7MHzのダイポールには3倍高調波で21MHzが乗る、と言われていますし、常識的な知識です。
でも実際7MHzのダイポールでチューナー無しで21MHzがうまく乗っている局は少ない。
7MHzと21MHzを両方出ようと思ったら、トラップコイル入りのマルチバンドアンテナとか、それぞれ別にエレメントを張って給電部を共通にするとか、そんな手を使うことが多い気がします。
なんかうまく乗らないんだよね~とローカル局に相談すると、逆Vの角度を変えることでうまくいったとのこと。なるほど~。
ネットを調べていくと一工夫して対応する方法が見つかりました。
7.050MHzあたりに最下点を持って来ても、多くの場合21MHzの最下点は上のほう、バンド外で落ちてしまい、バンド内はSWRが高い状態になるそうです。(計算上は三倍高調波ですから21.150MHzが最下点になってもいいはずですが。)
対処方法は2つ紹介されていました。
一つは給電部から3.5m程のエレメントにひげを垂らす方法。
もうひとつはエレメントの端部から3.5mの位置に数ターンのコイルを入れる方法。ダイポールの線を数回巻いただけの簡単なものです。
私のアンテナは極細ビニール線なので途中にひげをつけるとそこで痛んで切れてしまう可能が高いので、後者のエレメントの電線を小さく数回巻いてコイルにする方法を試してみました。
そのホームページによると、直径3.5センチの輪を4回巻いて、ビニタイできゅっと固定しただけの簡単なものでした。
早速やってみました。
まず今までの状態を測定。SWR最下点は7.060で1.0。バランを使っていないせいなのか、Vの字特性でしたが、そこはフルサイズ、帯域は十分あります。21MHzの方はバンドを大きく外れ、21.75MHz辺りに最下点がありました。SWRは1.5ほど。測定はアンテナアナライザを使っています。
ダイポールの両端からそれぞれ3.5mの位置で、エレメントを使用してコイルにしました。全長はその分短くなります。ここで再度測定。
7.260MHzあたりに最下点が上がりました。SWRは1.0。21MHzの方は最下点は21.70辺りでさほど変化がありません。
今度は折り返していた末端を伸ばして全長を15~20センチほど伸ばしてみました。
すると、最下点は7.130MHzあたりに下がり、21MHzは21.45MHzくらいに下がりました。いい兆候です。
さらに10センチ全長を伸ばすと最下点が7.060MHz、そして21MHzは21.20MHz辺りと、ベストな状態になりました。
これで7と21MHzが両方使えるダイポールアンテナになりました。移動にも便利。21の方は若干ゲインもあるそうです。
写真は思いっきり背景にピントが行ってしまいました。 (^^ゞ
調整が終わり嬉しくなってFT-817をアンテナの下に持って来て21MHzにQRV。石垣島との交信に成功しました。
終えてみると、コイルになって全長が短くなった分、折り返しを伸ばすことで補った感じ。全長で7MHzに合わせ、コイルが21MHzに効いたという感じです。
7MHz(フルサイズに限る)のダイポールに21MHzが乗らない、と悩んでいる方は是非やってみましょう。
追記:
短縮コイル(延長コイルとも言いますが)の効きは電流腹が最も効きます。端から3.5m付近は21MHzにとって電流腹、7MHzにとっては電流分布の少ないところなのでこのような調整が出来ちゃいます。
ここでは高調波の方のバンドの電流腹にコイルを入れて、全体の長さを合わせ直して片方だけ同調周波数を下げました。
高調波の方の電流の少ないところにコイルを入れると逆の事が出来ます。
電流分布は先端がゼロで1/4波長の位置が最大、1/2波長の位置でまたゼロになり、3/4波長の位置で逆の最大、1波長で再びゼロに、と分布します。
電圧分布はこの逆です。先端や電圧給電のアンテナの給電部付近は感電しやすいので気をつけましょう。