925(大正14)年に九州初の喫茶店として誕生。オムライス、クリームソーダ、ミルクセーキを初めて紹介した店として知られる。看板メニューは6種のトルコライス。
ツル茶ん

古めかしい店内には、数々の芸能人のサイン色紙がズラリ。
店舗を観た瞬間、ここは口に合わなそう、と直感しましたが、まあ、来てしまったので観光気分だからと開き直り注文をすることに。

いかにも、田舎の昔からある古いタイプの根強いファンのいる喫茶店という風情で、調理場を切り盛りしていたのは、トルコ風?スリランカあたりのサーバント風のコック服を着た眼光鋭いおじいさん。
メニューを持ってきてくれたのは、古くからずっといるような熟女風情のおねえさま。
ここまで見ると映画で見る、外国のうらびれた田舎の古くから経営されている喫茶店かドライブインのような雰囲気。
この雰囲気はなかなかどうして旅をしているようでちょっと楽しめます。メニューを開くと、いろんな種類のトルコライスがありましたが、味にもあまり期待できそうもなかったので、私たちは迷わず一番プレーンなトルコライスをオーダー。
900円くらいだったような気がします。

初めての方は「トルコライス」とはなんぞや?の人も多いかも。
トルコライスとは、一皿にスパゲティとトンカツ(ドミソースかけ)とピラフが乗った、お子様ランチの大人版のような、カロリーたっぷりの洋食メニューのいいとこどりのようなもの。
トルコ起源料理説、トルコ架け橋説、トリコロール起源説、店の名前説と諸説ありますが、どれも信憑性が薄くて、まあ、長崎以外にはあまり流通していなさそうなメニューであります。
眼光鋭いコックのおじさまが大きなフライパンを重たそうに煽って出てきたのがこちらのトルコライス↓



ボリュームたっぷりです。
普通に出てくる昔ながらの喫茶店の洋食メニューで、むしろこれが昔懐かしでおいしい!と絶賛される方も多くいらっしゃいますが、私達の口には年齢のせいでしょう、やはりあぶらっぽ過ぎて若干苦しかったです。
でも、こうやってブログのネタにもなったし、観光として一度押さえておくのもおもしろいかもしれませんね。
私は心の中で、次は最初から「吉宗」で茶碗蒸しにしよう、とひとりつぶやきました。

味は、賛否両論あるものの、キッチンの様子を眺めるのはとても楽しいものでした。
頑固そうなコックさんの世代交代はいつになるんだろう?とか、大量に仕込んだハンバーグを大きなフライパンでジュージュー焼いて、オーブンに入れたりするときの動作は、迷いもなく熟練の手馴れたもので、見ていてとても興味深く、これをずっと大正時代から続けてきたのかな~?とか、戦争のときはどうしていたんだろう?とか、このコックさんはいつからこの場所に立ち続けているのだろう?とか、厨房の中に居る下っ端風情に見える40代くらいに見えるおじさんは、修行中の立場だろうか?とか、修行の場としてここを選ぶのは、どんな心境なのだろうか?とか、
もう、とにかく食べることよりもそんな下世話な想像をさせてしまうくらいに、年代を感じさせる素敵な場所であることは間違いありません。
なんだかいろいろ考えてしまいました。
最後に注文したのが、長崎名物、シャリシャリのフローズンミルクセーキ。



トップのチェリーもまた古めかしい、カフェではなく正統派な喫茶店のツル茶んです。