
雨の降りしきる中、橿原の棚田を見るために山道を登ってきました。
道路の細いこと、暗いこと、心細いこと。
標識もないし、どんどん霧は出てきて見えなくなってくるしで、
なんだかたどり着くまでに相当疲れてしまいました。
ここまで来る前もアート作品をひとつさがしてて、民家しかない山道を
間違えて上の方まで登ってしまって、どうしようもなくなってたところを
たまたま上~~のほうから高級車に乗った、顔のするどいお兄さんが、
下ってきたので道を聞くことができました。
山をなめてはいけませんね。
ガードレールもないし、落ちたらひとたまりもありませぬ。

でも棚田はすごくきれいでした。

この小さな町は、ゴミもすべてリサイクルして、ビジネスもして、
持続可能な豊かな暮らしをしている。

本当にこの町のことを考えている町長と、それに応える町民たち。
難しいこの現代社会の大海原を、安全航行している。

戦後の国の政策によって、いろいろな打撃に涙を呑んできた。
給食は米よりアメリカの小麦を使うパンを、国産のみかんより輸入されるバナナを、
林業を衰退させるような木材の輸入自由化など、この国の発展とともに豊かだった
山村は見る影もなくなっていった。

そして国が衰退をはじめた今、
苦しみ抜いた小さな町は、ものすごい勢いで息を吹き返した。
この町のことを書いた本は、ほんとにどれもおもしろい。
生きる気力というか、希望がわいてくる。