エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

春雷バチ8本

2006年03月15日 | 建築
つい昨日のこと。

昼うたたねをしておりますと、なにやら意識の向こうで

ゴロゴロゴロ・・・・・

雷が鳴っておりました。

「ああ・・・春雷だ・・・・もう、冬も終わりだなぁ・・・」

と、うとうとしていると
だんだん雷が大きくなりまして

ゴロゴロゴロゴロ・・・・・

時折、激しく

ガラガラガラ


「ん・・・だいぶ近いな・・・・今のは左から右に・・・」

左から右?

え?雷って方向まで判ったっけ?

と、うすれる意識の中、思案しておりましたところで

ゴロゴロゴロゴロ グワッシャーン

 え? 落ちた?
 どこ?
 なんかウチみたいだったけど?

すると、やはり意識の彼方で娘の声。

「こらー!」

ああ・・・娘が雷に怒ってる。これで安心して眠れる・・・・・・ヨカッタ、ヨカッ・・・・・

タ?

娘。雷とそんなに親しいか?

さすがに目がさめました。

グワッシャン?

・・・猫・・・・だ。

以前、本ブログ『BREACHな猫』でご紹介いたしましたように、我が家は今年猫が1匹増えました。
こいつらが上階で追いかけっこをしていたのです。

建築関係の方はおわかりかと思いますが、家の建て方には「在来工法」「2×4工法」少しダブって「パネル工法」などなどがございまして、このうち2×4工法は、板で6面を構成していく方法で、根本的には各部屋の構造は「箱」そのもの。
当然、気密性も防音性能も高いのですが、箱であるため「太鼓現象」というものがおきます。
これは2階を人が歩くと、その足音が「太鼓」のように響く、というもの。

我が家は古い2×4住宅。さすがにバチが8本(猫×2)もあると、その音はさながらドラムロール。
これが雷の正体です。
経験がなかったのは、昨年まで猫が1匹だったから。

と。ややこしい説明はともかく、問題は最後の雷が落ちた音「グワッシャーン」です。

大慌てで2階へ。

娘が無言で指さしてました。

ああ・・・・・・・iMacが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絶句・・・・・・。

サージ電源(雷対策電源)にしておいたのに・・・・・。

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あいうえお順INDEX


喜劇的ビフォーアフター

2006年03月14日 | 建築

『劇的ビフォアフター』、終わっちゃうんですね。
以前にも本ブログ『リフォームの定義』で取り上げましたが、なんともファンキーな番組でした。

で。終わる前に、どうしても会いたい人がおりました。

それは

「人は彼を ”空間演出のマエストロ”と呼ぶ」

という、「呼んだ人」。

誰なんでしょう? そんなややこしい呼び方をする人。

そうですね。他にもたくさん会ってみたい方がいるのですが

「人は彼を ”光と風のコンシェルジュ” と呼ぶ」

という 「呼んだ人」。

「人は彼を ”潤いの空間アテンダント” と呼ぶ」
「人は彼を ”空間連鎖の錬金術師” と呼ぶ」
という 「呼んだ人」にも、ぜひ会ってみたいです。

どういう根拠で、普段そんな呼び方をしているのか、うかがいたい。
アテンダント・・・今まで生きてきて、まだ一度も使ったことありません・・・意味わかんねーし。
空間連鎖ってなんだろう・・・・?

街中で、「よう!潤い空間のアテンダントじゃん!ひっさしぶりー」とかいう挨拶も、一度見てみたかった・・。

また、当人はそんな呼び方をされて、こっぱずかしくなかったのか?ぜひうかがってみたかったです。

弊社のお客様にも、著名な建築士の先生がいらっしゃるのですが
「先生は、そういう呼び名ないんですか?うちでつけてあげましょうか?」
と申しましたところ
「あるか!そんなもん!」
と、激怒されてしまいました・・・。

私なら、彼らを総称して
「魔法の家電製品チェンジャー」と呼びますね。あるいは「ヨドバシカメラのコンシェルジェ」
テレビ、みんな液晶になっちゃってるし。先日の番組では、息子の部屋にノートパソコン導入してました。
いつから始めた?パソコン?

