エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

ペコちゃんの生首(前編)

2006年02月28日 | 雑記
昔、私がまだ営業職にあった頃のこと。某都市のダイエー地下に、不二家さんがテナントで入っておりました。
そうです。あのケーキの不二家さん。

私の営業先は4階の売り場だったのですが、この不二家さんがエレベーター前にあるものですから、必ずここを通ります。
不二家さんには、おなじみのキャラクター、ペコちゃん、という人形がおります。
ご存知かどうかわかりませんが、このペコちゃん、首部分がバネになっておりまして、ぽこん、とたたきますと、ユンユンユンと、しばらく首を動かし続けます。
特に意識していたわけでもなく、私もここを通る時には、必ずこの「ペコちゃん」の首を、ポンと叩くのが日課となっておりました。

ある日の営業で、また私はそこを通過する際、ペコちゃんにごあいさつ、と思いまして、頭をポン、と叩いたつもりだったのですが、少々、力加減を間違えたのか、ガコン、という鈍い音がいたしました。

すると・・・・。

あろうことか、ペコちゃんの首が胴体から分離。
ゴロゴロとフロアをいきおいよく転がり出しまして、不二家さんの店員さんをはじめ、まわりのテナントさんの見守る中、奇妙な軌跡を描きながら単独行動を取り出したのです。

え~~~~~~~~~~~

まぁ、そのシュールなこと。

残されたペコ胴体も、かなりシュールで、なぜはずれる?と思えるほどに長い首。
見ようによっては、ショッカーの新怪人みたいな・・・。

とか言っている場合じゃありません。
あわててペコちゃんの生首を追いかける私。

しかし。偶然というのはすごいもので、この時、ちょうどエレベーターが開いておりまして、ペコ首は、ごろごろと音をたてながらエレベーターに乗り込みました。
私もなりゆき上、後を追いかけエレベーターへ。

ペコ首は、エレベーター奥で止まりましたので、それをつかまえ、持ち上げまして「ほっ」。安堵したとたん
エレベーター扉が閉まりました。

ペコ首。わかるかたはいらっしゃらないでしょうが、それだけだと、意外なほど重く、でかいんです。こいつが。

あわててBFボタンを押しましたが、無情にも、エレベーターは上昇を開始。
言うまでもなく、1階売り場までまいりまして、扉が開いたのですが・・・
当然、そこにはエレベーターに乗ろうとしていた方が5、6人、待ち構えておられました。
突如、ペコちゃんの生首を持った男がそこに立ち尽くしているのですから、そりゃ驚きます。
結局、あっけにとられたのか、誰も乗り込まないまま、扉は再びしまりました。

良いのか悪いのか、よくわかりませんが、とにかくBF!と、ボタンを連打。
が、なんと!エレベーターはさらに上昇を続けるではありませんか。

そうか・・・上階でボタンを押している人がいるんだ・・・・。うわぁ・・・・・。

いるどころの騒ぎではございませんでした。
エレベーターは、そのまま7階まで各駅停車。
その都度、エレベーター前のかたと「こんにちは」するわけですが、降りるにも降りられません。
当然、乗り込まれる方もいらっしゃるのですが、まぁ、ジロジロと私の顔とペコ首を交互に見比べるわけです。
「おいらだって好きで持ってるわけじぇねーよ」と、言いたいわけですが、言ったところで、何の足しにもなりません。

やがてそのまま7階で折り返し。
そうか、後ろ向きゃいいんだ。後ろ。

と、ペコ首を前に抱きかかえまして、後ろ向き、つまりエレベーターの壁のほうを向いたわけですが、
それはそれでおかしな雰囲気らしく、乗って来られる方が、いちいち確認するように覗き込むわけです。

ああ・・・なにやってんだ・・・おいら・・・・。

  想像を絶する後編に続く・・・・

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岡だな

2006年02月27日 | 雑記
「岡だな」。
いきなりこんなことを書かれましても、なんだかわからないことと思いますが、
これ。山本鈴美香先生が描きましたテニス漫画「エースをねらえ!」で、
宗像コーチが、無言電話をかけてきました岡ひろみに対して、突如はく台詞でございます。

どうして岡ひろみが無言電話などという卑怯な(?)手段に出たかと、どうして宗像コーチがその無言電話の相手が岡であることを察知したかは、漫画をごらんください。

『エースをねらえ!』は、ご存知の方も多いと思いますが、これが大昔アニメ化されまして、ほぼ原作通りのストーリーがテレビ放映されました。
で、この宗像コーチの「岡だな・・・」が、アニメでは異様なほどにかっこよかったのでございます。
なんと言いましょうか。低音でボソッと言うのですが、私、すっかりこの台詞にハマりました。

当時は、携帯などもってのほか、家に1台しか電話がない時代でしたが
友人から電話のかかってくる時間帯というものが決まっておりましたので、
この台詞が、我々の「もしもし」がわりになった時があったのです。
いわゆる、マイブームと言いましょうか、アウアブームと申しましょうか。

普通の電話の相手は、無言状態なら必ず「もしもし?」と問いかけてまいりますので、
アウアブームは簡単に成り立ちました。

RiRiRiRiRi ガチャ
「岡だな・・・・」

今思うと、なにが面白かったんだか、ホントによくわかりませんが、とにかく仲間内でウケまくりました。

とある日、電話がなりまして、私がとりました。
と申しますか、我が家にかかってくる電話の8割は私宛でしたので、家人はとりません。
電話に出ると相手が無言でしたので、例によりまして

