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○ 水滴に入った ~豊島美術館~

2011年05月05日 | 瀬戸内でアートにひたる


   Teshima Art Museum

   


   入り口で靴をぬいで、入る。
   小さな大理石の作品があるので、足下に気をつけてくださいとのお願いがある。

   入って空間を見渡す。
   建築の2つの開口部とコンクリートのひんやりとした感触、
   天井の包み込まれるようなカーブに圧倒されて、作品らしい物が目につかない。

   身体が空間に馴染んでくると、暗闇に目が慣れるように、ひっそりと作品に出会う。

   それから、音。

   鳥の声の響くこと。美しい。

   自然の音のざわめき。

   天井からブランコのように吊るされた細いリボンのような布が、風に揺らぐ。


   


   人と建築とは、どんな関係であったか、
  
   自然と共存するとはどういうことか、

   風とはなにか、音とは何か、光とはなにか。

   泉としての空間であるこの建物の、内と外。

   人は祈るための空間として、教会やモスクやお寺を建てた。
   決められた目的があるわけではないこの「豊島美術館」という建築空間には、とまどう。

   その「とまどい」のおもしろいこと。

      

   風が強く吹けば、強い風が開口部から入り、もうひとつの開口部からぬけるだろう。

   めずらしく雪でも降れば、コンクリートは生命を凍りつかせる冷たさになるだろう。

   秋には枯れ葉がたくさん舞いおちるだろうし、台風がくれば台風そのものも受け入れるだろう。

   ムカデも蝶も猫も、いつでも受け入れ可能だろう。

   豊島にある別の作品で、空き家を改装したレストランがある。
   「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」というタイトルの作品。
   なぜかこの空間で、そのタイトルを何度もくりかえし思い出した。


   

   内藤礼の作品。

   小さい頃、よくやってた水遊びとどこか似ていて、ずーっとすわって見てしまう。

   本当に考えさせられて心地よい。

   なにもないといえばない、すべてがあるといえばすべてがある、そんなところだった。

   疲れきったらまた、船に乗って自転車でここまできて、ずっとすわって、
   無心でいたり、考えたりしてから、また自転車こいで島キッチンまで行って、
   白ワインでも飲んで過ごしたい。


   アート瀬戸内2011春 INDEX



   
   

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