では、公開いたしましょう。弊社が知る限りでの「匠」のあだ名。一覧です。
「なんと言うことでしょう!」

季節の匠
自然素材の伝道師
光の魔術師
日本建築に魅せられた天才
多機能の奇才
癒し空間のアーティスト
空間の仕事人
コントラストの開拓者
機能空間の親子
空間演出のマエストロ
モダニズムの継承者
狭小空間の開拓者
ゆとりの空間請負人
温もりのセラピスト
安住空間の探求者
三次元の冒険者
節約リフォームの説法師
住空間のアーティスト
時空間のコンダクター
住空間の栄養士
色彩住宅のソムリエ
境界線のリベラリスト
寒冷住宅の開拓者
コンクリート住宅の伝道師
雅の若き志士
住空間の層造者
懐古住宅の伝道師
住空間のプランナー
居住空間のストーリーテラー
空間構造の戦略家
機能美の探求者
空間構造の改革者
風と空間の仕事人
感動住宅の演出家
心と空間の改革者
人と空間の交渉人
空間構造の自由主義者
和みの空間仕立て人
立体空間の探検家
居住空間の印象派
住構造の救命士
住機能の発明家
ゆとりの空間整備士
個性派住宅の空間アナリスト
住風景の探訪者
元気住宅の栄養士
住環境の時代考証人
空と家の渡し人
心と空間のエンターテナー
安らぎの生活仕立て人
ゆとりの空間トレーナー
体感面積の野心家
空間方程式の芸術家
潤いの空間アテンダント
水と明かりの調合師
空間連鎖の錬金術師
ゆとりと安心の保証人
和の空間伝道師
暮らしの遊び仕掛人
光の導線仕立て人
優しい機能の仕立て人
光と風のコンシェルジュ
ゆとりの空間プログラマー
安らぎの調光師
廃材のスタイリスト
健康庭園の療法士
森と木の代弁者

この中で”節約リフォームの説法師”だけが、妙に庶民的。

以上、「虚像空間のパティシエ」がお送りいたしました。

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あいうえお順INDEX


ロートアイアンという芸術

2006年01月10日 | 建築
ロートアイアンというものをご存知でしょうか?

と言いますか、普通に生活していれば、しょっちゅう見かけることができるのですが(あるいはあなた様の家にもあるかも)、それが「ロートアイアン」というものだ、ということが、あまり知られていません。
簡単に言えば「鉄細工」のことで、正式な日本語としては「鍛鉄」と言います。
よくセレブな家(でなくても)の柵に使われている槍みたいなやつが、代表格です。

ロートアイアンは、中世ヨーロッパでさかんに用いられた技術で、英語ではWrought Ironと表記します。
Wroughtは、「働く」の形容詞らしいので、「働きい」?とでも言いましょうか。
Ironはご承知の通り鉄です。
小さなものは、衣紋掛、鳥かごから、大きなものは、大寺院の門扉、階段手すりと、とにかく、あらゆる所で利用されてきました。
風見鶏の多くがロートアイアン、と言えば、わかりやすいかも知れません。


言うまでもなく、制作するのは鍛冶屋さんです。
フェンスメーカーなどは、これを鋳物として型枠で大量生産していますが、基本的にはひとつひとつ手作りであるため、同じ物は存在しません。

このため、特に発祥の地である欧州では、ひとつの「芸術品」として認められており、ロートアイアンデザイナーとして名を馳せている方もたくさんたくさん存在します。
なにしろ、曲げ方から打ち方まで、あらゆる形状が考えられますから、そこは3次元の世界で、デザインするのも簡単ではありません。つまり、平面の設計図では、デザインできないものもたくさんあります。
しかも粘土などのヤワ物とは違いますから、形状をつくるのも、実に大変です。
鉄だけで、表現されるロートアイアンは、ある意味、ひとつの彫刻作品でもあるわけですが、
特に日本では、なぜか芸術として評価されません。

今でも、池袋なんかの路上で、名前の針金細工なんかを売っているにいちゃんを見かけますが
彼らは、どうやら「アーティスト」のはしくれとして見てもらえるのに、
それよりはるかに高度なロートアイアンが、芸術として認められないのは、おかしな風潮です。
なにしろ、針金細工のように、ぐねぐね曲がってくれません。

実は、国内にも、多くのロートアイアンメーカーがあり、そこにはまた多くのロートアイアンデザイナーが存在します。
そのほとんどが受注生産であるために、その工房ごとの趣きがあります。
たいていの街の繁華街や、公園で、必ず目にすることができますが、
たまにその造形を観察してみてください。
驚くような凝った形状になっていて、やはりそれが「芸術」であることに気づくことができるはずです。

