蕎麦の文化は古く、日本に来たのが奈良時代より以前と言われており、寿司・天ぷらなどとならび、日本を代表する日本料理で、
よく時代劇や落語などにも登場し、庶民の暮らしに欠かせない日本の食文化のひとつです。
蕎麦は蕎麦でも大きく分けて3つあるそうで、江戸発祥の『藪』、大阪の『砂場』、信州の『更科』に分けられ、藪の中でも
「かんだやぶそば」「並木藪蕎麦」「池之端藪蕎麦」は御三家と言われ、ファンのみならず、多くの方に愛されています。
その中のひとつ、上野仲町通り(湯島寄り)にある『池之端藪蕎麦』、が人知れず閉店してしまいました。
昨年末、「閉店か、一時休業なのか?」わからない、という情報がありましたが、今年に入り6月頃には、小さく「閉店」の文字が見えました。
藪蕎麦の系譜で「池之端藪蕎麦」というお店は、ここで学んだ弟子の方々の活躍は、(はたから見ても)蕎麦界のトップランナーばかりですので、
このような老舗がなくなってしまうことは、お店がなくなるのはもちろんですが、伝統がひとつ途絶えてしまったような気持ちで、非常に悲しく感じます。
この上野仲町通りにはもう一軒「蓮玉庵」という、森鴎外や斉藤茂吉、坪内逍遥、樋口一葉など文人文豪が愛した、老舗があります。
上野仲町通りは、いまや歓楽街と化し、風俗店が多く、少し近寄りがたい通りになってしまいましたが、
上野を代表するような歴史的商店も、ピンクの看板の陰に隠れて、まだまだ営業されていますので、
是非一度、そういったお店もご覧いただくと、より一層上野も楽しんで頂けるかと思います。