「岡だな・・・」

と、私が切り出しますと、

「ええ。わたし、農協の岡田ですけど・・・なんでわかりましたん?」

あるもんなんだなぁ。

首都崩壊

2006年02月26日 | 雑記
限りなく早朝に近い深夜、テレビが天気予報を伝えていました。
降水確率から、画面は関東地方最高気温へ。

ちょうどその時、家人が起きてまいりまして

「あら?地震あったの?」

「え?」

「栃木が震度4?大きいのね」

ああ、なるほど。

長野県 3
栃木県 4
茨城県 6

そう見えないでもない。

でも。

千葉 9
東京 10

震度10・・・・

首都、崩壊してます。絶望的。

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フランクリンのメガネ

2006年02月25日 | 雑記

先日、ラジオで『フランクリン・ジャパン』という会社のことを取り上げておりました。
ここ、なんの会社か、と申しますと、雷予報の専門会社です。日本でただひとつ。
僕は、以前、雷で大量のデータを失っておりますので、この時から、この会社を「事後」で知りました。
社名フランクリンは、言うまでもなく「雷は電気だよ。おヘソが欲しいわけじゃないんだよ」を発見いたしましたベンジャミン・フランクリンからとっております。
代表電話の末尾が5656(ごろごろ)。おちゃめ。

で。今日は、このフランクリンの話なのですが、このかた。日本人には、ただの「カミナリおやじ」(?)と思われておりますが、実は、大変な偉人で、著名な発明家でもあり、政治家でもあります。
しかも、そのほとんどが独学。エライ。

そもそもフランクリンは13人兄弟の11番目。もう、日本だったら「貧しい大家族」の特集番組が組まれそうな兄弟の多さで、しかも男の子としては一番下でございました。
貧乏子だくさんは、なにも日本の話だけではないらしく、学費が続かない、という理由で、あっと言う間に学校やめちゃってます。
その後、いろいろとありまして、印刷屋さんをやるんですが、まぁ、この頃から、やることなすこと当たり出します。
事業としては、印刷屋兼新聞社。作家としても、広告代理店としても手腕を発揮します。
そしてなんと言っても、科学者としてのフランクリン。

フランクリンの発明で、最も知られていなくて、最も偉大と思われる物が
「遠近両用メガネ」です。
そーです。おじいさんや、おばあさん、ひいては、あなたもいつかはごやっかいになるかも知れない、近いものと遠いもの両方を見ることができる眼鏡ですが、これがかのフランクリンの発明です。
意外なものを意外な人が発明してるもんですねー。
こんな偉大な発明が、どうしてフランクリンの発明として有名でないか、と言いますと、彼はこの特許を取得しなかったからです。
特許取得を知らなかった、とか、めんどうくさがった、とか言うわけではなく、あえて取得しなかったらしいんですね。

そしてもうひとつ。
ペンシルバニア式ストーブ。別名フランクリンストーブです。
これは、昔、薪が不足して困った時代、燃焼効率を50%以上!も上げたストーブで、この原理は現在も使用されています。
なにがすごいって、フランクリンがこれを発明した頃、というのは、ニュートンが万有引力をようやく発見した頃のことですので、酸素とか二酸化炭素とか、まったくわかっていない頃なわけです。
元祖エコロジー商品。それも超エコロジー。
当時としては、実に画期的発明であったことは言うまでもありません。
彼はこれを商品化したわけではなく「つくりかたの解説本」を書きました。

驚いたことに、フランクリンは、このストーブの特許も取得しませんでした。
そればかりか、これをまったく他人に特許申請されてしまうのですが、これにも訴訟をおこすでもなく、黙って見過ごしました。
しかし、これがフランクリンの発明であったことは、あまりに有名であったために、現在もフランクリンストーブという名前が生きているのだそうで、まぁ、おひとよしだったのか、大金持ちだったのか・・・よくわからん人です。

フランクリンは、学校もろくろく出なかったのに、事業に成功したばかりでなく、独学のみで、ハーバード大学から名誉修士号、エール大学から修士号、オックスフオード大学より博士号などなど、ほぼ私なみ(超ウソ)の名誉を手にします。
その上で、政治の世界でも活躍し(向こうは金持ちが奉仕活動として政治家になります。金持ちになるために政治家になる日本とは逆)、晩年はペンシルバニアの知事としてその生涯を終えるのですが・・・。

この人。こうやってざっと書いただけでも、あまりに波瀾万丈な上に、あまりにいろんなことをやったため、彼の人生をまとめられる人がおらず、物語として散漫になるためか、あまり伝記が残っていません。
電気の人なのにね。

うまいなー。

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ランキング参加記事

スルツカヤ・ビフォーアフター

2006年02月24日 | 雑記
私のブログ記事『フィギュア必勝法』の甲斐があってか(ないない・・・)、荒川静香さん、金メダルとっちゃいました。
おめでとうございます。やっぱりあれですね。「必殺!ビールマンスピン!」
宣言しませんでしたが・・・。

前回も書きましたように、スルツカヤさんをひたすら応援いたしておりました非国民ワタクシといたしましては、たいへん複雑な気分でした。
スルツカヤさんは、前回の五輪でも銀メダルに、本当に涙してしまいましたが、その後「自己免疫疾患」という難病にかかってしまいまして、今日の演技も、立っていることそのものができていたのかどうか。
それでも毅然とした彼女の戦い方がたいへん好きでした。
「治したいならスケートやめなさい」という、主治医の言葉を押しての五輪。まったく頭が下がります。

よくスルツカヤさんのスケートは「攻撃的」と言われますが、これがよくわかりません。
ひょっとすると、いっしょのリンクで2人同時に滑ると、攻撃をしかけるとか・・・なわけないですが。
とりあえず、銅メダルでしたが、スルツカヤさんに拍手。。

でもスルツカヤさんって結婚されてるんですよね。それも20歳で。
つまり”人妻”です。
だからなんだ?と問われると困るのですが、
これを知ってからの自分と、知らなかった時との応援の仕方が微妙に異なる自分が哀しい・・・。

スルツカヤさんの記事


フィギュア必勝法

2006年02月22日 | 雑記

女子フィギュア。すごいですねー。

明後日フリー演技。
スルツカヤファンでありました私には、ちょっと複雑ですが、ここはひとつ、日本国民といたしまして、荒川静香さんにも村主章枝さんにもがんばっていただきたいところです。

と、いうことで、私、考えました。
フィギュア必勝法。それも日本オリジナル。

それは・・・・

「技の宣言」です。

なぜなら、日本のスポーツ漫画の主人公、それもチャンピオンになるような人たちは、みんな「技」を宣言してから行っています。これです!