参考として
ナルディック
オンダ
アイアンワークス

このあたりをご覧ください。それがいかに素晴らしい技術かわかります。


画期的商品

2005年12月08日 | 建築
唐突ですが

小学校2年生の「お楽しみ会」。
このとき、私は「手品」をやろうと考えまして、さまざま調べていたところ
『お札が印刷できる!』という、なんとも画期的な商品を、当時の怪しい通販で見つけました。
見ると、怪しい広告には、なんと千円札!が、印刷機から出てきている「絵」が掲載してありまして、幼少の私は釘付けになりました。題して『魔法の印刷機』。横には千円札の札束の「絵」まで!!
「これで、もう小遣いに困ることはない!」という、信じがたい判断をした小学生の私は、一も二もなくこの怪しい印刷機に飛びつきました。
だいたいそれってニセ札じゃん、ということなど、まったく頭をよぎりませんでした。
なにしろ千円は大金!当時、小学生の小遣いが月100円程度の時代ですから、そらぁ見た事もない「大金」です。
千円札を小学生が持つなど、考えられないような時代でした。

さっそく当時の全貯金250円に、さらに婆さんから50円をだましとりまして、切手で送金。
後は到着を待つばかり!
これで私は「小学生の大富豪」まちがいなし!、と、胸をふくらませて待ちわびておりました。
もう頭の中では、千円札の束を持って同級生の女子をはべらせている自分がいるわけです(なんで男の想像って進歩がないんでしょう?)。

そして1週間。到着しました!「魔法の印刷機」!
そのうれしさは忘れられません。包装をやぶるようにして、印刷機を取り出した時は涙が出そうな感動でした。
「これで大金持ちだ!」
小刻みに震える小さな手で、機械を取り出し、付属品チェック!白い紙が何枚かついておりまして
おお「これが千円札のモト」にちがいない、と確信!
「待ってろ、すぐに千円にしてやるからな」。

さっそく説明書に目を通しましたところ

”1.はじめに実際の千円札を用意します”

はい?

そんなモン持ってるか!だって、なけなしの300円でようやくこれを手に入れたばかり・・・。しかも50円は老人から騙し取り。
でも、それが何十倍にも増えるなら、それもアリか?と思いましたら、
この印刷機。循環式(?)で、同じ千円札がローラーで何度も出てくるだけ。

「えー!?」

この少年の落胆。想像できますか?

”6.用意した千円札のぶんだけ印刷ができます!"

用意した分だけ?札束は?だいたいそれって印刷?

元の千円がないと、この手品は、白い紙が回るだけでなんの芸もありません・・・。
結局、お楽しみ会は、誰でもタネのわかるバナナ切りをやって、想像通りの大失敗。
全財産をはたいた本物のお札が出てくる「偽札印刷機」は、その後もなんの役にもたたずに(なにしろ元の千円札がない)
どっかにいってしまいました。

その後、身内の老婆を騙して50円を搾取したことが発覚。
偽札製造未遂と、詐欺罪で、親からこっぴどく怒られたことは言うまでもありません。


暖房綺潭

2005年12月02日 | 建築

12月。季節はもうすっかり冬です。

冬になるたびに思うのは、日本という国は、暖房については極めて貧しい国だなぁ、ということ。

昭和40年頃、『トムとジェリー』というアメリカのアニメが大ヒットして
未だにDVD化されてはやっていますが、
この猫とネズミが住んでいる住まい。まぁ、豪華装備もいいところで
家には大きな暖炉。部屋にはセントラルヒーティングのヒーターらしきものもついています(セントラルクリーナーまである!)。
問題は、これが1960年代のマンガであることで、現在が2005年である、ということです。
当時は「日本もいつかはああなるんだなぁ」と、羨望のまなざしで観ておりました。

が。

待てど暮らせど、ああならない。

あれから40年も経った現在でも、日本の住宅は、トムとジェリーの家とはほど遠い状態。
狭さのことは、ここでは百歩ゆずりましょう。
少なくともジェリーの部屋よりは広いはずですから(ネズミ・・・)。
セントラルクリーナーも忘れます。

でも、暖炉は?セントラルヒーティングは?

そうなんです。暖房機器において、日本は、当時とさほど変わっていません。
強いて言えば、エアコンが暖房の仲間に加わったくらい。
「うちはファンヒーターだ!」などと豪語してはいけません。原理は「餅が焼けないストーブ」です。

思えば、貧乏の代表格であった『フランダースの犬』の「ネロとおじいさんの家」でさえ暖炉がありました。
しかし日本の貧乏代表「星 飛雄馬」の家には、暖房さえある雰囲気がありません。
しかも『巨人の星』は、ネロよりずっとずっとずっと後の話。
「俺は猛烈になさけないぜ!あきこねーちゃん!」

暖炉の薪がとうとうなくなってしまい、寝ていたネロが寒さにおき出すシーンがあります。
そもそも寝ている時に暖房ついてますか?「現代のあなたの家」で。

欧米(ロシアも)は、古くから地域暖房やセントラルヒーティングが普及していて
冬はどの部屋も同じ暖かさが保たれています。
同じことをオイルヒーターでやろうと思うと6000Wくらい電力をくいますから、とうてい真似できません。

地域暖房は、中国でも見ることができます。
そう考えると、GDPがどうしたの、GNPが世界で何位だの、BCGがどうした言っても
庶民の生活は、実は、極めて低いレベルにある、と思いませんか?
よく「子供は風の子」などと言われていましたが、無茶な比喩ですよね。
だって「冬にしか言われなかった」でしょ?

