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27-28淨居佛再び悉逹太子を試す…『釋迦尊御一代記圖會』巻之2

2024年09月05日 | 宗教
27-28淨居佛再び悉逹太子を試す…『釋迦尊御一代記圖會』巻之2 9/05

より書籍を閲偈を作りなんどして日を送りたまう。淨飯王は日に官人を以て太子の
行迹(こうせき)を聞きつくろわせたまうに、更に楽しみたまう体なく、昼夜書巻をのみながめくらした
まうよし成れば、甚だ宸襟を悩ましたまい、何卒其の心を諫め慰め王位を譲り与えんと群臣と計り、
新たに城南に山を築き、万国の珍木奇草を集めて風流に種(うえ)なし、十歩に一
亭、二十歩に一耬を建て珠玉を磨き、金銀をちりばめて花麗を尽くし、嶺には瀧を落と
し、麓には流れを湛え、山水の奇観描きなせるが如く造り営み、太子の遊覧に備えたまう。
其の巧(こう)已に終わりければ、烏将軍太子に謁し仮山(つきやま)成就の由を告げ、光駕を促し奉る
に、太子も此の程引き篭もりてのみ居たまえば外遊を悦びたまい、烏陀夷をはじめ児童女
官を従え城の南門より出でたまう。淨飯王は先に太子出遊の路、老者を見て楽しみたま
わず、車を回したまいしを思し召し、此の度は諸外吏に令して、太子通行の路上(みちのうえ)、老人、
病者乃至穢れ不浄の者を固く禁じ、拝見の男女十才より二十才を限り其の余
は払い除く。道路を浄め花を捧げ、香を焼(たか)しむべし。若し老人、病者、不浄の者を
在らしめば掃除の外吏が罪科とし、重く刑すべしと勅諚ある。是に依って諸
外吏畏まり王命の旨を人民に触れわたし行幸の道路には塵一すじもあらせ

ず、増して老人、病者は厳かにはらい除きけり。然るに淨居(こ)佛、亦、太子の逸楽に着し
道心失せたまうこともやとて其の心を試さんため、病者と化けて身瘦せ腹腫れに肉枯れにて
露(あらわれ)、顔色黄痿(ばみ)呻吟して路の傍に悩み伏す。警固の官人是を見て大いに驚き
王命厳しくて、前々より老人病者不浄の徒(ともがら)を路上に在らずまじきと触れわたしたるに
何が故かゝる汚れの者を置きけるぞと罵(のゝし)り騒ぎ、急に是を追い退けんとす。太子早く
宝輦の内より官人等を制し、熟(つらつら)と見たまうに、已に死になんなんたる形相(ありさま)なれば甚だ
憐れみの御心生じ、烏陀夷を召して、是は何ものぞと問いたまう。烏陀夷答えて是病人にてそうろ
うと申す。太子亦何をか病者というやと問いたまう。曰く、此の者、もと壮健なりと雖も、奢(き)
欲に耽り飲食の度なきに依って四大調わず、遂に病を発し百節(ふしぶし)疼痛して気力衰え、五味
味わい無く、起居安からず、手足有と雖も自ら働くこと能わず。終には死亡するに至りそろう
と申す。太子、聞きたまいて亦問いたまわく。此の者一人のみ病あるや、一切衆生も皆
ありや。答えて曰く。一切人民、貴となく賤となく、奢欲を省き飲食を慎まざれば
皆、斯くの如く病を発しそうろうと答う。太子聞きて嘆息したまい人間たる一大難あり。もし
其の如くの病者とならば、冨四天下を保ち貴(たつと)きこと轉輪王たりとも何ぞ特(このむ)に足らん。
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