したがって、フィギュアでも、荒川さんは

「イナバウアー!」

とか

「必殺ヒールマンスピーン!!」

とか、

技を出す前にいちいち宣言するわけです。

これは、さすがのスルツカヤもびびるのではないか・・・と。

さらに!
これには、もうひとつ長所があります。
しくじった時にも、宣言してしまえば「成功に見える」というところ。

たとえば、トリプルアクセルから尻もちをついてしまっても

「トリプルアクセール!」
「アーンド ヒップアターック!」
とか・・・。

なんかすごい技に見えるじゃないですか。
最初からしくまれていた、みたいな・・・。

だめかな・・・。

いずれにせよ、がんばってほしいものですね。

「くらえ!秘技、ダブルトゥルーーーープ!」



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INDEX た~

2006年02月22日 | INDEX
★印は、お客様の評価や、作者の思い入れ、思い込みによるコラムの「おすすめ度」です



★★☆ 第一発見者
☆☆☆ ダイヤモンドのはげ頭
★★☆ 暖房綺潭
★★★ 沈金師
★☆☆ DHCの秘密
★☆☆ データ・バックアップのお話
★★★ テレポートする漁師
★★★ 電車おやじ
★☆☆ 読書感想文、有リマス(前編)
★★☆ 読書感想文、有リマス(後編)
★☆☆ どこかで会った
☆☆☆ "どこでもドアホン”
★☆☆ トナカイ疑惑
☆☆☆ トリノ16点



★★☆ ナンジャモンジャってドンナモンジャ?
★★☆ 猫?
★★★ ネギ考
★★☆ 野良ヤギ(前編)
★★★ 野良ヤギ(後編)
★★★ 野良ヤギ(完結編)
★★★ ノリのいいはなし



★☆☆ バーチってなに?
★★★ バス停
★★★ 『発信アリ』
★☆☆ 光触媒ってすごい
★★★ ♪”左甚五郎よ永遠に”
★★★ ヒペリカムカリシナムと福山雅治
★★☆ フィギュア必勝法
★★★ フェラーリが標準装備
★★☆ 「ぶたのまんじゅう」のかほり
★★★ 「物理的に同じ事」
★★☆ 「物理的に同じ事」EXT
★☆☆ フランクリンのメガネ
★★☆ ブラピな男
★★☆ BLEACHな猫
★☆☆ ブログ初め
☆☆☆ ブログランキング参加
★★★ ペコちゃんの生首(前編)
★★☆ ペコちゃんの生首(後編)
★☆☆ へらず口の天才(1) ~善行と蛮行
★☆☆ へらず口の天才(2) ~貧しくも美しく燃え
★★☆ へらず口の天才(3) ~モッタイナイ
★★☆ へらず口の天才(4) ~燃料計の謎
★★☆ ホンダライフの雪だるま(前編)
★★☆ ホンダライフの雪だるま(後編)
★★☆ ホンダライフの雪だるま(完結編)



★★☆ マジレッドが赤いわけ
★★☆ マッケンジーソープという画家
☆☆☆ マンション外観CGの責任
★★★ 名刺エレジー
★☆☆ 名刺エレジーEXT
★★★ モアレ対策
★☆☆ もののけ姫



★☆☆ 憂鬱なライオン
★☆☆ 雪だるま疑惑
★☆☆ 容態
★☆☆ よみがながな・・



★★★ リフォームの定義
★★☆ ロートアイアンという芸術

連載

【連載】ぼくたちと駐在さんの700日戦争 第1話
【連載】ぼくたちと駐在さんの700日戦争 第2話


INDEX あ~さ

キューピー騒動

2006年02月21日 | 雑記
高校時代の文化祭。クラスが学校としては初めての「仮装行列」を催しました。
みんなで着ぐるみ(と言っても紙のハリボテですが)を作成。
言い出しっぺの私は「キューピー」をまといました。
自分で言うのもヘンですが、たいへん出来の良いハリボテで、某マヨネーズ会社(どこだかすぐにわかりますが)に寄付できそうなほどの傑作。監修も、もちろんワタクシでございます。
大きさは頭を含めて2mもあり(先がとがっているので)、とにかくよくできていました。

文化祭も終了し、教室にもどった我々は、祭りの後のさびしさもあってか
「このハリボテをそのまま壊してしまうのはもったいない」と、誰ともなしに言い出しました。

「じゃぁ、このまま街に繰り出そう!」
言い出したのは私です。
まだ仮装したままでしたから、簡単なことです。
みんなは少し躊躇しましたが、意見はまとまり、いざ街へ!

なぜみんなが躊躇したか、と申しますと、キューピー以外は、浦島太朗とか、乙姫とか、ハリボテではないため顔がわかってしまうからです。
キューピーとて20cmほどの穴があるので、わからないわけではないのですが、全身露出とは違います。
今でこそ、街中を学生の仮装行列が通ることは、そんなに不自然なことではありませんが、当時、そうしたことは大学生の特権で、高校でそこまでやるところはまずありませんでした。
それも田舎町のことです。顔を出している者は「○○さんちの息子」とか、わかってしまう可能性大なのです。

それでも、なんとなく話はまとまり、即実行するはこびとなりました。

コースは学校から繁華街を抜け、駐在さん(そうです。『靴の墓場』でお世話になった駐在さんです)まで行き、そこでごあいさつして折り返し、ということに決まりました。

先頭は言い出しっぺで、最大の大きさを誇りながらも、最も歩みの遅いキューピー、ということになりました。
さっそく校門を出ていざ街へ!

