「あ、あなた誰?何者?」
花梨が一人目の佐和義から離れ、構える。
一人目の佐和義の身体がぼやけ、やがて女性の姿に変わる。
「私は明日、あんたと当たるジャネットってもんだよ」
その格好は見たことのあるものだった。
中世の魔女――そんな姿だった。
「よくも……」
花梨の表情が怒りに歪む。
「平和的に不戦敗を狙ったんだけどね。邪魔が入ってうまくいかなかったわ。ゴメンね。気持ちよく負けてもらうつもりだったんだけどね」
譲の忠告が早くも的中することになった。
相手がどんな手を使ってくるかも解らないのがこの大会なのだ。
ジャネット――現代の魔術師、魔女が最後の相手だ。
花梨の神術と違い、メジャーな能力である魔術の使い手だ。
トーナメント最後の闘いは神術対魔術の闘いになる。