2008年5月18日 猿倉~双子尾根~杓子岳~白馬鑓ヶ岳~鑓温泉~猿倉
富士ヒルクライムまで残り2週となった金曜の夜。
土曜日は自転車、日曜日は毛勝あたりで山スキーのつもりで準備に取り掛かったが、気力がイマイチ。
一旦は玄関に揃えた山スキー道具をやっぱり片付けてしまおうと思いつつ、ふと見た携帯電話は着信あり。
電話は☆さんからの山スキーのお誘いでした。
☆さんはMさんと白馬鑓中央ルンゼの予定とか。僕はTさんと白馬鑓と温泉コースを楽しみ、☆さんとは温泉で会おうということになった。
土曜日のロードバイクの練習を終えてから、そのまま白馬へ。22時には猿倉に到着した。
朝3時15分起床。
4時過ぎ、準備を整えて今日ご一緒させていただく☆さん、Tさん、Mさんにご挨拶。
4時15分。猿倉駐車場出発。
既に明るくヘッドライトは不要。さすがに歩き始めの林道に雪は無し。
歩きながら今日の予定を相談。
Mさんと☆さんは双子尾根から杓子、白馬鑓に立ち中央ルンゼを滑降する予定。
僕はTさんと白馬鑓と鑓温泉を楽しむ予定。白馬鑓山頂までは、鑓温泉経由か大雪渓経由にするか相談した結果、天気が良くて展望がよく利きそうなので大雪渓経由で尾根歩きを楽しもうということになった。
4時40分。長走沢出合。
中央ルンゼ組はここで双子尾根方面に向かうので、お見送り…
のつもりが、突然「鑓に行くなら一緒に行かない?」と誘われる。
上部は厳しい箇所もあるらしいが…Tさんも乗り気なので、ここは一つ未知のルートに挑戦させていただくことにした。
急遽編成した4人パーティで長走沢へ入ってゆく。
暫くツボ足。Mさんが先頭でガンガン飛ばすので、ついていくのが精一杯。
5時00分。長走沢標高1,500m地点でスキーを履いてシール登高に切り替える。
長走沢はプチ大雪渓といった雰囲気。山と雪渓の配置が大雪渓によく似ている。
6時35分。樺平(標高2,130m)。その名の通り樺の木が点在する静かな台地で一息入れる。
小蓮華のなだらかな尾根が優しげ。下部に金山沢が…うっ。
7時05分。標高2,250m。斜度がきつくなりシールでは厳しいのでツボ足に切り替える。アイゼンを装着。
新しいルートは目に映る全てが新鮮だ。
7時45分。標高2420m。岩場の下。
Mさんの助言でピッケルを装備。岩場は乗り越えずに右手にトラバースして迂回。
雪面には、いくつかクラックが走っているため少し緊張した。雪が緩み出したのが嫌らしい。
尾根からの展望。杓子岳の山腹の向こうに白馬鑓ヶ岳。
静かに確実に雪壁を越えてゆくM先生。
標高2,600mの手前、キツイ斜度を登りきったところで先行者の「おつかれさま」の文字が迎えてくれた。
この日先行されたお二方のトレースとともに、僕を助けてくれました。ありがとうございます。
8時36分。
標高2,600mの稜線上に出る。
大雪渓越しにそそり立つ白馬岳の東面がカッコイイ。
2号雪渓経験者達が「そんなに大したことないヨ」といいますが…どうみても壁ですがな。
ここを滑るのは普通に見てオカシイと思います。
振り返ると雲の上を歩いてきたような明るい世界。
目を下にやると大雪渓を登る人の姿が良く見える。
いつも下から見上げる白馬岳が、目線上に向き合っていることに何ともいえない高
揚感を覚える。
でも雄大な景色をじっくり楽しむという余裕はあまりない。
杓子岳へ向かう稜線上にはゴツゴツした岩と雪壁が立ち塞がる。
うーっ、いったいどこを登ってゆくの?
足元の雪が緩んできた。時間は刻々と過ぎてゆく。頂上まであと?
