もうかれこれ7年くらい前。美術の勉強をしはじめて間もない頃。
そうそうあの頃は必死で美術の見方、楽しみ方みたいな本を読んでいた。
自分がどうして美術なんて勉強するんだろう、そもそも好きだったっけ??と
あれこれ考えては、逆らえない流れに身をまかせて少しでも頑張ろうと本を読んでたな。
もう何の本かは忘れてしまったけれど、美術館に行ったら必ずその美術館のカフェか
レストランで食事をして、その美術館を五感で楽しみましょうってことを書いてあった。
そんなこと言われなくたって美術を鑑賞したら自然に疲れきって、どのみちカフェに足を
運ぶんだからと思っていたけれど、今回は研修を終えて空腹状態でそのままタクシーで
美術館に向かい、到着してすぐレストランに行って食事をしたのがとてもよかった。
これから自分が新たに知るであろう世界への、美味しいカウントダウン。
これから触れる世界はどんな感じだろう、もしかしたらものすごい衝撃的な?
感動があるかもしれない。
そんなことをあれこれ考えながら食事をする『非日常』が楽しくてたまらない。
「これから」を想像しながら楽しむビールとワイン。これがまたいと美味しい。
アルコールがはいると、自分の周りの日常たちがだんだん色褪せて遠のいて、
その空間において唯一「日常」をまき散らすレストランで働く人たちの存在も、
スクリーンのなかの出来事のようにしか見えなくなってくる。
こうなるとこっちのものだ。自分だけの脳世界に突入する瞬間です。
脳の別の回線にスイッチが入って、おもしろいくらいアートな考えが湧いてくる。
しかし私のようなどうしようもない田舎の小庶民でもこんなに脳をフル回転させて、
いろんな思考をめぐらしている。いったいこの美術館のレストランにはどれほどの量の
思考が渦巻いているのだろうと、ちょっと恐ろしくなる。
思考・・・思考・・・そして思考・・・・・。
まぁそれもいい。
神戸での食事は、なるべくハーブの香りが味わえるものにしたい。
小学生の頃、布引ハーブ園で酔いしれた私にとっての神戸の香り。何度も思い出したい。
これから知ってしまう「横尾忠則の世界」にドキドキしながらレストランをあとにした。