心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

心理職とボランティア

2006-02-25 02:56:21 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
「臨床心理職(士)とボランティア」という話題が、「ロテ職人の臨床心理学的Blog」 http://blog.rote.jp/ であります。
次のようなカキコをしました・・・
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災害系の臨床心理ボランティアは、阪神淡路のときの神戸での数週間の経験だけです。が、開発途上国への精神保健支援に臨床心理の立場から関わって11年になります。現在はカリブの国に駐在中です。その立場から一言・・・

開発途上国への心理的な支援は、難民ケアや除隊兵士ケアなどの基礎や、精神保健ケア技術やシステム作りなど、国際協力のなかで小さくない分野です。そして、ボランティアには高い専門性が求められることは、日本以上といえるかもしれません。欧米の同業者が臨床心理の専門家というときには、PhDを持っていることが普通の世界です。

日本での心理ボランティアの認知はまだこれからという印象を持ちます。ロテ職人さん言及のJOCV/ソーシャルワーク(SW)職種にしても、中米カリブでは仕事の相手となるカウンターパートが心理職の場合が多く、日本政府の国際協力専門機関であるJICAですら、心理職とSWとの区別がついていません。

ボランティアということばは、日本では多くの場合、自主性だけでなく、無償性が含まれて、日本風な意味づけをして、理解されていると思います。しかし、上で述べたような専門家を、協力プロジェクトが無償で得られることはないわけです。また駆け出しの心理家に務まる仕事ではなく、専門的な学習と経験が求められます。提供するサービスが、安かろう・悪かろうでは、目的の支援が成立しません・・・

思い起こせば、神戸の1件のときも、ぼくが参加したところには、20数名の精神科医師や心理士、PSWや看護職などがはせ参じていましたが、皆が被災者の役に立てたようには感じませんでした。

災害後の心理的なケアや、開発途上国への支援は、それ自体がひとつの専門分野なのだということを言いたいのです・・・まだまだこれからの分野ですが。
後続の心理専門家が育ってくるのを待っています。




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