ケパとドルカス

『肝心なことは目では見えない』これは星の王子さまの友達になったきつねの言葉。

聖墳墓教会

2018年11月21日 | 派遣
もしクリスチャンが聖地イスラエルに初めて行けるとして、先ず行ってみたいNo.1は何処だろうか? 多くのクリスチャンは、おそらく「聖墳墓教会」(英語名 :Holy S epulchre 岩壁をくり抜いて作った聖なる墓)を挙げると思う。

それも当然である。ユダヤ人(ユダヤ教)はエルサレム神殿を、イスラム教徒(モスレム)はメッカを第一に目指す(エルサレムの黄金ドームは第3の聖地)だろう。ではクリスチャンは、なぜ聖墳墓なのだろうか?

そこは主イエスが十字架上で、全人類の罪を背負われて死なれた所であり、かつ復活された所であるとされている。もしこの十字架と復活が無かりせば、クリスチャンほどあわれな人々はいない。

"もし私たちが、この地上のいのちにおいてのみ、キリストに望みを抱いているのなら(註 ;キリストの復活がなかったのなら)、私たちはすべての人の中で一番哀れな者です。"(コリント人への手紙 第一 15章19節 2017)(下はキリストの墓。正確には墓を覆う建物)

私たちクリスチャンにとって、ゴルゴタの十字架と、すぐ近くにあるはずの復活の場所、墓は信仰の文字通り、土台であり、史実としての証明なのだ。そして聖墳墓教会は、下記の流れで発掘され、全体を天蓋で覆うといった、原形がわかりにくいほど、ほぼ完璧に保護された施設となった。だから実際に中に入って、様子をよく見ることが大切になる。この聖地にまで来て、目の当たりにしてそこを見ない人がいたとしたら、それはかなり勿体ないことだと私は思う。残念なことは、この場所で、せめて半日、できれば数日、じっくりと祈りに専念できないことだろう。

四世紀の313年、コンスタンティヌス帝が西ローマの皇帝として即位(後に東西ローマを再統一)し、キリスト教はひどい迫害の歴史を打ち破り、晴れてローマの公認宗教となった。熱心な信仰者であった帝の母ヘレナは聖地に飛び、全学者を集めて、十字架の場所をエルサレム中に探し回った。その結果、此所しかないと聖墳墓教会を建てたのだった。

歴史的に、古代教会から現在に至るまで、この教会はカトリック教会、東方正教会、アルメニア使徒教会、コプト正教会、シリア正教会の複数教派による共同管理されている。面白いことに、会堂の鍵を異教徒のイスラム教徒に託さなくてはならないほど、各教会のこだわりは尋常ではない。

鍵だけではない。私たち日本人には想像ができないほど、この聖墳墓教会をめぐっての、ものすごい歴史がある。正教会の時代とイスラムに奪われた時代。またその奪還と十字軍の時代など、どれほどの執拗な歴史があったことだろうか。これらの一事をとっても確かさが分かるが、近年の考古学からも、聖墳墓の確かさが裏付けられて来つつある。正直、園の墓(Garden Tomb)は影が薄い。ただ、祈る場所としては、聖墳墓よりはるかに素晴らしい。

クリスチャンの皆さん、カトリックの霊だ、何だと四の五の言わず、古代教会からの連綿と続く聖墳墓教会に入りましょう。確かに人混みの中、暗く香の臭いはするけれども。




ケパ




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