9時10分。標高2720m。
歩きやすい雪の稜線はここまで。先は岩で阻まれるため、この岩場を右側にトラバースして迂回する必要がある。
僕の苦手なトラバース…
先にMさん、Tさんがステップを切ってくれているので問題は無いのだが…ビビリます。もたつきながら時間をかけてクリア。
後ろから来た☆さんはほんの数秒で普通に歩いていた…
9時45分。杓子岳頂上直下。
山頂への最後の試練。雪が切れて痩せた岩場を乗り上げるしかない。
ここを乗り切れば、あそ数歩で山頂というところ。岩はガレて脆い。
いつものクセで慎重になりすぎる。この岩が崩れたら、この足を踏み外したらと考えるとカラダが動かない。
でも、もう後ろに退くことは出来ない。
「えいや~っ!」と決めて、岩を乗り越え、安全地帯の上に立つ。ほっ!
先を行くMさんの「頂上だ~」の声が本当に嬉しい。
杓子岳の山頂部。ちょうど背びれのように見える岩場の通過が最後の関門だった。
9時54分。杓子岳山頂。
やりました。今日の山頂はほんま嬉しいです。
穏やかな山頂だった。今日は風が無いんだなぁと、ふと気が付いた。
10時00分。記念撮影をしたら白馬鑓へと急ぐ。
杓子からコルまではアイゼンを外して夏道歩行。
コルに出ると杓子沢の滑り出しが確認できる。
白馬鑓への登り返しは見た目ほど大したことはない。
数日前の雪が白く、シュカブラも発達して季節が戻ったような美しさ。
今日は杓子が格別かっこよく感じる。信州側に雲が湧いた。
白馬鑓に差し掛かると風が強くなった。上空の気流も強い?
11時15分。白馬鑓ヶ岳山頂。
風が吹き信州側はガスが取れないなか、中央ルンゼ組は早速ドロップポイントを覗いている。
一応剱も見えてました…
11時37分。山頂からやや下って滑走準備をしていると、☆さんが山頂直下から中央ルンゼに向かって飛び込んだ。
動画撮影をしているMさんが「雪崩れてる~」と言っている。
落ち着いて「実況」をしているで大したことはないのだろうが…
谷を覗いて見ると表層約10センチの雪がシャーッと音を立てながらデロデロと落ちていた。
中央ルンゼはガスの中。
☆さんとMさんは「今日はやめた方がいい」と潔く判断され、お二人の中央ルンゼ滑降は中止になり、みんなで一緒に鑓温泉を楽しむことになった。
11時42分。滑走開始。
雪が重い。ここでも表面の雪がデロデロに落ちている。
なかなかうまくターンを決められずにストレスを感じながらのスキー。
せっかくの斜面も滑りにくい湿雪では…
こんな日こそ、スキーの上手い下手がハッキリ分かる。
☆さんもTさんも悪雪を感じさせない華麗なジャンプターン。
Mさんもトップを浮かせた巧い滑りで軽やか。
僕、結構コケてた。
12時03分。白馬鑓温泉。
かなり熱めの湯加減。去年は熱い熱いと言っていたら上からドカーンとブロック雪崩が襲ってきたが、今年は天然冷却は無かった。
12時50分。行動再開。
温泉効果か身体が軽くなった感じ。
温泉より下部は雪の状態がまずまずでゲレンデスキーの感覚で楽しむ。
でも所々クレバスが口を開けているので暴走は危険です。
温泉沢の大「ゲレンデ」はそこそこ快適な雪。
13時00分。小日向のコルに向けて登り返し。シールを貼る。
13時40分。小日向のコル。白馬鑓と杓子岳に別れを告げて長走沢に滑り込む。
14時00分。長走沢出合。新緑が目に眩しい。
猿倉までの林道歩き、噴き出るような森の緑の生命力に感嘆しながら駐車場までハイク。
14時27分。猿倉駐車場に無事下山。感謝。
下山後、倉下の湯で汗を流してさっぱりした。
帰路は通勤割引時間帯にもかかわらず中央道はパスして19号で南下したら、中津川で高速に乗る頃にはヘロヘロで何度か意識が飛びそうになる。
22時00頃クタクタで帰宅。
これで今シーズンも十分満足して板を納めることが出来ます。
