一見、中国経済とは無関係にみえる話題を取り上げたい。
7月28日、任天堂は業績見通しの大幅下方修正を発表した。
理由は新発売した「3DS」の不振。
同時に、希望小売価格25,000円を一気に15,000円に引き下げるという賭けに出た。
筆者はこの状況をみて、以前のドコモ「FOMA」発売を思い出した。
ドコモは当時、鳴り物入りでTV電話が出来る「FOMA」を投入したのだ。
しかも、自信たっぷりに。
だが、フタを開けると、TV電話の需要は限りなく少なく、かなりの年月が経った現在でもTV電話の利用が少ないこと、携帯電話会社がTV電話を売りにしていないことを見れば、いかにこの戦略が失敗だったかを垣間見ることができる。
今回の任天堂も、筆者は同様の事例と考えている。
任天堂としては、「次は絶対に3Dが売れる」と思って投入したのだろうが、残念ながら消費者はそこまでの付加価値を感じなかったということ。
しかも、この3D技術、市場を注意深く観察していれば、危険性を予見することができたのではないだろうか?
例えば薄型TVの市場、3DのTVが爆発的に売れている状況なのか・・・。
誰が見ても分かる話である。
要するに、開発する側が自分たちの発想や技術開発に酔いしれてしまい、本当に大衆で受け入れられているものを見失ったと言える。
日本企業は技術力、開発力に優れているが故、こうした事態に陥るケースがよくある。
勿論、技術開発には失敗が付きものと言えなくもないが・・・。
もしくは、DSの進化形、ソーシャルゲームの差別化として3Dしか道がなかったが故に、こだわらざるを得なかったのかもしれないが・・・。いずれにせよ、現段階では市場に受け入れられなかった。
翻って、中国ではどうか?
多くの場合、中国の大手企業は先行利益にあまり注目しない。
一般大衆化したとき、爆発的に利用者が増えるときに一気に攻勢をかけるパターンが多い。
スマートフォンでも出遅れが顕著だったが、いまではiPhoneならぬ楽Phone(レノボ)など、アップルもどきが目白押しである。
任天堂の戦略の良し悪しはさておき、市場攻略には幾つものパターンがある。
日本の技術開発なくして新技術の登場がないことは確かだが、あまりにもそこに拘りすぎると本当に美味しい部分を海外企業に持っていかれることが少なくない。
しかも、中国企業の模倣力いやキャッチアップは以前と比較にならないほど速くなっている。
いま日本企業に求められているのは、技術開発と同時に「世界で売りまくる販売力」ではないか・・・。