ちなみに私。中学校はセントラルヒーティングでしたが、高校は「ストーブ」でした。
いろいろ天板で焼くことができて、それはそれで情緒もあり、さまざま思い出もあります。
誰かがストーブでニンニクを大量に焼いて、学校中がニンニク臭で大騒ぎになったこととか・・・。
ああ。あれもセントラルヒーティングだったらおきない事件でした。
だから、私が悪いんじゃありません。


シャンパン・グレイ

2005年11月28日 | 建築
銀、金、黒、白、茶
この5つの色、なんだかわかりますか?

ポケモンのシリーズ?いやいや。
減らないクレヨンの順序?と、連想されたあなたは、なかなかの感性の持ち主です、が、違います。
確かに、白いクレヨンの存在意義は不思議でしたが。
小学校の写生大会で、テーマが「牛」の時がありまして、ホルスタインを描いたのですが
三越の包み紙のような奇妙な模様だけになってしまい、それ以来、白クレヨンの存在を疑問視しておりました。
パッケージデザインの大会ではなかったため、当然落選し、なぜ黒牛を選ばなかったか、今でも時々悔やみます。
「だって先生、白いんですよ?」
牛に「縁取り」なんかありませんよねぇ。どう見ても。

あ。ひとりタイムトリップしてしまいました・・・。

この5色、一昔前のサッシの色です。
これだけ建物の建っている国でありながら、窓枠のサッシは、おおよそこの5色しかありませんでした。
逆に言うなら、家を建てる人は、どのサッシメーカーを選ぼうと5通り以外の選択肢はなかったわけで
まぁ、なんと言いますか、嫁選びは「森三中」から。と、限定されたみたいなもの?

アルミサッシの草創期は、ご承知の通り、銀色のアルミ色しかありませんでした。
その後になって、茶(ブロンズ)、黒、ゴールド、白、といった具合に、ゆっくりとしたペースで
色が増えていったのですが、どういう訳か知りませんが、この5択で停滞します。
壁材が多種多様な色彩を展開していたにもかかわらず、ずっとこの5色で間に合っていた、というのも
また不思議な話ではあるのですが。

しかし、本当にごく近年になって
三協アルミというメーカーが、ゴールドを少しだけクリアにした「シャンパン・グレイ」という色を大ヒットさせ
各アルミメーカーの「オリジナルカラーブーム」に火をつけます。
実際には、三協アルミが最初にオリジナルカラーを手がけたわけではありません。
しかし、シャンパングレイが、その起爆剤となったことは業界も認めるところでしょう。

他社も、この時期には、さまざまなネーミングでオリジナルカラーを投入していますが
「シャンパングレイ」は、そのネーミングでも抜群のセンスがありました。
透明感があり、しかも容易に色が想像できます。
この後、トステムが「オータムブラウン」という色をヒットさせますが
それでも「シャンパングレイ」の垢抜けかたは、ドラえもんの中の「スネ夫」、
ちびまるこちゃんの「花輪クン」、いなかっぺ大将の「西はじめ」(これはちょっとちがう?)といった存在感がありました。


(三協アルミ/シャンパングレイの出窓)

そもそも、オリジナルカラーに名前をつける、というやりかたは、他の業界でも多用されています。
代表格は「車」。
自動車メーカー各社は、その多彩なオリジナルカラーをアピールするため、車の色ごとに
名前を決めていて、商標登録もしています。
ミッドナイトブルー、や、アルペンホワイト、といった類いのもの。

しかし、これらと比較しても、「シャンパングレイ」は、郡を抜いたネーミングです。
なにしろ色が想像できます。
「アルペンの白」と言われても、あまり見たことがありませんし
富士の高嶺に降る雪と、どうちがうか、と言われても困ってしまいます。
「ようは白だな」という結論に落ち着くわけですが、トヨタあたりは「白」だけでも数種類ありますから
そこそこに重要なわけですね。色のネーミング。

ちょっと前の「プロヴァンス様式」という住宅建築の一種のムーブメントが起きたとき、
サッシはこぞって「白」が選ばれましたが、この中でも、三協アルミは「シャンパングレイ」でひとり気をはいていました。

