エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

暖房綺潭

2005年12月02日 | 建築

12月。季節はもうすっかり冬です。

冬になるたびに思うのは、日本という国は、暖房については極めて貧しい国だなぁ、ということ。

昭和40年頃、『トムとジェリー』というアメリカのアニメが大ヒットして
未だにDVD化されてはやっていますが、
この猫とネズミが住んでいる住まい。まぁ、豪華装備もいいところで
家には大きな暖炉。部屋にはセントラルヒーティングのヒーターらしきものもついています(セントラルクリーナーまである!)。
問題は、これが1960年代のマンガであることで、現在が2005年である、ということです。
当時は「日本もいつかはああなるんだなぁ」と、羨望のまなざしで観ておりました。

が。

待てど暮らせど、ああならない。

あれから40年も経った現在でも、日本の住宅は、トムとジェリーの家とはほど遠い状態。
狭さのことは、ここでは百歩ゆずりましょう。
少なくともジェリーの部屋よりは広いはずですから(ネズミ・・・)。
セントラルクリーナーも忘れます。

でも、暖炉は?セントラルヒーティングは?

そうなんです。暖房機器において、日本は、当時とさほど変わっていません。
強いて言えば、エアコンが暖房の仲間に加わったくらい。
「うちはファンヒーターだ!」などと豪語してはいけません。原理は「餅が焼けないストーブ」です。

思えば、貧乏の代表格であった『フランダースの犬』の「ネロとおじいさんの家」でさえ暖炉がありました。
しかし日本の貧乏代表「星 飛雄馬」の家には、暖房さえある雰囲気がありません。
しかも『巨人の星』は、ネロよりずっとずっとずっと後の話。
「俺は猛烈になさけないぜ!あきこねーちゃん!」

暖炉の薪がとうとうなくなってしまい、寝ていたネロが寒さにおき出すシーンがあります。
そもそも寝ている時に暖房ついてますか?「現代のあなたの家」で。

欧米(ロシアも)は、古くから地域暖房やセントラルヒーティングが普及していて
冬はどの部屋も同じ暖かさが保たれています。
同じことをオイルヒーターでやろうと思うと6000Wくらい電力をくいますから、とうてい真似できません。

地域暖房は、中国でも見ることができます。
そう考えると、GDPがどうしたの、GNPが世界で何位だの、BCGがどうした言っても
庶民の生活は、実は、極めて低いレベルにある、と思いませんか?
よく「子供は風の子」などと言われていましたが、無茶な比喩ですよね。
だって「冬にしか言われなかった」でしょ?

ちなみに私。中学校はセントラルヒーティングでしたが、高校は「ストーブ」でした。
いろいろ天板で焼くことができて、それはそれで情緒もあり、さまざま思い出もあります。
誰かがストーブでニンニクを大量に焼いて、学校中がニンニク臭で大騒ぎになったこととか・・・。
ああ。あれもセントラルヒーティングだったらおきない事件でした。
だから、私が悪いんじゃありません。



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1 コメント

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たしかに… (コロカエル)
2009-03-12 07:42:32
確かにそうですね
自分は、親父が大工で昔から現場が遊び場で今わ親父と一緒に仕事してます
前から一部床断熱しかなかったですしね
自分てきには、オンドルみたいな仕組みを日本のフードに合わせてできないものか考えたりしてますよ
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