さて。ここで少しキューピーの構造について触れておきます。
ちょうど、マヨネーズのものを思い浮かべていただければ、よくわかるかと思いますが、腕は短く下ななめ45度に下がっています。
これを動かす為には回転運動しかなく、上を向ければ上ななめ45度固定。前は前45度、ということです。
足も極端に短いものでしたが、これは自在に動きました。ただし、膝はありません。
したがって、お世辞にも速く動くことはできません。
顔部分はキューピーの口あたりに20cmほどあいています。これが全視界ですが、頭だけでも直径1mを超えていますから、首を動かすことはできません。
つまり、視界は前20cm円だけです。

街に出ますと、さすがに街の人たちは驚いていました。
もう子供も老人もおおさわぎです。
それはそうです。キューピーを筆頭に、浦島太朗やら猿やら15人ほどの仮装パレード。この町では経験のないことでしたから。

「おもしれー。こいつはクセになるなぁ。みんなぁ」

時折、高笑いしながら、信号待ちでは

「よーし。みんな止まれー」

「すすめー!」

と、キューピーの中から指示を送る私。

各商店の店先ごとに、45度にしか動かない手をクルリと上げて
「ごあいさつー」

今思えば、なにをあんなに大声をはりあげていたのか・・・。

そして目的地。「駐在所」です。
「ごあいさつー」
さすがの駐在さんも、目をまるくしておどろいておりました。

「なにやってんだ?おまえ・・・」

おまえ?

おまえ・・・・?

なぜ単数形?

普通なら「おまえたち」のはず・・・。それが「おまえ」・・・・。

いやな予感がして、キューピーを回転させてふりかえりますと、なんと私以外誰もいません。
つまり・・・どこからかわかりませんが、仮装行列と思ったものは、キューピーの単独行進だったわけです。

「え~??」

キューピーの中は、「紙ずれ」の音が大きくてわかりませんでしたが、いつの間にかみんないなくなっていたのです。
いや、ひょっとすると初めから?
街の人々に囲まれながら、駐在所の前で呆然とするキューピー。

「またなんかのいやがらせか?あ?」
駐在さんが問いかけます。
(なぜこんなに駐在さんがとがっているのかは、後のブログでじょじょに明らかにします)

「いや・・・そういうわけでは・・・・」

こういうことは、集団だからできるのであって、単独となると話は別です。

え?じゃー商店街の挨拶も「止まれー」も「すすめー」も、キューピーひとりで叫んでいたわけ?
あの高笑いも、突如キューピーが笑ってたってこと・・・・。

ああ・・・・・そりゃ注目されるわけだ・・・・。

「失礼しましたぁ・・・」

駐在さんにご挨拶いたしますと、私はキューピーを180度回転させ、一路帰路へ。
しかし、どこを帰ればいいのでしょう?
キューピー1人となれば、まったく状況は違います。いえ、ずっとそうだったのでしょうが、意識しているかどうかが違います。

キューピーの裾野には、早くもガキどもが集まっていて、遅い歩みに拍車をかけます。

私はひとりキューピーの中で、裏切ったクラスメイトのことを考えておりましたが、もう、そんなことを言っている場合でもありません。
帰り道の恥ずかしいこと恥ずかしいこと。

気づきました。
キューピーは早足になるほど面白い動きに見えるらしく、ガキが爆笑します。
このため、早く帰りたいのですが、早足はできません。
まぁ、いずれにせよ速度にたいした差はないのですが。
これがわかっているのは、ハイパーホッケーの石塚さんと私くらいかも知れません。

ようやく人ごみを振り切り、校門にたどりついたキューピー。

そこには、すっかり着替えの終えたクラスメイトたちが、爆笑しながら迎えたのでした。

いえ。正確には、クラスメイトは爆笑で迎えたのですが、担任の先生は違いました・・・・。

「私は教師になって20年、こんな情けないことで説教するのは初めてだ!」

なら、説教しなきゃいいのに・・・。



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メール判定

2006年02月20日 | 雑記

ホリエモンさんのメールが話題になってます。
それが「本物かどうか?」だそうですが、
ありゃ簡単です。どう考えても偽物です。

彼は、しばらくプログラマーをやっておりました。しかもMac派。
プログラマーは、数字を大文字でうつことは絶対にしません。
つまらぬバグにひっかかりたくないからです。これは徹底されています。
したがって「3000万円」というのはありえません。
必ず「3000万円」と打ちます。

これは一種の癖というか、ルールといいますか、そういうものなので、打ち間違いはありえません。
ここのブログでも、大文字の数字は出て来たことがないはずです(私の書いた分だけですけど)。
なにか、気分が落ち着かないんですね。だからテンキーがあろうとなかろうと、必ず小文字にします。
近い例では、『トリノ16点』をご覧いただくとわかります。

どうも代表が前原さんになってからの民主党はダメですねぇ。
期待していたのですが。
せっかく有利に進んでいた国会を、これでおじゃんにしてしまいました。
ばかだなぁ。

