心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

定常型社会=持続可能な福祉社会のビジョン 講演会

2008-05-26 23:04:58 | 日本で・・・
広井良典さんは、厚生官僚も経験した千葉大学法経学部教授、専攻は社会保障、公共政策および科学哲学で、
『持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想』(ちくま新書)、
『生命の政治学―福祉国家・エコロジー・生命倫理』(岩波書店)、
『定常型社会―新しい「豊かさ」の構想』『日本の社会保障』(岩波新書)、
『ケアを問いなおす』『死生観を問いなおす』(ちくま新書)、
『ケア学』(医学書院)、
『脱「ア」入欧』(NTT出版)などの著書がある、注目している独創的な研究者です。

主催したNGO,APEXの講演の紹介から;
「これまで日本は経済成長によって貧困など様々な問題が解決されると考え、発展し続けてきました。しかし、環境や資源面の限界、需要の量的拡大の飽和、貧困格差の拡大などの弊害が顕著になり始めており、そのような社会のあり方を今後も持続していくのが困難であることは明らかです。他のアジア地域の途上国も同様に成長と拡大を目指して進んでおり、またそれらの国々においても高齢化が急速に進んでいくと予想されています。環境と福祉の両立した持続可能な社会をアジア地域で築くためには、どのような社会が望ましいのでしょうか。
 成長を絶対的目標としなくても、十分な豊かさが実現されていく社会、定常型社会における環境と福祉の両立、およびアジア地域レベルでの福祉(再分配)のあり方などについて、お話いただきます。」

 経済学の歴史やUN資料、また人口学資料など、学問的な積み上げをしっかり根拠にしながら、自分のオリジナルな論考を進めていく著者と直接出会えたのは、「定常型社会」を感動しながら読んだぼくには、とても印象的でした。

 広井氏のこれらの「アジアにおける持続可能な福祉社会の可能性」「環境親和型社会と高齢化社会」などの独創的な論理形成は、現場にこだわってきているぼくにとっては、自分のなかにひとつの軸を感じさせるような、いわば哲学に似た役割をするように感じています。
 
そして、次の点はきょう、はじめて知りました。
・定常型社会という言葉が、古典派経済学のジョン・スチュワート・ミル 1848「経済学原理」にある用語で、原語は stationsry state。
・国連の推計が、「世界の人口は2075年にピークの92.2億人に達し、減少に転じる」「韓国は2020年から減少、中国は2033年から、アジアは2035年から」といっている。
・人類の歴史のなかで、すでに人類は、「農業革命前と産業化前」に2回の定常化社会を経験しており、現在のものは「地球規模の資源・エネルギーの限界に直面して」、3回目にあたる。



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