季節の「うえの」

上野周辺の四季折々の見所や、地元民ならではの楽しい情報を中心に、日本茶に関する話や明日から使える?発見をお届け致します。

訃報に接して

2015-08-04 12:36:11 | Weblog

我々茶業者の大先輩であり、お茶の研究家としても知られた谷本陽蔵さんが、6月末にご逝去されたと、遅ればせながら8月にその報お聞きしました。

 

谷本先生のご活躍は、茶業界のみならず、大学や各方面でお茶や歴史の研究家としても幅広く、とても有名な方です。

 

家業の大阪府堺市の「つぼ市製茶本舗」を継がれる際には「どうせならお茶のことをみんな知ってやろう」と、決意され、その言葉通り

 

お茶の東西から古今まで研究され、その学識は拝聴する我々に更なるお茶の楽しみを与えてくださいました。

 

当店の社長は、全日本茶商クラブの会合で、今年初めにご一緒させて頂き、そのお元気な姿を拝見致しており、

 

私も、昨年9月の全日本茶商クラブのセミナーにおいて講師としてご教示下さった際に、様々お話を拝聴し、

 

「君たちは勉強が足りない!お茶のことはなんでも知ってやろうとという気概を持ちなさい!」と喝を入れて頂きつつも、

 

千利休や茶道に対しての細かい研究に基づく考察を講演頂き、それに対しての質問におすすめの書籍を明示してくださって、

 

私にとっても大変勉強と参考に、またその書籍を読むことで新しい発見・楽しみを見つけることが出来ました。

 

また、様々な茶業史の1ページにも疑問も呈しておられ、気になった私は、それについて調べて、今度は谷本先生にその回答を

 

聞いて頂き、意見を頂こうと、楽しみにしていた矢先のでございました。

 

昨年までは、年に一回はご教示頂くことがあり、私も本当に心待ちにしていただけに、非常に悲しい気持ちでございます。

 

本当に気さくな先生で、私のような若輩者にも、熱くご指導頂き、重鎮ながら親しくお話頂いた姿が今でも昨日のことのように感じられます。

 

先生に心より感謝を致し、ご冥福をお祈り致したいと思います。ありがとうございました。

 

 

最後に、先生がセミナーなどでいつもおっしゃられていた2つのお茶の常識と思われている茶業者として知っておくべきの正しい知識をご披露させて頂きたいと思います。

 

「茶葉」・・・<ちゃば>ではなく、<ちゃよう>と読みます。「ちゃ・ば」ですと、音読み+訓読みになります。ですので、最近では、「ちゃば」が一般的になりつつありますが、

        「は」を使いたい時は、「茶の葉/ちゃのは」や「茶っ葉/ちゃっぱ」と言いましょう。ちなみに、日本茶インストラクターの試験では「ちゃば」というと、

        即不合格になるという都市伝説(半分本当)があります。

 

「半発酵・不発酵」・・・テレビのcmでも、お茶の解説書でも「緑茶は不発酵、烏龍茶は半発酵・・・」などと書いたり、言われたりしています。

              「発酵」というと、微生物をなどが関係する「納豆」などがあり、お茶にも微生物の発酵「プアール茶」や日本の「碁石茶」があります。

              お茶の発酵は、微生物ではない酵素の酸化発酵であることから、「酸化」と呼ぶ方が正しい。

 

広い意味では、現在で2つとも間違いではないのかも知れませんが、正しい認識として持ち合わせることは、とても大切で、

私たちもきちんと整理する上で大変勉強させて頂いております。

 

素晴らしい先生に出会えたことに感謝をさせて頂き、より一層、お茶を学んで、更にお茶の楽しさ・素晴らしさをお客様方にお伝えできるように精進して参りたいと思います。

 

 

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