ケパとドルカス

『肝心なことは目では見えない』これは星の王子さまの友達になったきつねの言葉。

映画「ユダヤ人を救った動物園 ヤンとアントニーナの物語」

2017年12月15日 | 映画•映像
今日がロードショー(封切り)かと思う表題の映画を観に行ってきた。これはポーランドで起こった実話の映画で、要するにこの日を私たちは心待ちに待っていたのだ。映画の題名が恐ろしく長いが、原題はThe Zookeeper wifeでシンプル。それもそのはず、内容はユダヤ人300名あまりを園内の広い自宅地下室に匿い、その命を救った、勇気ある女性の感動の実話だから。要するにポーランドの反ナチ抵抗運動の一環として、ユダヤ人を救う話である。
私は高校生の時に「アンネの日記「夜と霧」の本から関心を抱いて来た。決して気持ちの良いものではなかったが、ユダヤ人から目を背けることができなかった。映画ではこれまで「シンドラーのリスト」や「命のビザ・杉原千畝」、「戦場のピアニスト」「サウルの息子」などを観た。

この時代、ユダヤ人を助け匿うということは、バレればポーランド人であろうと家族もろとも銃殺されるかアウシュビッツに送られても仕方ない訳で、まさに命懸けである。資産があり、家族がありながら、それができるかということになると、誰もが躊躇せざるを得ないのではないか。映画では、ドイツ兵によってひどく傷つけられた一人の少女の癒やされる過程で、アントニーナの過去も語られていく。その過去が命を懸けて助ける、その伏線になっている。

この映画でもう一つ、私の心に残ったのは、ゲットーのユダヤ人を救出するアントニーナの夫、ヤン園長の働きである。もちろん、ゲットー内の全員を助けられるわけもなく、仕方なく彼らを列車に乗せる手伝いをするシーンが出てくる。
列車は貨車であって、人々をぎゅうぎゅうに押し込んで行く。行先はアウシュビッツなどの強制収容所であることをヤンは知っていた。映画の中で「コルチャック先生」が何度も出てくるが、あまりにも有名な人なのでここでは詳細を省く。(コルチャック先生の実像)彼は自分の孤児たちと列車に乗ることを選ぶのだが、そのあどけない孤児たち一人一人載せなければならないヤンの、苦渋に歪んだ顔が印象的であった。その張り裂けそうな心は、ユダヤ人の マーク、ダビデの星を腕につけているかいないかの理不尽さにあったはずだ。戦後、動物園を再開する時、園長夫妻は建物のあちこちに、ダビデの星マークを描く。この奇異な行動を紐解くならば、このマークで、動物を見に来るべき人間が動物以下のように扱われた時代があった、そのマークを堂々と描くことで解放を喜ぶ、あるいはそれを決して忘れないと言う意味だろうか。(写真は孤児たちの中のコルチャック先生を脱出させようとするヤン)

この映画を通してやはり、共感ということ、自身がつらい体験をもくぐり抜けているということ、これが危機に際して、人間としての真の力になっていると感じさせられる。
私たちの群れも各人、長い間にわたって試練や困難という訓練を受けている。私たちのような寄留者タイプの教会には、美しい会堂や人間的な交わりを求める人々は寄りつかない。ただリアルに神は生きておられる、その信仰だけが命の教会である。だから神が導いた人でないと、そう簡単には定着はしない。

しかし終末の時代、それはまことに不安と混乱の時代であろうが、その時至って真の信仰が、私たちが用いられるのである。それは自転車で動物園を巡回する日々だったはずのアントニーナが、時が来た時には、恐怖という闇に立ち向かい、人間としての真の目的のためにあらゆる手を使って、圧倒的な支配者ナチに立ち向かって行ったように。





ケパ







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする