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ニワウルシ・1~葉痕

 小泉八雲の 『怪談』 にある “ムジナ”。 時は幕末の赤坂紀伊国坂で、夜道を男が歩いていると、道端で娘さんが顔を伏せてシクシク泣いている。男が近づき、『どうしたんだい? さあ顔を上げて涙を拭いて・・』 と娘の顔を覗き込んだら、何と “のっぺらぼう”。 驚いた男は一目散に逃げて、屋台の蕎麦屋に飛び込み、 『おやじさん、大変だ。のっぺらぼうが出た!』 と叫ぶと、おやじが振り向いて、『それは、こんな顔だったかい?』 と、のっぺらぼうの顔を見せた。
 多摩ニュータウン開発を題材にした映画 『平成たぬき合戦ぽんぽこ』 でも、タヌキ達のいたずら話がいろいろ出てくるが、のっぺらぼうに化けたタヌキが警官を驚かせる場面もある。
 さてその “のっぺらぼう” の顔に見える「ニワウルシ(庭漆)」の葉痕。ニガキ科ニワウルシ属の落葉高木で中国原産。英名の “Tree of Heaven” から「シンジュ(神樹)」という別名もある。明治初期に津田仙氏(津田塾大学創始者の津田梅子の父)がウィーンでこの並木を見て気に入り、ニセアカシアとともに日本に持ち帰って、丸の内や文京区の神田川沿いに植えたのが始めだとされている。
 ニワウルシの名前は、その羽状複葉がウルシに似ているため付けられたが、ウルシのようにかぶれることはない。これは長池公園のもの。
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