
ガースベーク城からブリュッセルに帰ってきて、バスの時刻を確かめたら、
目的地までのバスがあと5~6分で出ることが分かった。
一気にブリューゲル街道モードになってしまった。
明日は晴れるかどうかわからないし、このまま行ってしまおう。

目的地へのLign118のバスがもう少しでこっちへまわってくる。
いよいよ行くんだ。あの雑誌で見たブリューゲル街道へ。

今日はそこへ行くつもりではなかったから、バスの路線図も宿泊先に置いてきて
しまった。だからバスの運転手さんにシント・アナ・ペーデの教会で降ろしてと
お願いして、一番前に座る。黒人の男前の運転手だった。
あとから乗ってきたおばあちゃんの話を一生懸命きいている。

その男前運転手が突然、「あれがシントアナペーデチャーチだ!」といって
バス停ではないところで教会を指差した。私も一瞬その教会のシルエットを見て、
着いたと思った。バス停じゃないとこで降ろしてくれるなんてなんて親切!!
ところが・・・・歩いて近づくにつれて、これ絶対違うと確信。
っていうかどこだここはーーー!!??

日本でプリントして持ってきた広域地図一枚。
なぜかこれだけでも自分はシントアナペーデの教会まで自力で行ける気がした。
迷って、困っている自分が楽しくなってきた。
薄気味悪く半笑いで40分くらい歩いていると、さっきの男前黒人運転手が
どこかの街で折り返して帰ってきてるのに遭遇。窓から本当にすまなそうに
あやまってくれたけど、もうその時には「あなたのおかげで旅先で迷って困る
ことができました」という感謝の気持ちになっていたので(笑)、
とりあえず今歩いている道が正しいのかどうかだけ確認して、サヨナラした。

5キロくらい歩いて、シント・アナ・ペーデの教会らしき建物の先端が見えたとき、
ものすごく感動した。これまで道を尋ねた人、バスの運転手、今日の天気、
ベルギーの日の長さ、どこでもビールが飲めること、「そこへは歩いて行くには遠すぎる」
と助言をくれた人、孤独に歩いていると鳴きながら寄ってきてくれた羊。
そのすべてに感謝したくなった。
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