☆さん、Tさん、Mさん、今日は足手纏いとなったと思いますがシーズン最後にふさわしいとても有意義な山行をありがとうございました。
ご一緒させていただき感謝申し上げます。
詳しい記録はこちらにも
Mさんのブログ→Parallax Site
MさんのHP→四季彩光
☆さんのブログ→ツイテル☆の自然探索
富士ヒルクライムまで残り2週となった金曜の夜。
土曜日は自転車、日曜日は毛勝あたりで山スキーのつもりで準備に取り掛かったが、気力がイマイチ。
一旦は玄関に揃えた山スキー道具をやっぱり片付けてしまおうと思いつつ、ふと見た携帯電話は着信あり。
電話は☆さんからの山スキーのお誘いでした。
☆さんはMさんと白馬鑓中央ルンゼの予定とか。僕はTさんと白馬鑓と温泉コースを楽しみ、☆さんとは温泉で会おうということになった。
土曜日のロードバイクの練習を終えてから、そのまま白馬へ。22時には猿倉に到着した。
朝3時15分起床。
4時過ぎ、準備を整えて今日ご一緒させていただく☆さん、Tさん、Mさんにご挨拶。
4時15分。猿倉駐車場出発。
既に明るくヘッドライトは不要。さすがに歩き始めの林道に雪は無し。
歩きながら今日の予定を相談。
Mさんと☆さんは双子尾根から杓子、白馬鑓に立ち中央ルンゼを滑降する予定。
僕はTさんと白馬鑓と鑓温泉を楽しむ予定。白馬鑓山頂までは、鑓温泉経由か大雪渓経由にするか相談した結果、天気が良くて展望がよく利きそうなので大雪渓経由で尾根歩きを楽しもうということになった。
4時40分。長走沢出合。
中央ルンゼ組はここで双子尾根方面に向かうので、お見送り…
のつもりが、突然「鑓に行くなら一緒に行かない?」と誘われる。
上部は厳しい箇所もあるらしいが…Tさんも乗り気なので、ここは一つ未知のルートに挑戦させていただくことにした。
急遽編成した4人パーティで長走沢へ入ってゆく。
暫くツボ足。Mさんが先頭でガンガン飛ばすので、ついていくのが精一杯。
5時00分。長走沢標高1,500m地点でスキーを履いてシール登高に切り替える。
長走沢はプチ大雪渓といった雰囲気。山と雪渓の配置が大雪渓によく似ている。
6時35分。樺平(標高2,130m)。その名の通り樺の木が点在する静かな台地で一息入れる。
小蓮華のなだらかな尾根が優しげ。下部に金山沢が…うっ。
7時05分。標高2,250m。斜度がきつくなりシールでは厳しいのでツボ足に切り替える。アイゼンを装着。
新しいルートは目に映る全てが新鮮だ。
7時45分。標高2420m。岩場の下。
Mさんの助言でピッケルを装備。岩場は乗り越えずに右手にトラバースして迂回。
雪面には、いくつかクラックが走っているため少し緊張した。雪が緩み出したのが嫌らしい。
尾根からの展望。杓子岳の山腹の向こうに白馬鑓ヶ岳。
静かに確実に雪壁を越えてゆくM先生。
標高2,600mの手前、キツイ斜度を登りきったところで先行者の「おつかれさま」の文字が迎えてくれた。
この日先行されたお二方のトレースとともに、僕を助けてくれました。ありがとうございます。
8時36分。
標高2,600mの稜線上に出る。
大雪渓越しにそそり立つ白馬岳の東面がカッコイイ。
2号雪渓経験者達が「そんなに大したことないヨ」といいますが…どうみても壁ですがな。
ここを滑るのは普通に見てオカシイと思います。
振り返ると雲の上を歩いてきたような明るい世界。
目を下にやると大雪渓を登る人の姿が良く見える。
いつも下から見上げる白馬岳が、目線上に向き合っていることに何ともいえない高
揚感を覚える。
でも雄大な景色をじっくり楽しむという余裕はあまりない。
杓子岳へ向かう稜線上にはゴツゴツした岩と雪壁が立ち塞がる。
うーっ、いったいどこを登ってゆくの?
足元の雪が緩んできた。時間は刻々と過ぎてゆく。頂上まであと?
