まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

丕緒の鳥

2014-02-07 20:50:56 | 読書のすすめ
今日も寒かったです。
明日の関東は 未明から雪が降り続く予報。
早めに起きるつもりですが はたして私は職場に無事つけるのか?^^;

さて 小野不由美の「丕緒(ひしょ)の鳥」を読みました。

丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫)
山田 章博
新潮社


昨年出版された十二国記シリーズ最新作。

次の4つの短編から成っています。
題名の「丕緒の鳥」。
「落照の獄」
「青条の蘭」
「風信」

陶鵲(王が儀式で射る陶器の鶏)を作成する丕緒の葛藤を描く「丕緒の鳥」。
幼い少年をわずかな金を盗むために殺し ほかにも多数の殺人を行った守獺(しゅだつ)を殺刑にするかどうかを迷う司法者たちを描いた「落照の獄」。
奇病により山毛欅(ぶな)が枯れることによって引き起こされる災厄を防ごうとする標沖をえがく「青条の蘭」。
親を殺され町を焼かれながら なんとか逃げ延びてきた蓮花が心の底から泣けるようになるまでを描く「風信」。

4編とも王が倒れ 荒れ果てた各国の様子を描いています。
「丕緒の鳥」には慶の王である陽子が出てくるが あとは主要キャラクターは登場しません。

人心も荒れ果てているから どれも少し暗いのは 止むを得ないですが・・・・

十二国記の世界では 王がいない世界は ひたすら荒廃する。
王が倒れる以前から 荒廃は徐々に始まり いずれ妖魔が跋扈する世界となってしまう。

人々はそんな中じっと耐えるしかない。
災厄が通り過ぎ 麒麟が生まれ 王が登極するのを待つ。

何百年も安定した世界が続く国もあれば 十数年でまた荒廃に戻ってしまう国もある。
どんな世界に生まれ生きるかは 人間たちに選択権はなく不条理である。 
あきらめにも似た空気が漂う中 それでももがく人たちがいる。

救いが強く感じられたのは 最後の1編 「風信」です。
主人公の蓮花が逃げ込んだのは 暦を作る役人たちの館。
変人かとも思える作業を繰り返す数人の役人たち。

目の前で姉や母の命を奪われ 命からがら逃げてきた蓮花にとって
彼らは呑気で 世情に疎い学者にしか見えない。
反発を感じながらも 助けてもらった恩を感じて彼らを手伝う蓮花。
呑気にしか見えなかった彼らが 
実は自分たちにしかできないことによって民を助けようとしていることを知る。

そして ラスト。
蓮花と一緒に 心の氷が融けていく気がします。

本編とはやや異なり 冒険譚や英雄譚的な感じはなく
淡々と過ぎていく無名ともいえる人たちの日々を描いています。
そういう面では やや物足りなくも感じなくはないですが
十二国記ファンとしては 書きおろしを含めた新作を歓迎します。

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コメント (2)
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