ただし。シャンパングレイというネーミングは、なにも三協アルミが考えたわけではありません。
もともと、「シャンパンゴールド」と「シャンパングレイ」という色のネーミング自体は存在していました。
しかし、これを「金属」であるアルミに用いたセンスは、すばらしいですね。

現在、住宅の流行はシンプルモダンとなり「ステンカラー」がその本流です。
最も流行しているのは、おそらくYKK-AP社の「プラチナステン」というオリジナルカラー。
色調もよく、これもなかなかのネーミングだとは思いますが、プラチナもステンレスも金属で、しかもアルミって・・・。

牛も、いつまでも「白、黒、茶」では芸がありません。
せめてシャンパングレイの牛がいれば、あの時、落選することもなかったのですが。
だって先生、白は白でしょう??

光触媒ってすごい

2005年11月25日 | 建築
光触媒をご存知ですか?
もう、今や人類の未来を握っている、といっても過言ではない超画期的技術。
なにがすごいって、まぁ、知らない方はお読みください。知っていて損はありません。

ものすごく簡単に言いますと、たとえばこれを塗っておいたものは

1.汚れをよせつけず
2.汚れても光が当たるとすぐ落ちる
3.匂いもとれてしまう
4.おろか大気汚染まで分解してきれいにする

というもの。

光触媒は酸化チタンという、まぁ、金物の仲間を塗りたくるんですが
この物質、ひとつに親水性が良い(つまり水と仲良し)ため、水をはじきません。
しかも。水と仲良しなので、汚れの下に水が入り込んで、汚れを流してしまいます。
最近は、これを車のバックミラーやら窓に塗る製品が登場して少し有名になりました。

次に、紫外線が当たると、化学反応が起こり、汚れを分解し出します。
ここに雨が降りますと、つまり、水にあたると、きれいに流れてしまいます。
そればかりではありません。
分解されるのはナノレベルのことなので、匂いや、空気中の有害物質まで分解してしまいます。

当然、いろいろな用途が考えられるわけで、ビルの壁やら、車体、家の壁、とにかく日光が当たるものならなんでもOK。
NOxも分解するため、舗装道路に使用する製品まで登場しています。
後から紫外線を当てる、という組み合わせさえできれば、トイレだって、なんだっていいわけです。
そのまわりは、汚れも、空気もきれいになってしまう、ってんですから、こたえられません。
もし、東京中のビルや道路が光触媒を採用したなら、公害問題など、あっという間にかたづく、ってんですから、すごいですよね。

そうです。
体中に光触媒を塗りたくれば、後は一生風呂に入る必要もありません!
問題は、光に当たる方法ですが。まぁ、裸で日光の下に飛び出す勇気さえあれば
「人体無害」らしいので、いいかも知れませんね。匂いもとれちゃうし。
もう「臭い」と言われずにすみますよ。みなさん。え?言われたことない?

建築の分野においては、TOTOや松下電工が早くから取り組んでいて、それなりの成果を製品として供給しています。

クボタ松下は、光触媒を外壁材に適用した「光セラ」を発売中。
建築関係者でも、この「光」の意味が謎だったかたは多いはずですが、そういうことだったんです。
汚れに強く、もし汚れても雨で落ちてしまいます。
松下電工の関連会社であるパナホームさんは、もう、壁からなにから光触媒使いまくりの『エルソラーナキラテックNew』という一戸建て住宅を今年発売しました(ネーミング、覚えにくすぎ)。
なにしろ、環境にいいので、住宅メーカーとしての取り組みとして、おおいに賞賛されるべきことです。
唯一、難点を言えば、両メーカーともに、あまり弊社のCGパースを使わないこと、くらいでしょうか。

TOTOは、この分野では先駆者で、汚れ知らずの「ハイドロテクトタイル」やら、
アンモニア臭を分解するトイレの床やら、建築分野にとらわれることなく、いろいろ出してます。
光触媒を使ったタイルは、白はいつまでも白のまま。メンテナンスフリー。この費用対効果もかなりさわがれるようになりました。
最近は、遺跡とかにも塗られているらしいですね。
唯一、難点を言えば、このメーカーも、あまり弊社のCGパースを使わないこと、くらいでしょうか。

さらに。

酸化チタンは、口紅に使用されるほど安全な物質で、数ある金属の中でも優等生。
難点は、あんまり生産量がないこと。
そう言えば、学校のクラスでも「優等生」は少なかったですよね。そんなものなのかも知れません。
まぁ、私などは、その「数少ない」部類でしたので、クラスの「酸化チタン」とも呼ばれていました。

でも、当然ながら、増産、増産、お鼻が長いのね♪

もうすぐ「風呂にはいらなくても」「臭いなぁ、よるなよ」と言われない日が来ます!みなさん!
え?言われたことありませんか??