9時10分。標高2720m。
歩きやすい雪の稜線はここまで。先は岩で阻まれるため、この岩場を右側にトラバースして迂回する必要がある。
僕の苦手なトラバース…
先にMさん、Tさんがステップを切ってくれているので問題は無いのだが…ビビリます。もたつきながら時間をかけてクリア。
後ろから来た☆さんはほんの数秒で普通に歩いていた…
9時45分。杓子岳頂上直下。
山頂への最後の試練。雪が切れて痩せた岩場を乗り上げるしかない。
ここを乗り切れば、あそ数歩で山頂というところ。岩はガレて脆い。
いつものクセで慎重になりすぎる。この岩が崩れたら、この足を踏み外したらと考えるとカラダが動かない。
でも、もう後ろに退くことは出来ない。
「えいや~っ!」と決めて、岩を乗り越え、安全地帯の上に立つ。ほっ!
先を行くMさんの「頂上だ~」の声が本当に嬉しい。
杓子岳の山頂部。ちょうど背びれのように見える岩場の通過が最後の関門だった。
9時54分。杓子岳山頂。
やりました。今日の山頂はほんま嬉しいです。
穏やかな山頂だった。今日は風が無いんだなぁと、ふと気が付いた。
10時00分。記念撮影をしたら白馬鑓へと急ぐ。
杓子からコルまではアイゼンを外して夏道歩行。
コルに出ると杓子沢の滑り出しが確認できる。
白馬鑓への登り返しは見た目ほど大したことはない。
数日前の雪が白く、シュカブラも発達して季節が戻ったような美しさ。
今日は杓子が格別かっこよく感じる。信州側に雲が湧いた。
白馬鑓に差し掛かると風が強くなった。上空の気流も強い?
11時15分。白馬鑓ヶ岳山頂。
風が吹き信州側はガスが取れないなか、中央ルンゼ組は早速ドロップポイントを覗いている。
一応剱も見えてました…
11時37分。山頂からやや下って滑走準備をしていると、☆さんが山頂直下から中央ルンゼに向かって飛び込んだ。
動画撮影をしているMさんが「雪崩れてる~」と言っている。
落ち着いて「実況」をしているで大したことはないのだろうが…
谷を覗いて見ると表層約10センチの雪がシャーッと音を立てながらデロデロと落ちていた。
中央ルンゼはガスの中。
☆さんとMさんは「今日はやめた方がいい」と潔く判断され、お二人の中央ルンゼ滑降は中止になり、みんなで一緒に鑓温泉を楽しむことになった。
11時42分。滑走開始。
雪が重い。ここでも表面の雪がデロデロに落ちている。
なかなかうまくターンを決められずにストレスを感じながらのスキー。
せっかくの斜面も滑りにくい湿雪では…
こんな日こそ、スキーの上手い下手がハッキリ分かる。
☆さんもTさんも悪雪を感じさせない華麗なジャンプターン。
Mさんもトップを浮かせた巧い滑りで軽やか。
僕、結構コケてた。
12時03分。白馬鑓温泉。
かなり熱めの湯加減。去年は熱い熱いと言っていたら上からドカーンとブロック雪崩が襲ってきたが、今年は天然冷却は無かった。
12時50分。行動再開。
温泉効果か身体が軽くなった感じ。
温泉より下部は雪の状態がまずまずでゲレンデスキーの感覚で楽しむ。
でも所々クレバスが口を開けているので暴走は危険です。
温泉沢の大「ゲレンデ」はそこそこ快適な雪。
13時00分。小日向のコルに向けて登り返し。シールを貼る。
13時40分。小日向のコル。白馬鑓と杓子岳に別れを告げて長走沢に滑り込む。
14時00分。長走沢出合。新緑が目に眩しい。
猿倉までの林道歩き、噴き出るような森の緑の生命力に感嘆しながら駐車場までハイク。
14時27分。猿倉駐車場に無事下山。感謝。
下山後、倉下の湯で汗を流してさっぱりした。
帰路は通勤割引時間帯にもかかわらず中央道はパスして19号で南下したら、中津川で高速に乗る頃にはヘロヘロで何度か意識が飛びそうになる。
22時00頃クタクタで帰宅。
これで今シーズンも十分満足して板を納めることが出来ます。
☆さん、Tさん、Mさん、今日は足手纏いとなったと思いますがシーズン最後にふさわしいとても有意義な山行をありがとうございました。
ご一緒させていただき感謝申し上げます。
詳しい記録はこちらにも
Mさんのブログ→Parallax Site
MさんのHP→四季彩光
☆さんのブログ→ツイテル☆の自然探索