へらず口の天才(1) ~善行と蛮行

2006年02月19日 | へらず口の天才

先生「どうしてそういうことばっかりするの?」

生徒「・・・・」

先生「そういうことを自分がされたら、君だってイヤでしょ?」

生徒「だって先生・・・・」

生徒「”ひとのいやがるようなことも、すすんでやりましょう”、って先生が・・・」

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朝倉南と番場蛮

2006年02月18日 | 雑記
トリノオリンピック。日本勢、ふるいませんねー。

いろいろと原因はあるのでしょうが、ひとつには若者の根性がスリム化してしまったのと、スポーツの裾野がすごくせばまった、ということにつきるのではないでしょうか?
いや。スポーツ評論家じゃないので、勝手なこと言ってるだけなんですが。

昭和40年~50年代は、いわゆる「スポ根」マンガが全盛でした。
これが少年少女に与えた影響は莫大で、私でさえ『巨人の星』を見れば魔球を生み出す練習をしましたし、『タイガーマスク』を見れば、新しい技の研究もしました。
共通している点は、いずれも「生涯でまったく役にたたないことをやっていた」ということですけど。

しかし、これを自分の役に立てた人だってたくさんいました。
『エースをねらえ!』でテニスを始めて、プロにまでなった人もおりますし、『アタックNo.1』とか『サインはV』で、バレーの選手になった人もおりますし、かの清原クンでさえ『巨人の星』の影響があったそうですし、『リングにかけろ!』を見て人生棒にふったやつもいます。

とにかく、この時代は「努力」と「根性」が認められていた時代で、それが実を結ぶと、かたくなに信じられていた時代でもあります。
少年スポーツ漫画は、おねーちゃんにヘラヘラした男や、勉強に熱中するよりはスポーツしていることがかっこよく、少女スポーツ漫画の主人公は、スポーツしているというだけで、一眼レフを持った「学校新聞記者」や、「生徒会役員」から勝手にモテまくっておりました。
結果として、そこに「憧れ」があったわけです。

でも、現在の若者、とりたてて申しますと『タッチ』以降の若者ですが、おねぇちゃんにも適当にヘラヘラして、さほどにうさぎ跳びやらランニングに汗を流すわけでもなくモテまくる、というのが理想になってきます。
特にそこには「根性」などという単語は消え去り「努力せずにもできる」のが最高なのだ、ということに変化してきました。
あげくのはてに、これはスポーツ漫画でさえありませんが、同あだち充先生が描きました『みゆき』に至りましては、部活さえやっている雰囲気がなくなり、それでも奇跡的な偶然が味方して、美人にモテまくります。
そりゃ、努力なんてしません。当時、男の子たちは、できれば血のつながっていない「美人な妹」が突如同居するはめになることを願ってやまなかったのです(思えばすごくムリなシチュエーション)。
「血と汗にまみれる」など「ダサイ」ことの典型となってしまいまして、みんなスマートに、さわやかにもてることを考え出しました。
これが日本のスポーツのターニングポイントだったと、私は思います。

だって上杉達也、魔球投げたりしなかったでしょ?
もし『タッチ』の主人公が「番場蛮(侍ジャイアンツ)」であったならば、南は、恋心を抱いただろうか?という疑問があります。
番場蛮は、マウンドで10mくらいは跳ね上がることができたので、そもそも野球よりは陸上競技にすべきではなかったか?という根本的疑問がありますが、巨人軍のエースでした。あんな投手がいたら、面白くてしょうがありませんから(別の意味で)、野球人気の低迷もなかったことと思われますが、どんな魔球を持っていようと「ミナミは、そんなバンちゃんが好き」にはならないだろうということは、容易に想像がつきます。

また、『タッチ』以前のいわゆる「スポ根漫画」は、どんな小さな地方大会にも「満場の観客と実況中継がつく」のが常識でしたが、本人がどんなに努力しても、実は「実況はつかない」ことに、少年少女たちは気づいてしまいます。

人間と水は低いほうへと流れますから、汗水流して努力して、大多数が「中継のつかない」地方大会で散って行くスポーツをするよりも、ヘラヘラと偶然にたよってモテまくる、ほうへと走りはじめました。
スポーツの裾野は、急激に狭まり出したわけです。

ピラミッドは裾野が大きくないと頂点は低くなります。このへんがオリンピックの低迷に関連があるのではないか?と、素人評論家としては思うわけです。

したがいまして、これを打開するためには、ここはひとつ、またあだち充先生にがんばっていただきまして
「ミナミ、そんな蛮ちゃんが大好き!」っていう漫画を描いていただくしかないか、と。

私。元作家ですんで、あだち先生のためにあらすじを考えました。
 

 この物語の主人公「番場蛮」は、ふたごの弟「文武文」(兄弟なのに苗字が違う)と、
 毎日魔球を生み出す特訓に明け暮れておりました。
 そんな彼らを、彼らの幼なじみで美人な少女「朝倉南」は、電柱の陰からそっと見守るのでした。
 しかし、ある日、二人は、高速道路でうさぎ跳びでトラックを飛び越す、という奇抜な特訓を思いつき、
 あろうことか文がトラックにひかれて死亡してしまいます。
 涙にくれる蛮と南。
 文の意思をついで、蛮はその日から、さらに猛烈な特訓を開始します。
 弟の失敗した高速道路での特訓を成功させ
 「やったよ!ミナミ!ついにトラックを飛び越したぜ!」
 「蛮ちゃん!」
 この特訓にどのような成果があったかよくわからないまま、舞台は高校野球地区大会決勝。
 地区大会であるにもかかわらず、5万人の熱狂的観客の見守る中、蛮はマウンドに立っていました。
 相手は須見高の天才バッター新田。9回裏の2死満塁。
 特訓してきたのに満塁というのが情けないですが
 蛮は、このときとばかりに弟と生み出した魔球にかけます。

 すでに蛮の左肩は限界。あと1球しか投げる力が残っていない。
 「文、見ていてくれよ・・・」
 血染めの白球を握りしめる蛮。

 「うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 蛮の体は10mほども宙高く飛び上がり、超高速回転し出しました。
 おどろく新田と観客たち。そしてミナミ。
 