もし、晴れた日に、お天道様の下を丸裸で走っている人を見かけたら、それは光触媒を塗りたくった私かも知れません。


続・構造計算の話

2005年11月24日 | 建築

やぁ。ボク、コナン!
そう。「殺人現場に偶然いた小学生全国コンクール」でダントツ1位のコナンだヨ!
ちなみに準優勝は、小嶋元太クンと、円谷光彦クン!女子の部で優勝は吉田歩美ちゃん!
み~んなボクの友達サ!

おとといのブログの推理が早くもあたっちゃったみたいだから、さっそく現場に来てみたワケ!
今回は毛利のおぢちゃんは抜き!だって、殺人じゃないからさ。
毛利のおぢちゃんは殺人専門だから。よくビジネスが成り立つっていうか、どういう観点で開業したんだろうね!

おとといの『構造計算の話』の続きだけど。
渦中の木村建設サンは、倒産しちゃったんだって!この時期に!
普通、倒産って、月末あたりに集中するもんらしいけど、不思議だね!
休日前日っていうパターンはよく使われる手らしいけどネ!
不渡りを2回出せば事実上倒産できちゃうからね。法人って便利だよネ!
株主代表訴訟はまぬがれないだろうけど、ボク小学生だからよくわかんないや!
殺人はよくわかるんだけど!

災難なのは、全国各地の「木村建設」サンだよね!
とってもありそうな名前だし!
ヒューザーさんとか、シノケンさんとかは、あんまりないからいいだろうけどね!

ヒューザーさんの社長さんも
「この顔がそんな悪いことをするように見えますか?」って
「見えます」って言われたらどうすんだろ?
顔はなんのアリバイにもなってないよね!
以前マルチで捕まった社長さんも、そんなこと言ってたし。
せめて、もっと「仏顔」の人だったらよかったのにね!

エクスクラメーションがやたらに多いけど、元気なしるしさ!



♪”左甚五郎よ永遠に”

2005年11月18日 | 建築
「法隆寺を建てたのだーれだ?」
「んー・・・。聖徳太子!?」
「ざーんねん。大工でしたー」

こんななぞなぞ、みなさんも聞き覚えがあることと思います。
こちらが数少ない歴史の知識を駆使して答えたあげくに、このくっだらねーオチでひっかかった悔しさは
忘れようとしても忘れられないことと思いますが(え?みんな忘れてる?根にもってないの?)
この、くっだらねーなぞなぞ、実に大きな問題を含んでいるのです。えーえー。根にもってますとも。

欧米では、古くから建築家を「芸術家」として認めていました。
アントニオ・ガウディは、日本人でもたいていの方は知っていて、彼を「希代の芸術家」として誰しも認めています。
でも、法隆寺は世界的木造建築の傑作、とまで言われていますが、その設計者は誰も知りません。
いや。これは根にもっているなぞなぞの話ではありません。

サイモン&ガーファンクルの歌に『フランク・ロイド・ライトよ永遠に』という歌があります。
フランクロイドライトは、日本でも、旧帝国ホテルなどをデザインしたことで広く知られる伝説の建築家ですが(一説では、初めて建築パースを用いた人、とも言われていますが、個人的にはこの説には否定的)
欧米では、それこそピカソなどの画家、モーツァルトなどの音楽家と並列に語り継がれています。

日本にそんな建築家、いる?

いました。かろうじて「左甚五郎」くらいでしょうか。
でも、左甚五郎が、かつて歌の歌詞にまで登場したことはありません。
まして「左甚五郎よ永遠に」などという歌を、狩人(自称和製サイモン&ガーファンクル、らしい。違うと思うけど)あたりが歌ったこともありません。

ひとつには、日本は建築を芸術の観点から見ていない、という文化意識の差があります。
左甚五郎にしても、大工や設計士としての能力ではなく、彫刻家として語り継がれているわけで
しかも「実在の人物か怪しい」のですから、とうてい同列のものではありません。

もうひとつに、日本人の人名が歌の歌詞に入るということ自体、あまり例がありません。
ポール・サイモンは、このフランクロイドライトの他にも、幾度か著名人を歌詞に入れていて
かのミリオンセラー『ミセス・ロビンソン』(そもそもここから人名ですが)には、アメリカの野球の英雄、
ジョー・ディマジオが登場します。
これは、日本で言うなら「川上哲治が歌詞に登場する」ようなものですが、当然、そんな歌、聴いたことありません。
ピンクレディがかつて「サウスポー」で露骨に王貞治のことを歌っていますが
さすがに「背番号1の王貞治があいて」とまでは歌っていませんよね。売れないと思うし。
歌詞に登場する日本人って、桂春団治くらい?しかも「芸のためなら女房も泣かす」・・・。
あとは・・・ハイセイコー?・・・馬だし。馬。

話を建築家にもどします。
フランクロイドライトに限る事無く、欧米には著名な建築家が多数存在してきました。
美術家や音楽家と同列に、創造するものを「芸術」としてとらえる文化は、見習うべきものがあります。
また「ひとつのことを成し遂げた」人を賞賛する文化も、日本人には不足しています。
かのMr.クロサワにしても、認めたのは欧米が先でした。情けない話です。

近年、日本の建築家でも、世界で認められる人が増えて来ました。
そうした著名人でなくとも、パースを制作していると、設計者が芸術家であることを、強く感じる時があります。
そうした能力を持っている人、あるいは努力して得た人を、賞賛する風潮がまだまだ必要だと思います。

で。法隆寺を建てた人。誰なんでしょう?
えーえー。根にもってますとも。



進化する洗面台

2005年11月17日 | 建築
ふと自分の生活を振り返って「毎日使う家具」って、いくつありますか?
いえ。設置されたままの万年コタツとか、そういうモノは除いて。
それはすでに家具というものではなく、亀の甲羅みたいなものですから。

家具です。

今日の主人公は「洗面台」。一度家を建てれば、まず取り替えることはありません。
したがって、カタログで選ぶにせよ、生涯に一度しか見ることはない
実にマイナーな「家具」です。でも、どなたでも毎日使います。

洗面台は、今まででたった一度だけ脚光を浴びた時期がありました。
「朝シャン」洗面台です。
かの「娘は裸で困っていました」という奇妙に色っぽい名コピーとともに、一世を風靡し
この時ばかりは「取り替え需要」が起りました。

あれから十余年。
洗面台はまた静かな時代に戻りました。

しかし、実は洗面台だって、みなさんのあまり気付かない所で、著しい進化を遂げています。
まずはそのデザインをご覧ください。
トップの写真は、アドバンという会社の発売している「キュービ」。

上についているのは蛇口です。ここまで来れば、もう芸術。
残念ながら、デザイナーがどなたなのかは存じ上げません。

続いて、こちらはトステムから今年発売された「アクエス」。

その曲線が美しい。ただし、こういうモノは、
下にマジックリンやらカビキラーなんかをボーリングのピンのように並べる主婦には使えません。
したがって、我が家の母などには、絶対に、検討すら許されない製品です。
メーカーも、用途を洗面所に限っておらず、寝室など、さまざまなシーンを想定しています。
でもやっぱり、我が家の母には検討してもらいたくない製品です。
我が家は、家のどこにでもカビキラーがあるので(笑)。

そういった主婦にでも、美しく使えそうなのはこちら。
TOTOの「Jクリスタル」です。

正面のミラーは映画館のよう。映し出される女性が女優なみとは限りませんが。
むしろその役割から、化粧を落とすわけですから、ある意味でホラー映画かも知れません(失敬)。
その色の組み合わせ、素材感、文句なしの完成度です。
こんな洗面台を置けば、そこだけはまるでホテルのスィートルーム。
スィートルーム・・・泊まったことがありませんが。

次は、変わったところで山宗製陶の『POTTERY』です。


これは手洗い器だけですが、なんとひとつずつ手製。
50年後なら「なんでも鑑定団」にでも出せそうな芸術性です。もっとも番組が続いていればの話ですけど。
この製品は、陶芸家の名前も前面に出しています。
ある意味、製品とはそもそもそうあるべきなのかも知れません。

ご覧いただいたように、最近の洗面台は、デザイン、素材とも、実に素晴らしいものが揃っていて
一般の人の思い描く「洗面台」より、ずっと進化しています。
もちろん、ここにご紹介したものが、そのほんの一部であることは言うまでもありません。

めったに注目されないものでも、ひとつずつ取り上げると、
本当にいろいろなメーカーさんが、それぞれ工夫を凝らしておられることがわかります。

ということで、本日はちょっとした洗面台の展覧会。お楽しみいただけましたでしょうか?

リフォームの定義

2005年11月14日 | 建築
曲がりなりにも、建築にかかわっているので『劇的ビフォー・アフター』という番組をよく見ます。
依頼主への配慮、新しい工法の取り入れ方、斬新な設計と、さすがに「匠」と言われるだけあって
いつも感動させられます。感動させられますが
この番組の「リフォーム」の定義ってなんだ?
なにか回を追うごとに、この定義が拡大しているような・・・。

この番組に登場する「リフォームの匠」は、必ず解体から始めます。
もちろん、それは普通の手順ではあるのですが、
「はじめに壁を取り去り・・・・天井と床が取り去られ・・・・土台をつくりなおし・・・最後に梁がとりさられました」
って、それって新築じゃん!と思っているのは私だけでしょうか?