 「ボーク。」

 無情な審判の声に、蛮とミナミの夏は終わりました。



ああ・・・涙なしには見られない。
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テレポートする漁師

2006年02月16日 | 雑記


我が家は、リビングにテレビが2つあります。
1つは一般の番組を見るためのもので、もう1つがTVゲーム用、それもスーパーファミコン専用です。
つい先日、スーパーファミコン用の『ドラクエIII』を入手いたしまして、本当にひさしぶりにゲームに興じておりました。
かたわらでは、家族がテレビを観ておりますので、音は出しません。
したがって、画面は見ないものの、テレビ番組の音は聴こえます。

で。ちょうどアリアハンからロマリアあたりについた頃、テレビから奇妙な単語が聴こえてきました。

「テレポートする漁師・・・・学者・・・東京大学・・・・研究・・・・」

ああ、ひさびさに、しょーもない超能力番組をやっているのだな、と思いまして気に留めずにおりますと

「研究機材・・・・数億円・・・・」

また馬鹿なことを。と、思いまして
「今、どこ観てるの?」と、家人にたずねますと

「NHK」とのこと。

そうか。NHKもしょーもない番組をやるものだ、と、さらに聞き流しておりましたが

「漁師・・テレポーテーションに成功・・・・教授・・・アメリカ・・・共同研究・・・ノーベル賞・・・」

え!?

これは聞き流せません。

「なんだって?漁師がテレポーテーションに成功したって?」
「うん、そーなんだって」
「え~~!それってどえらいことじゃん!」
「うん、だからこの博士、ノーベル賞の最有力候補なんだって」

ノーベル賞!そりゃそうでしょーとも!
なんてったって、少年マンガにしかなかった超能力。それも最高レベルのテレポーテーション!瞬間移動!「どこでもドア」です!

すごい漁師もいたものだ、と思い、私も画面にくいつきますと、なにやらすごい機材がいっぱい映っておりまして
「そうか・・・。これがテレポーテーションの研究機材なんだ・・・」。
ひとりブツブツとつぶやいていると家人

「よくわかんないんだけど、テレポーテーションってそんなにすごいことなの?」

なんということを!

「そりゃーすごいなんてもんじゃない。しかし実現できるとはなー・・・驚きだなー」

でも。なんで漁師なんだろう?
もっと、そういう才能のある職種の人もいそうなものを・・。でも、誰でもいいや。
漁師であれ、消防士であれ、サラリーマンであれ、テレポーテーションを成功させたってことがスゴイ!

番組名を尋ねると『プロフェッショナル』。かの『プロジェクトX』の後釜とか。こりゃホンモノです。
なるほどぉ、テレポーテーションのプロフェッショナルかぁ。そらぁすごいわけだ。エスパーだ。エスパー漁師。
どうやらテレビに出ている教授だか助教授だかが、このテレポーテーションを研究しているらしいのですが。

しかし、番組を見続けていても、いつまでも「瞬間移動」の実写を映し出しません。
しかもパーソナリティがへんに冷静。
私が彼の立場なら、興奮さめやらぬところですが。
そのくせ「漁師のテレポーテーション」という単語だけは何度も出てくるのです。

???

「漁師、出てこないね」と、私。
「見えないんじゃない?」と、家人。

ああ、そらそうだ。だって瞬間移動だからね。ごもっともだ。

でもインタビューくらいはあってしかるべき、と思い、家人にそのようにたずねますと

「誰に?」
「いや・・・だからその漁師さんにさ・・・」

「・・・・・」






「りょうし・・・リョウシって・・・・魚を捕るリョウシ??」
息も絶え絶えに、家人がたずねますので
「え?他に漁師ってないだろ?」
「ず・・・ずっ・・・ずうっと・・・そう思って見てたワケ?」
家人は、すでに呼吸困難で危険な状態。
「え?ちがうの?だって漁師のテレポートって・・・」

「バカだ」

爆笑し続ける家人。

バカ・・・そのあまりにストレートな揶揄に、ふと、我に返ると・・・・・・・・・・・・わかりました。

これって「量子」だ。

「テレポートする量子」

ほんとだ・・・・バカだ・・・・。

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読書感想文、有リマス(後編)

2006年02月15日 | 雑記

「先生、こういう子がいたことが哀しい」。

先日の前編の続きです。
苦肉の策の感想文『ブラックジャックを読んで』を提出いたしましたところ、教師陣にたいへん反響を呼びまして、いきなり朝のホームルームで「哀しい」とまで言われてしまいました。
思えば、庄司薫なども読んでおりましたので、そのあたりを書けばよかったものを、なんと言いますか、そこは「さわるものみな傷つけた」青春時代。なんとなくマンガの感想文を書きたかったというのもあります。
教師陣は、案の定の反応をしてくれまして、「哀しい」とまで言われながら、なにやらウキウキしておりますと

「で、感想文は廊下に張り出しておきました」。

え~~~ いつの間に?

「みんな、悪い例として、読んでおきなさい」。

悪い例?手塚治虫は偉大なんだぞ!