あるときは、すでに柱しかないのに、「新しい土台ごとクレーンで家の方角を変えてしまいました」。
匠。そりゃ、はじめから建て直したほうが安いのでは?
いや。いっそ、その地価の高そうな「不便な家」は売ってしまって郊外に引っ越せば?
と、思うのですが、番組ではあくまで「リフォーム」にこだわります。柱1本になっても(笑)。

そもそも「リフォーム」の定義、とはなんでしょう?
「REFORM」は。実は和製英語で、アメリカでは「REMODEL」と言います。
和製英語というくらいですから、初めに考えた日本人がいるはずなのですが、誰かはわかりません。
したがって、どういう意味であろうと、文句は言えないので
番組の考え方は間違ってはいないことになるわけですが・・・・。

彰国社発行の『建築大辞典」によりますと、「新築以外の増築・改築」ということになっています。
たぶん世の認識もそうだと思われますが、
いいえ。昔はこの番組も間違いなく「リフォーム」でした。
でも、最近のこの番組を見る限り、「柱が1本でも残っていればリフォーム」。
予算も毎度値上がりしてきて、今や1000万円くらいは当然になってきました。
坪単価も当然上昇。今は「設計料を含まず」60万円くらいが平均・・・
うーん。新築より高いかも(笑)。

そもそも、なぜ1500万円も払えるほど溜め込んでいた(?)老夫婦が、
なぜあんな不便なとこに住み続けていたのでしょうか。
せめてその中の50万円で、壁の隙間ぐらいふさげよ、と、毎度不思議に思います。
その上、「ビフォー」状態の時は、ブラウン管テレビだったのに「アフター」は
決まって大型液晶テレビになっているのはなぜ?匠の技?

この番組。元の家の部品を、なにかに「再利用しました」というおまけが必ず付きます。
リフォームなのですから、おまけでは困ると思うのですが(笑)
「元の家にあったあの立派な梁は、テーブルの足に生まれ変わりました」って・・・・・。
そりゃ木なんですから、なんにでも生まれ変わるでしょうけど。
テーブルの足とか、まな板では、リフォームと言わないのでは?
「おばあさんは、生まれ変わった梁を見て涙していました」
涙するかも。別の意味で。

とにかくエスカレートし続けるこの番組の「リフォーム」。
すでに土地以外、ほとんどリフォームされているのですが、
次の「リフォームの匠」は、いよいよここに着手するかも?

「匠は、元あった不便でせまい土地を売却。新しい土地を購入し、わずか10坪だった土地は便利なスーパー隣の50坪に!」




"どこでもドアホン”

2005年11月12日 | 建築


先日、松下電工のクモ忌避塗装仕上げの軒天材『ノキラック』をご紹介しました。参照

商品の素晴らしさもさることながら、このネーミングのベタさに驚いておりましたが
同じ松下サンのページでこんな新製品を見つけました。もっともこちらは松下電器産業ですけど。

ファックス付きインターホン、その名も『どこでもドアホン』
うーん。聞き覚え大アリ(笑)。
いやぁ。覚えやすい。覚えやすいですけど、それでいいのか松下!?

でもここまでやるなら「しずかちゃんのお風呂場にも!どこでもドア~ホン」
くらいのキャッチコピーがほしいかも。

スパイダーマン真っ青の『クモ忌避塗装』

2005年11月07日 | 建築
クモ忌避塗装という奇妙な単語。まぁ、ご存知のかたは、業界でもよほどの通か変な人です(失敬)。
”クモキヒトソウ”と読みます。
なにかと言いますと、蜘蛛が巣を張りにくくする塗装で、これを塗ったところは、蜘蛛の巣が張りにくい
という、建築の世界では、実は画期的なものです(へんなニホンゴ・・・)。

これが塗ってあるところは、クモがこれを嫌いまして、巣をはりません。
最近、松下電工から、この塗装剤を塗った軒天が製品化されまして、もちろん業界初。
『ノキラック』という、なんとも言えない(笑)商品名で販売されています。

こんなものが出ていれば、ホラー映画はさぞ作りにくいであろう、と思われますが
スパイダーマンも蜘蛛の遺伝子をついでいるらしいので、きっとやりにくいだろうと思われます。

興味のおありのかた、または、「実は私がスパイダーマン」という方は
ノキラックのページからどうぞ。