と、内心思いましたが、そこはおさえました。

教師が続けます。

「それに比べて・・・」

「鈴木(仮名16歳)。あなたの今回の作品はリッパでした」。

鈴木。こいつはなんと私の感想文を買ったひとりです。

彼にはヘルマン・ヘッセの『車輪の下』を販売いたしました。
販売作品には、作家によりレベルと価格が分かれておりまして、ヘッセはその最上級、まぁ、時計で言えばタグホイヤーかヴァンホーテン(こいつはココアだったかな?)あたりです。
彼は考えなしに「高いヤツがいいや」で購入しただけで、中身など吟味しておりませんでした。

鈴木くんが褒められるのには訳があります。なにしろ彼は私よりギザギザハートしておりましたので、感想文など提出するタマじゃないんです。
その彼が「ヘッセ」です。
そりゃ驚くなと言うほうがムリだったのですが

「先生、感動したので、プリントしてきました」

と、なんとその感想文『車輪の下を読んで』を、全員に配ったのです。
まずいなぁ・・・・。
先生は気づかないかも知れませんが、友人たちは気づきます。
彼がとうていそのような本は読まないし、そのような文章を書かないことを。

「先生は彼の才能に感動しました。つきましては・・・」

才能?感動?

つきましては?

先生がオーバーリアクションなことを話すたびに、同級生であった鈴木がとんでもない目つきでこちらを睨みつけます。

「県の感想文コンクールに クラス代表として出品することにいたしました」
ぱちぱちぱち。

え~?

さすがにそいつはまずいんじゃない?
もう鈴木本人は、顔を紅潮させておりまして、怒りまくっているのがわかります。
彼にしてみれば、提出さえできればよかったのであって、コンクールなどめざしているわけではありません。

あげくのはてに、全員の前で『車輪の下を読んで』を朗読するはこびとなり
はげしく私を睨みつけながら、教壇上へ。

彼は、感想文に限らず、国語自体が得意ではありませんでした。
朗読などもってのほかだったのですが、もう事態が事態なので逃れられません。

彼は、自分の作品を、おもいっきり噛みまくりながら読み始めました。
が・・・・。

突如、彼の朗読が止まりました。

みんなはプリントが配られていたので、そこの「狼狽」という漢字が読めないのだ、ということに気づきました。
そりゃおかしいです。自分の書いた作品の漢字が読めないはずがない。
私も鈴木も焦りまくり。

彼は、「ろう・・・うにゃうにゃ」でここを切り抜け、またたどたどしい朗読を続けました。
ところが第二の難関にさしかかりました。
「眉間」という漢字があったのですが、彼はあろうことかこれを「こかん」と読みやがったのです。
さすがにここでクラス男子が大爆笑。

ああ・・・・終わりだ・・・・。

彼のめちゃめちゃな朗読が終わり、拍手もなく、クラスは静まり返ってしまいました。

さすがに先生も、こりゃおかしい。ということに気づきました。

後で鈴木は職員室に呼び出され、事情聴取。
もっとも焦っていたのは言うまでもなく私本人で、彼が吐露したらおしまいです。

しかし鈴木は、私から購入したことを言いませんでした。
口が固かったのではありません。

「来年、買えなくなると困るからな」

こうして顧客は生まれるもんなんですねぇ。

ところで廊下に張り出された『ブラックジャックを読んで」は、教師の期待を裏切り、おおむね好評でした。
おかげで翌年の読書感想文シーズンには、この年を超える大繁盛。

他校の生徒に前年のものを廻す、という在庫のリサイクルまで思いつき、3年目には10万円を超える収入をつくりだしました。

こうして闇で取引された「読書感想文」。
いくつかは実際に県のコンクールで佳作くらいに入りまして、我ながら自分の文才に驚いたものでした。

私は、と言いますと、本人のものは1度も入賞していないんです。不思議ですねぇ。
紺屋の白袴?

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読書感想文、有リマス(前編)

2006年02月14日 | 雑記
「人のいやがることは儲かる」

コレ、商売の鉄則です。
このことに気づいたのは、中学卒業前の「最後の冬休み」でした。
ここから考えますとCGはたいして儲かりません。やりたい人にはおもしろい仕事ですからね。

今でこそ、どこでもブログ記事は「無料」で提供されているわけですが、学生時代、文章を書くというのは、誰にでも、めんどうでイヤなことでした。
つまり、誰でもいやがる=商売になる、ということです。
大学にもなれば、露骨に卒論を代筆する商売がありますが、このようなアコギなことに、私は中学時代に気づきました。
思えば、初めてやった「商売」だったように思います。しかも儲かりました。

きっかけは単純なことです。どのようなビジネスもヒントはそのへんにころがっているもの。

当時、従兄弟のジュンちゃん(いいのか?実名出して)は、私よりひとつ上の高校生。
彼はこの年の冬、バイクの無免許運転でつかまりまして、学校から停学をくらっておりました。
停学中は、「反省文」というものを毎日書かなくてはなりません。しかも毎日提出。
現在、国家公務員であるジュンちゃんは(いいのか?職業出して)、当時この「反省文」に悩んでおりました。
ムリもありません。「バイクに無免許で乗る」などという楽しいことをして、反省などできるわけがありません。
かと言って、曲がりなりにも反省文。「面白かった」などとは、おくびにも出せぬことなわけです。
反省も1日目くらいはなんとかなります。しかし、これが1週間もたてば、書く事はつきてしまいます。誰だってそうです。
しかし停学は2週間。
私が彼の家に宿泊に行っていた日も、彼は白紙の反省文ノートに向かっておりました。

「書いてやろうか?」

私にすれば、彼がこの難関を超えてくれないと一緒に遊べないので、実に利己的に言ったことなのですが、この言葉に、彼は一も二もなく飛びついたのです。
当時、新聞委員長という、東西新聞社で言えば、小泉局長にも匹敵する役職をやっておりましたワタクシ(そんなにえらくない・・・)には、容易い仕事でした。
結局、私が彼の家に宿泊していた期間、道路交通法に違反した彼の「反省」は、彼が停学が解けるまで、私が代筆しました。
その彼がいまや国家公務員・・・素質あったなぁ。公務員の(笑)。

彼はその1週間分の原稿料をくれました。金で解決するあたりが国家公務員の才能ありありですが、当時の彼には、そんな邪心はありません。
むしろ「邪心」を抱いたのは私です。

そうか。文章って儲かるんだなぁ

やがてその年、私も高校入学。その年からさっそく「ビジネス」にかかります。
「反省文」は需要が少ないですから、たいした商売にはなりません。
なんと言っても、繁忙期は「読書感想文」が必要となる時期です。

この年の夏休み、私は暇があれば読書感想文を書いておりました。いわゆる「仕込み」です。
みんな同じような文章では「商品」になりませんので、書き方や文体を変えて、20作品くらいを書き上げておきました。
実は、当時も今も、あまり読書好きではなかったのですが、ビジネスとなれば話は別です。
スタンダールもヘッセも小泉八雲も太宰も、ほとんどこの時期に読みました。これほどヨコシマな気持ちで文学を読もうとは、さしものスタンダールも予測できなかったことでしょう。

さて。夏休みも終わる頃、友人宅をまわりますと、案の定、みんなこの「読書感想文」に頭をかかえておりました。
今思うと、ろくな友人がいなかったのだなー、と思いますが、言い換えれば、彼らは上客です。
このうち数人は、「予約制」のお客様でしたが、やはりおいしかったのは「切羽詰まったヤツ」です。

「感想文、あるよ。いくらで買う?」

このセールストークは無敵。
自動延長の「ヨン様プライベートDVD」のごとく、ぐんぐん値段はつり上がり、全てを売り切る頃には、読書感想文の原稿は超高値取引。みごとに「感想文ビジネス」は大成功し、この夏休みは大金持ちとなったのでした。
比較できませんが、ホリエモンくんは、当時小学生だったので、この時点では、私のほうが彼よりリッチマンであったと思われます(そんな空しい比較してどーすんでしょ・・)。

しかし。ホリエモン君を引き合いに出すまでもなく、悪事には落とし穴があります。
すべての原稿が売れたのはいいのですが、調子に乗りすぎたために、自分の「感想文」がありません。
気づいた時には、夏休み終了日。
もう、さんざんな読書三昧な日を送っておりました私は、もとより読書好きではないため、もうほとほと嫌気がさしておりました。

どうしよう?

販売した読書感想文は、同じ本で3通りくらい書いておりましたので、同じ本ではすでに書けません。
「紺屋の白袴」とは良く言ったものだなぁ、などとヘンな感心をしておりましたが、読書感想文に熱中するあまり、他の宿題もやっておりませんでしたからすでにパニック状態。

そこで、苦肉の策で書いたのが
「マンガ・ブラックジャックを読んで」

しかし、芸術作品「ブラックジャック」も、当時は連載中(少年チャンピオン)のマンガでした。
こんな感想文が話題にならないわけがありません。
もちろん、悪い意味でですが。

 後編につづきます・・・・・
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トリノ16点

2006年02月11日 | 雑記
トリノオリンピック。始まりましたねー。

みなさん開会式はご覧になられましたか?

私は、テレビをつけたとたんに、あの「へんな人文字」のよーなヤツやっていて
不謹慎にも「あれ?所ジョージさんの番組?」と思ってしまいました(真面目に)。
が、司会がちょっとちがうし、規模もちょっとでかい?

と、おどろいたことにオリンピックでした。

それが「ジャンプ」を表現しているのだ、と、理解できるまでにまたしばらくかかってしまいましたが
なんと言いましょうか・・・・。

あんなんならやらなきゃいいのに。

なんか『欽ちゃんの仮装大賞』見てるみたい、と思ったのは私だけではないはず。

しかも山本晋也監督かなんかが、ボタン1つしか押してなくて
「15点」あたりでひっかかっていたのが
子供の泣きべそを見て、仕方なくもうひとつ押してくれて
ようやく「16点」で合格する、みたいな・・・・・。

そういうレベルでした・・・。

こう言ってはなんですが、今回の開会式は、全体的に「はずしてる」ように思えてなりませんでした。
なんと言いますか。演出がヘン。
こんなことをオリンピックの開会式で思ったのはさすがに初めてです。

突如オノ・ヨーコさんが出て来たのにも驚きましたが、その瞬間に誰もが「イマジンだ」とわかったのに
朗読だけで、歌ったのが「ピーターガブリエル」????
元ジェネシスなんだから、フィル・コリンズも呼べよ・・・。
それも「カラオケで歌い出しの音階が合わないオヤジ」みたいな、ヘンな音域の歌い方しやがって、台無し。
編曲もチープで、あの有名なイントロも含めて『イマジン』なのに・・。原曲より悪くしてどーすんでしょう?
曲がりなりにも歌手だったのだから、そのままオノ・ヨーコさんに歌わせればいいものを。

そして「フェラーリ」

ドリフトで回転し出した時は、「おー、タイヤ痕で5輪書くのか、すげー!」
と、プロの腕に驚いたものでしたが
そういうわけではないらしく、ただ、千葉あたりの暴走族が埠頭で大騒ぎ、みたいなのと同レベル。
結局、NTTのマークのくずれたみたいなのを「奇麗な会場のフロア」に残していっただけで
なんだったんでしょうか?あれ?

その後のスパイダーマンみたいな、奇妙な「新作芸能」も、例によって『欽ちゃんの仮装大賞』で
まぁ、青島幸男さんは1つもランプついてない、みたいな。人数がいるから仕方なく16点、なレベルでしたね。
いや。芸術的なんでしょうけれど。私には理解できませんでした。

で。最後が聖火入場です。
結局、なんか花火かなんかが「導火線」になって火がついたわけですけれど

「あれなら今までリレーして来た意味はない」のでは??

結局、火をつけたのは「花火」ですもん。

うーん・・・。イタリアと言えばデザインの国。
もうちょっとましな演出家、いなかったんでしょうか?

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